眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

先輩の奢り

先輩は奢る。こちらから要求しなくても、自発的に奢る。

 

 

奢る範囲は多岐にわたる。最少は自販機の飲料水、最大は風俗。

 

 

何度も奢りが重なると、さすがに気がひけて、「もう大丈夫です」と遠慮する。「奢るのが先輩の仕事だから」と、また自販機のボタンを押した。

 

 

100円の飲料水でも、100回奢れば1万円。1万回奢れば100万円になる。

 

 

金銭感覚がバグっている先輩は、初めのうちは同じサークルの後輩にしか奢らなかったが、同期、先輩、果ては話したこともない人間にも奢りだすようになった。

 

 

奢りが重なるといつも金融センターに赴き、再び奢りを繰り返した。

 

 

いつしか先輩は「奢りのプロ」と呼ばれるようになり、道行く人が彼に奢りを要求した。

 

 

先輩はそれでもニコニコし続けて奢り続けた。知りもしない人に奢る回数が異常に増えた。

 

 

100円の飲料水でも、100回奢れば1万円。1万回奢れば100万円になる。

 

 

奢り続けた先輩はついに金融センターから苦情が入り、大学を辞め、奢ることで手に入れた人脈を駆使して新しいビジネスを作り上げた。

 

 

そのビジネスのおかげで多くの人々の生活に潤いが発生し、先輩はそこではたと気づいた。

 

 

(奢ることよりも、もっと多くの人々を笑顔にできることがこの世界にはある)

 

 

そう気づいてからもコンスタントに彼は奢り続けたが、ビジネスは拡張し続け、いずれは世界を変えることとなった。