眠たげな猫の傍で

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世界の果てで眠っていたいな

月見ル17周年記念公演トリプルファイヤー×betcover!!@青山月見ル君想フ(2021.10.23)感想

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このブログでのトリプルファイヤーに関する記述は、3年前の11月が最後だった。2019年には名古屋へ転勤し、2020年はコロナでなかなか彼らのライブを観ることが出来ず、ようやくbetcover!!との対バンで久しぶりに彼らのライブを観ることが叶った。

 

 

betcover!!はクリープハイプの「愛す」のmixを担当していたので名前は知っていたが、音楽は一切聴いたことがなかった。聴いてみると今まで聴いたアーティストの誰誰に似ているという感じはなく、それは私の音楽趣味が偏向しているからでもあるが、後ろから飛び蹴りされているような刺激を感じた。同じような刺激はトリプルファイヤーを初めて聴いた時にも感じていたので、このライブは素敵なものになるに違いない、と勝手に思い込んでいた。

 

 

ライブ会場は初の青山月見ル君想フ。なんて素敵な名前、箱なのだろうか。存在は結構前から知っていたが、好きなアーティストがそこで演奏をする機会がない、もしくはチケットが取れなかったので、全然行けなかったのだ。

 

 

17時40分になっても15番までしか呼び出されない。近くにカレー屋があるのか、待機場所はキーマカレーの匂いがぷんぷん広がっており、空腹が刺激された。40分をすぎてようやくスムーズに番号が呼ばれていく。一体どういったシステムなのだろうか。

 

 

betcover!!(18:10-19:10)

 

えげつない。自分の体の中で消化しきれない衝動をそのまま歌にぶち込む。歌だけではなく、適宜ギターを弾いたりサックスを吹く、その危うさを含めて衝動が詰め込まれていた。ただ危ういだけではなく、自分の伝えたいことをどうにかして表現しようとしている、その過程が心を打つ。

 

 

「幽霊」からライブを始め、「幽霊2」に移ったときのカタルシスたるや。この2曲だけで十分betcover!!の凄さを証明しているのだが、立て続けに演奏される「時間」の曲が本当に凄まじくて、なんだろう、今まで私が観てきたライブとは違う世界線があるのだということをまざまざと見せつけられた。

 

 

柳瀬二郎の顔は中学生の時から変わっていないような、なんともあどけない顔立ちなのだが、歌っている時に集中しているのだろう、時々虚な目をしているときがあり、これは見てもいいのだろうかと戸惑う。奇怪な動きが加わり、衝動がはち切れそうなのか、被っていたFILAの帽子をドラムに叩きつけ、マイクスタンドも倒し、なんというか歌声だけではなく、体全てを使って自分の中の思いをぶちまけているみたいだ。

 

 

柳瀬二郎を支える演奏陣もとにかく安定しており、彼らがしっかりと演奏を行うことで、柳瀬の奇怪な行動にも意味を持たせているように見受けられた。しかし、ラスト前の曲で、長々と続くセッション、その時にギターの人がとにかく面白いことをしてて、前の方で見ていたのでそれを仔細に見ることができ、柳瀬を支えるメンバーにも自由な動きがあるからこそ、柳瀬も自分の思っているような動きを発露出来るのかもしれない。

 

 

MCは一切なし。ただただ自分の表現したいことを表現した、終わり、といった感じでちょうど1時間のライブが終わった。ほぼ前の位置で見ていたので、他の人たちがどのような反応をしていたのか分からなかったが、最初はほぼ棒立ち、でも途中からbetcover!!の音楽がぐわっと体に染み込んでいく、その気持ちよさを体験したのではないだろうか。来年の2/6にあるLIQUIDROOMでのワンマンライブが俄然楽しみになってきた。今度はどんなパフォーマンスを繰り広げてくれるのだろうか。今回のライブでは全然曲を聴き込めていなかったので、次回のライブまでには全曲、そらで歌えるように準備しておきます。なんて最高なライブだったんだろう。凄すぎて思わず笑ってしまったよ。

 

 

〈セットリスト〉

01.幽霊
02.piano
03.狐
04.異星人
05.遠い遠い親戚
06.島
07.棘を抜いて歩く
08.あいどる
09.回転・天使
10.新曲
11.新曲
12.平和の大使

 

 

トリプルファイヤー(19:35-20:35)

 

特にSEが流れるわけではなく、淡々とメンバーが現れる。で、演奏を始める。1曲目からトリプルファイヤーの音楽がすぐに体に馴染む。吉田が意味がなさそうでよくよく聴くとグッとくる歌を歌っている、その後ろで頼もしい陣営が演奏を支えている、その構図にグッときた。吉田の飄々とした感じは3年前に観た時となんら変わりがなく、この人には変なプライドがないのだろうと嬉しくなる。今回のライブでは音源化されていない曲をたくさん演奏するのだけれど、それらの曲が初期の曲と比べてより鋭敏に心に刺さるというか、彼らはどんどん深いところに潜っている、果たしてそこから地上に戻ることができるのだろうかと心配になる。1曲目からトリプルファイヤーらしさをぶちまけて、会場の端々からクスクスと笑い声が聞こえる。面白いMCをしているわけではない、真剣にライブをしているのにそれで笑いが起きるということが、トリプルファイヤーの唯一無二さを体現していた。

 

 

序盤3曲は音源化されていない、一応新曲と称した方がいいのかどうかは知らないけれど、そんな曲が続き、1回目のMC。

 

 

久しぶりにライブハウスにたくさんの人が入っているのを見ました。各々、お酒を飲んだり、お喋りしたり、帰りにご飯食べたりしてください。

 

 

相変わらず緩いな〜、と思いながら、しれっと演奏を始める。ここで気付くのだが、演奏陣の愚直な演奏があまりにもかっこよくて、吉田の歌も聴きたいけれど、演奏の方にも意識が持っていかれる。特に鳥居のギターがとてもかっこよくて、それは彼らのライブの音量はそこまで大きくなく、ギターの音がきちんと聴こえることも要因の一つとして挙げられる。吉田がMCをしている時は吉田のことを見ることはなく、次の演奏の準備をぐっとしているのがかっこよかった。ドラムの大垣(帽子は相変わらずタイガースだったが、じっと見ないと分からない、おしゃれな「TIGERS」という帽子だった。いや、おしゃれではないな)のドラミングもじっと見ているとかっこよくて、今まで彼らの演奏をきちんと見てこなかったことを後悔した。そして一番興奮したのがサポートのシマダボーイのパーカッションで、たくさんの楽器を器用に叩いている、その姿だけをずっと観ていたいほど、圧巻の演奏だった。ロックバンドのライブにサポートでパーカッションの人が入ることは私が観るライブでは殆どないせいか、シマダボーイの演奏があまりにもかっこよかったので、機会と時間と気力があればパーカッションを練習してみたいなと思った。そして一番凄いなと思ったのが、みんな、ドヤドヤと演奏するのではなく、これが出来るのは当たり前ですけど?みたいな感じで正確な演奏をしているところで、彼らの演奏があるからこそ吉田の歌なのかなんなのか分からない呻きが生きてくるのであった。

 

 

「銀行に行った日」で一頻り笑い、「シルバースタッフ」に不覚にもグッと来て、「ここではないどこか」で頭がフラフラしてくると再びMC。

 

 

betcover!!は名前は知っていて。先輩のバンドに聴いたら凄いぞということで。音源を聴いたりして。で、ライブを見てて。場を掌握してましたね。(笑いが起こる)各々頑張っていきましょう。

 

 

と相変わらずの吉田節をかまして、既存曲を一気に畳み掛ける。「ゲームしかやってないから」からの「Jimi Hendrix Experience」の流れにグッと来る。そこそこ彼らの音源を聴いている身として、これらの客が今でもライブで披露してくれるのがこの上なく嬉しくなる。そして音源化されていない2曲を演奏し終え、本編最後のMC。

 

 

2020年はコロナでいろいろと大変なことになりまして。潰れてしまうライブハウスもいくつかあって。でも青山月見ル君想フは生き残ったので勝者ですね。なんだかコロナが終わった感じがしてますが。そういえば車の免許を取りました。ATですが。

 

 

と、バンドマンがそんなことを言ってもいいのか?ちょっと緩すぎないか?と不安に思いながら、最後のターンへ。吉田は曲と曲の合間に、駅の近くのスタバで買ったであろう、黄金色のドリンクを結構なペースでごくごくしてて、それがなんとも印象的だった。「野球選手になるために」で不覚にもグッと来たあと、最後は「BAR」で締める辺りがよく考えられているな、と感心する。最初に「お酒を飲むと楽しいね」を演奏し、最後に「BAR」はセンスしか感じない。いや、そういうライブの構成にするために曲を作っているのかも知らない。知らんけれど。

 

 

アンコールはすぐに出てくる。

 

 

アンコールという、形式的なものがありますね。

 

 

と簡単にMCをしてから、「ギフテッド」で終了。こちらもちょうど1時間のライブでした。

 

 

両者とも個性の塊の音楽を鳴らすので、それを同じ場所で同じ日に聴くのはあまり心身に良い影響は与えませんね。ただ、betcover!!で緊張してから、トリプルファイヤーでしっかりと弛緩したのはよかったです。出番が逆だったら、精神がピリピリしたままでライブハウスを後にするところでした。

 

 

初めての青山月見ル君想フでしたが、感染対策が緩いなと感じました。入場時の検温、アルコール消毒はきちんとやってましたが、客席にバミリがないのは驚きました。そんなライブハウスは今までなかったので、元からこんなに緩いのか、それとも緊急事態宣言が解除されたからこういう風にしているのか。演奏の音がくっきりと聴こえたり、ドリンクのバラエティが豊富だっただけに、その点は残念でした。そして客層もそこまで良くはなかったと思います。局所的なところしか見ていないので、全体的にどうだというわけではないんですが、水分を取っていないのにマスクを外して一緒に来ている人と大きな声で話したり、転換中に自分の荷物を地べたに置いて場所取りしている人がいたり。そういうのを見ると、この人たちは本気でこの場所を守ろうという意識があるのかなと思います。今までどれだけの我慢を強いられてきたのか、この人たちは知らないのかな。もしかして「コロナは終わった」と思っているのだろうか。そうだとしたらそんな風に考えるのは早計だし、自衛していくためには慎重にライブを選ばないといけないのか、と思いました。ライブはとても素敵だったので、それだけが本当に残念でした。

 

 

両者が再び対バンする未来は薄いでしょう。betcover!!は来年2月のライブが楽しみですし、トリプルファイヤーは早く新譜を出してくれ、そしてたくさんライブをしてくれ。

 

 

〈セットリスト〉

01.お酒を飲むと楽しいね
02.諦めない人
03.ユニバーサルカルマ
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04.銀行に行った日
05.シルバースタッフ
06.ここではないどこか
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07.ゲームしかやってないから
08.Jimi Hendrix Experience
09.スピリチュアルボーイ
10.サクセス
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11.野球選手になるために
12.バー
EN
13.ギフテッド

 

 

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