眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2021年10月26日(火)

長いような短いような休みが終わり、仕事が始まる。でも今日は在宅勤務なので、始業ぎりぎりまで眠る。起きる。パソコンを開いて、9時に課会が始まるのを待つ。9時5分前に部屋に入室すると、既に在宅勤務組が揃っていた。その一人の女性は、普段はマスクをしていて分からない目元より下のぶぶんを画面にさらけ出していて、化粧をしていないのだろうか、あまりにもぶっきらぼうな顔をしていて、自分しかカメラ機能をオンにしていないことに気付くとすっとカメラをオフにした。ガヤガヤとした音が聞こえ、会社でたくさんの人が犇めき合っている姿が映し出される。果たして今回の会議の主題はなんなのか。やはり11月前半の在宅勤務を廃止にするのか。戦々恐々としていると、訥々と上司が話し始め、つまりはこうだった。

 

Z君、異動する

 

なんだ、そんなことだったのか。それなら別にわざわざみんなを集めなくても、メールで一斉送信してくれればいいのに。既に上司から異動の話を聞いていたのか、Z君は淡々とした表情をしていた。上司に促され、Z君は今回の異動をチャンスと捉え、異動先の部署でも頑張る、とどうでもいいことを話していた。「Z君は、えー、お昼休みに簿記の勉強を熱心にしており、早い段階で1級に受かったことを思い出します。あとはあるプロジェクトも熱心に進めてくれていて。道半ばというところでしょうか」と上司もどうでもいいことを話していた。さて、今回の異動は一方だけが動くのではなく、異動先の社員がこちらに来るという、トレード制。こちらの部署にやってくるのは、なんと、私が前にいた部署の、私の耳を不健康に追いやった、あの準ベテランさんだった。準ベテランさんは現在所属している場所では強めの戦力を持った戦闘員で、彼女があちらこちらと動き回ることでスムーズに事が運んでいた部分もあった。その穴を埋めるのが、あのZ君なのである。トレードされる人員の能力がイコールではない時、戦力の強い戦闘員を手放す部署はなかなかの痛手だろう。果たしてZ君は新しい部署に、手放しで歓迎されるのであろうか。それは私にとって本当にどうでもいいことで、12月にやってくる準ベテランさんが私の範囲の仕事にケチをつけなければなんだっていいと思っている。つまりは今回の異動で私が被る被害はほぼないに等しい、と現時点では思っている。コロナ禍前であれば部内異動でももしかしたら送別会があったかもしれないが、まだまだ油断を許されない状況が続いているので、送別会はおそらくないだろう。もしあったとしても、そんな送別会に出るほどの義理はないので、「まだまだコロナが怖いんで...」と適当にお茶を濁して欠席するつもりだ。そもそもこんな時期に送別会があるとは思えないが。出来ることなら会社での飲み会というものが永久に消え去ってほしいと思っている。頼むから、このまま消滅してくれ。

 

 

どうでもいいことを朝から聞かされて、うんざりしてしまったのでa flood of circleをBGMにしながら仕事を進めていく。昨日休んだのでほんの少しだけ仕事が積もっていたが、集中して取り組んでいるとあっという間に終わってしまい、あとはただただ広大な「暇」が広がっていた。まだお昼休みには程遠く、こんなことならもっと丁寧に仕事を進めればよかったと後悔した。

 

 

長い長い時間を経て、ようやくお昼休みに。晴れていたので洗濯物を干してから外へ散歩に出かける。最近は週末の選挙のせいで、あちらこちらでどす黒い人間の顔が貼られている、それを見ていると暗い気分になる。投票したいと思える立候補者がいない。それでも権利を放棄するのは馬鹿馬鹿しいので、当日は投票をしに行くのだが。他の国だとこんな風には思わないのだろうか?晴れているから少しだけぽかぽかしてて、汗ばんでくるその体の動きが心地良かった。折り返し、途中の激安スーパーで多くの野菜やお肉を買い込む。今日は鍋にしよう。正確には、今日(から当分の間)は鍋にしよう。ここのスーパーは野菜がとにかく安いので、一人暮らしの身にはありがたい。家から遠いので、在宅勤務時の散歩ぐらいでしか行きたいと思えないので、どうか11月の後半以降も在宅勤務が続いて欲しいよ。家に帰りつき、キムチとタコキムチをおかずにして白米を食べる。美味しいけれど、あまり体には良くないことを思いながら食べる。

 

 

あっという間に昼休みが終わり、再び仕事の時間。今日はてんで暇で、厄介ごとが転がり込んでくることもなく、気づいたら定時になっていた。人生の終点なんてあっという間だぞ。

 

 

a flood of circlea flood of circle」(2007)が届く。ずっと欲しいと思っていたが、なかなか買う踏ん切りがつかなかった。来月に参加するツアーでもしかしたらこのアルバムの曲が演奏される可能性があるので、思い切って買った。CDをパソコンに取り組むと、2018年に発売された同名のアルバムとごっちゃになり、分けるのが面倒だった。佐々木の歌声は今とそこまで変わっていない。この時から既に佐々木は仕上がっていたということだろう。

 

f:id:bigpopmonsterpro:20211026131009j:image

 

 

Base Ball Bear「DIARY KEY」が届く。CDではなく、付属のDVDが目当てで買った。でもまだDVDは見ない。アルバムを5回ほど聴き、私が好きだったベボベはもういないのかもしれないなと思い、悲しい気分になる。

 

f:id:bigpopmonsterpro:20211026154311j:image

 

 

夕飯はお昼休みに買った具材を詰め込んだ、キムチ鍋を食べる。今回の冬、初めての鍋である。久しぶりだったので若干の手際の悪さが際立ったが、作り終えて食べると美味しさが身体中に広がって、「これこれ、冬はやっぱりこれだよ」とニヤニヤする。いや、まだ冬ではないんじゃないか?冬だったらカッターシャツだけで出社することは困難を極めるだろう。だからまだ冬一歩手前の秋で、それでもこんなにも鍋が美味しく感じられるのならば、本格的な冬には美味しさでノックアウトされるのではないかと、今からワクワクしてる。......いったい何を書いているのだろうか。疲れているのだろうか。疲れというより、度重なるよふかしによる寝不足で、軽い酔っ払いみたいなものなのだろう。

 

f:id:bigpopmonsterpro:20211026214845j:image

 

 

食後は読書を楽しむ。山内マリコ「選んだ孤独はよい孤独」を読む。読み終わる。あっという間に読み終えてしまうほど読みやすい。だけれど読み終わった後に残るものがない、ほぼないのは悲しいことで、果たしてこの読書には意味があったのだろうかと考え込みたくなる。どんな読書にも意味があると信じたい。こんなにも中身がスカスカな本があった、その存在を確かめられただけでもそれなりに本を読んだ価値はあったのだろうか。この本で取り上げられている題材は誰しもが思いつきそうな安直なもので、書き古されたものなので、それをスカスカの中身で書くのではなく、普通とは異なる視点で書けば少しは「読めたもの」になったのではいかと思う。ただ、『おれが逃してやる』だけは少なからずグッときて、それは仕事をしてて、その仕事に誇りを持てず、捨てきれない夢を抱えているから勝手に共鳴したからだろうね。

 

 「社会人になると、毎日は忙しくなるけど、人生って意味では、暇なんだ。仕事は人生の、便利な暇つぶし。マッチポンプみたいなもんだ。仕事しないと金は稼げない、金がないと生活できない。だから仕事さえしてれば生活できるし、間が持つ。でも、仕事してるだけだから、すぐに飽きてくる。そこそこいい年になると、かなり飽きてくる」
 「はあ」
 おそらく無口な館林さん、がんばってしゃべってくれているのはわかる。でも、なにが言いたいのかはよくわからない。
 「ちょうどそういうタイミングで、上司は、家庭を持つ重要性を説いてくる。こういう飲み会のときとかに。で、結婚すると、子供がいることの重要性を説いてくる。子供はかわいいぞ、かすがいだぞって。子供が生まれると、今度は、早く家を建てた方がいいっていう話をしてくる。家を建ててこそ一人前だぞ、ローンを組むなら早い方がいいぞ、とか言って。それが、普通の男の人生なんだ。働いて、結婚して、子供養って、家建てるのが。そういう話になるのはたいてい飲み会なんだけど、あれってたぶん、他に話題がないからだろうな。共通の話題っていうと、それしかないんだ。俺にそういう話をした上司も、きっと若いころ、同じようなことを言われてきたんだろうな」
 俺は逆流してきた胃酸をぺっと吐き出した。
 館林さんの話はまだ続く
 「おれも何年か前に家のローンを組んだんだけど、その報告したときな、あの人たち、めちゃくちゃうれしそうな顔してた。でもそのうれしそうっていうのが人の幸せを喜んでるんじゃなくて、おれたちのクラブに入ってくれてうれしいよ、みたいな、そういう喜びなんだ。これで、同じ重荷を背負った仲間だな、っていう。意味わかるか?」
 俺は頭を振った。酔いが回っているし、ピンとこない話だ。
 館林さんは俺のジャケットのポケットに手を突っ込むと、タバコを出して火を点けた。その遠慮のない行動は、昔からの友達っぽくて、俺はまたしてもぐっときた。館林さんはタバコの煙を夜空に吐き出しながらこう言う。
 「自分は何がしたいんだろうとか、深く考えずに、なんとなく生きてたら、こうなっちゃってたんだ。周りがレコメンしてくる方向に、なんとなくハンドルを切ってたら、こうなってた。まあ、普通の男の人生だ。大勢がそのクラブに入会してるから、連帯意識もある。話す言葉も似てくる。一人じゃない感じもある。セーフティモードの人生だ」
 館林さんは俺に向き直って言った。「ここで訊くが、お前は、そのクラブに入りたいか?」
 「......いや、入りたくないっす。死ぬほど入りたくない。でも、館林さんがいまから俺を、説得するんでしょ?」
 内心、それを待っていた。会社はいいぞ、結婚はいいぞら子供はいいぞ、家はいいぞ。そういうオーソドックスな人生に飛び込む、背中を押してくれ。
 館林さんは「しないよ」と笑って、こうつづけた。
 「自分で自分の人生を切り拓く力のある奴って、案外少ないんだ。なにかやりたいことがある奴、もそんなにいない。二十歳過ぎて夢とかある奴なんて、ほとんどいない。いても、歳をとるごとに自然淘汰されて減っていく。そういう、俺みたいに主体性のない奴らは、暇なんだから、クラブに入会すればいいんだ」
 だんだん、目が冴えてきた。
 となりを振り向き、館林さんと目を合わせる。
 「だからな、もしお前が、ずるずる青春を引きずってるだけで、別に無難な人生でいいと心の底から思ってるなら、根性入れ替えさせてこのクソつまんねえサラリーマン生活に一刻も早く染まれるようおれは指導するけど、もしなんかやりたいことがあって、なのに無理して諦めようとしてるんだったら、おれはそれを止めるぞ」
 「え?」
 「逃げろ」館林さんは言った。「いま逃げろ」
 「え?」
 「おれが逃がしてやる」

山内マリコ「選んだ孤独はよい孤独」所収『おれが逃してやる』p126-129より引用

 

f:id:bigpopmonsterpro:20211026214859j:image

 

 

まだ読み足りなくて、谷川直子「あなたがはいというから」を夢中になって読み進め、寝なくてはいけない時間になったのだけれど、まだ寝るにはもったいないかな、という貧乏根性が顔を出したので、Spotifyで「2010s Hit」なるプレイリストが作られていたので、それを聴いていたらBEAT CRUSADERSが流れてきて、懐かしさで死ぬかと思った。それから夢中になってBEAT CRUSADERSの曲を聴き漁っていたら、高校生の頃のことを思い出して、なんだか今のこの状況が虚しく思えてきたんだよ。寝れないね。

 

朝飯:なし
昼飯:白米、キムチ、タコキムチ
晩飯:キムチ鍋

 

80.2kg
24.2%

 

歩数:4,243歩