眠たげな猫の傍で

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世界の果てで眠っていたいな

アナログフィッシュ「荒野 10th Anniversary Tour」@渋谷 TOKIO TOKYO(2021.10.10)感想

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アナログフィッシュ東日本大震災を経験して制作した、今から10年前のアルバムである「荒野 / On the Wild Side」が今年で10周年を迎えたので、そのアルバムの再現ライブ、なのでしょうか。「荒野 / On the Wild Side」のアルバムツアーで日比谷野音でライブをしていたことは知っていましたが、当時はそこまで彼らに興味がなかったので、ライブに行っていきませんでした。アナログフィッシュのライブには「最近のぼくら」(2014)のリリースツアーで参加して以降、ライブが計画されればほとんど行くようにしてました。

 

 

「社会派三部作」が制作される発端となった「荒野 / On the Wild Side」はそれまでの彼らにとっては異色のアルバムで、東日本大震災に対する政府の対応を痛烈に批判したり、批判だけに留まらず、もやもやした感情をどうにかして消化しようともがく姿だったりを丁寧に描き出している衝撃的な、とにかく強いアルバムです。このアルバムを聴いてアナログフィッシュに対する興味がとても湧きましたし、そのおかげで今でもアナログフィッシュのライブに行けていることを思うと、今回のライブは私が最も希求していたライブのような気がしています。

 

 

ライブ会場は渋谷にある「TOKIO TOKYO」。今回のライブで初めてお邪魔しました。まだ出来たばかりのライブハウスで、キャパはフルで300人だそうです。この御時世なので、アルコールの提供はしておらず、ソフトドリンクのみ、ドリンクチケット代は400円という良心的な価格。ジンジャーエールを頼みました。エナジードリンク「ZONe」の冷蔵庫がステージとドリンク提供所の中間位置に設置してあり、一人一本無料で持っていっていいというサービスっぷり。これで一気に「TOKIO TOKYO」が好きになりました。

 

 

整理番号はそこまで良くないと思っていましたが、バミリに沿って立っていると、「これからまだお客様が入られますので、詰めてください」というアナウンスが流れたので、(バミリの意味は?)と不思議に思いながら、前に詰めると3列目の真ん中を確保。ここならめっちゃ近い、いやそもそも箱が小さいので一番後ろでもステージから十分近いんですけれど。

 

 

定刻に客電が落ち、SEもなくメンバーが現れる。下岡さんはチャップリンみたいなちょび髭ではなかったです。1曲目を始める前にメンバーがサウンドチェックで出す音がたまらなくかっこよく、これから始まるライブの期待値をぐんぐんあがっていく。

 

こうやってライブハウスに人が集まっているのを見るのはとても久しぶりです。
キャパの半分をしっかり守り、空調もしっかりと入れるようにお願いしているので、安心してください。

 

と曲の演奏の前に下岡が話す。自分たちのスタンスをきちんと表明してくれるのがアナログフィッシュらしい。

 

 

1曲目は「Texas」。ベースは「失う用意はある?それともほうっておく勇気はあるのかい」に収録されているバージョンなのだが、それよりももっと明るい感じのアレンジで、一瞬にして心を鷲掴みにされる。

 

「new world is coming」

 

を下岡が繰り返し唱えるところにグッとくる。この曲が発表された10年前だって、今だって、新しい時代が来ることを必死で祈っていることがひしひしと伝わってくる。

 

 

1曲目の時点で既に「TOKIO TOKYO」という箱の虜になりました。ライブが始まる前からステージ上にもくもくと煙が上がり、この大きさの箱で出すような量の煙ではなく、新しい箱だからこそこういうことが出来るのかな、とぼんやり思ってました。演奏が始まると、スピーカーから出てくる音の良さにびっくり。楽器ひとつひとつの音がきちんと分かれて聞こえるし、低音・高音をきちんと表現してくれるので、「FEVER」ぶりのお気に入りの箱になりそうです。音はそんな感じで、照明も最初は地味な感じだなと思ってましたが、途中から照明がくるくる回り始めたり、幻想的なライティングをしたりして、この箱、レベルが高すぎるだろ、なんでもっと早く来なかったんだろう(ライブの予定がなかっただけ)と後悔すると同時に、早くまたここでライブを観たいという欲望が沸き上がりました。そんなふうに思えるライブハウスは本当に少ないので、自分にとって大切な場所がまたひとつ増えたことがたまらなく嬉しいです。

 

 

アナログフィッシュのライブの感想から離れてしまったので、戻します。2曲目「SAVANNA」は今回のライブで一番聴きたかった曲なので、序盤に持ってくるかという驚きと、この曲もアレンジがアルバムとは異なり、どちらかというとアルバムのアレンジが好きだったので、そっちで聴きたかったな、でもライブで「SAVANNA」を聴けることに感謝しないとな、と自分を戒めながら、改めてこの曲のすさまじさに心がひりひりします。次2曲は佐々木曲で、どちらも普段のライブでも演奏しているので、そこまでレア感はありませんが、「荒野 / On the Wild Side」の再現ライブとして演奏されるとまた違った聴こえ方がして面白い。そういえば東京でのライブは今日、昼と夜で2回行われていて、そんな芸当をまだ出来るのがアナログフィッシュの地力なのだと思います。

 

 

4曲の演奏が終わり、佐々木がちょっと話してから、曲へ。「失う用意はある?それともほうっておく勇気はあるのかい」は正直なところ、あまり聴いたことがなかったので、「UNKNOWN」も「風の中さ」もそこまで思い入れは深くありませんが、「UNKNOWN」はライブ映えするんですね、知りませんでした(ライブでおそらく初めて聴いたはず)。

 

「今日もまたどこかで 何かが起こったの?」 
「今日もまたどこかで 何かが起こったよ」

 

のぶぶんを淡々と歌う下岡に痺れたし、

 

「UNKNOWN」

 

と歌うところを連呼気味に歌う下岡に痺れました。つまりはずっと痺れてて、ライブを観ないとその曲の本当の良さというものは分かりませんね。ここで思い出しましたが、州一郎さんは今日も相変わらずの笑顔でドラムを叩いてて、笑顔だけれどドラミングはとても強烈で、そのギャップにうっとりしましたし、アナログフィッシュのライブではついつい州一郎さんを観てしまうな、それだけ彼のドラミングは魅力的なんだということを再認識しました。続く「風の中さ」もライブで観るのは初めて。正直なところ、ライブで聴いてもそんなに心は動かされませんでした。「No Way」、「戦争が起きた」を演奏して、再び下岡のMC。

 

コロナになってからだいぶ経ったような気がするけれど、マスクは相変わらず息苦しくて嫌になるね。

 

そのMCからの「チアノーゼ」は確信犯でしょう。

 

もっと空気を 澄んだ空気を
この胸にいっぱいに満たしたくて

 

というぶぶんが10年後もリアルに聴こえてくるあたり、アナログフィッシュの音楽はどの時代に聴いてもしっくりくる、タイムレスな音楽なんだと思う。続くは新曲。先行で配信されている「Saturday Night City」同様に打ち込みが入っていて、90年代の音楽を彷彿させるような素敵な曲。次回のアルバムは打ち込みがメインになるのだろうか。続いて「Saturday Night City」を演奏。音源ではそこまでしっくりきませんでしたが、生で聴くと凄く踊れる感じの曲なんですね。踊っている観客がたくさんいたような気がしました(「荒野 / On the Wild Side」は立ち尽くして聴く曲が多いので、顕著に感じられました)。

 

 

3曲の演奏が終わり、再び下岡のMC。

 

声は出せないけれど、俺たちが音を出すので、みんなは心で歌ってくれ。
拍手したりしてくれ。
踊り明かそうぜ!

 

からの「PHASE」にグッと来てしまう。彼らのライブのアンセム的存在である「PHASE」も今日は普段と違って響いていて、いつも以上に観客の拳を振り上げる勢いが強く感じられました。みんな、ライブを求めていたんだろうな、と思うとこっちまで泣きそうになりました。「PHASE」の演奏が終わり、下岡がハンドマイクで歌う「Hybrid」で情緒がおかしくなった。この2曲を連続して歌うのは反則でしょう。久しぶりのライブのせいか、普段以上に下岡の歌声に力が入っているように感じられました。

 

あの時僕は彼女に恋をして
同じ理由で彼女を嫌いになった
抱きしめた時と反対の手順で
ほどけてく腕は少しの熱を残した

 

でいつも泣いてしまうの、どうかしたいな。

 

 

情緒が不安定な状態になってから、「Fine」でトドメを派手に刺されました。アナログフィッシュのライブはやっぱりすごい。音源ももちろん最高なんだけれど、ライブでのみんなの鬼気迫る演奏に圧倒されるし、優しい演奏も要所要所で挟んでくるから、情緒が不安定になります(良い意味で使っています)。

 

 

新曲を演奏して、本編最後はもちろん「荒野」。

 

行きたい場所は選択肢にはない
やりたい事はパンフレットにはない
誰も誰かの代わりにはなれないよ
そして荒野へ
その足で荒野へ

 

でライブが締めくくられる幸せ。ずっとずっと、アナログフィッシュのライブが続けばいいのにという願いは叶えられることはなく、本編は終了。

 

 

アンコールはすぐに出てくる。

 

10年前に日比谷野外大音楽堂でライブをしたけれど、だいぶ昔に感じられるね。
3日後の水曜日に新曲を配信して、12/8に新しいアルバムを出します。
4日後に下北沢シェルターでライブをやります。セットリストは変わります。現時点で売れ残っているのは僕達とギターウルフです(笑)。
とても光栄なことですね。
ありがとうございました。
またライブハウスで会いましょう。

 

下岡と佐々木がMCをして、アンコールは「Good bye Girlfriend」で締め。これにて今日のライブは終了。

 

 

あっという間の1時間30分で、しかしながらとても濃厚だったので、暫くは今日のライブの余韻に浸れそうです。次のアルバムは12月発売だから、アルバムツアーは来年の頭くらいにやってくれるかな。その頃はコロナの感じが今年の1月と同じ感じになっていないといいんだけれど。今日のライブを観て、改めてアナログフィッシュが大好きになったし、彼らのライブにはなにがなんでも参加しないといけないなと思うと同時に、そういえば来月のCRYAMYのライブに出るんだったっけ、どうしてCRYAMYと対バンするんだろう、どんな間柄なんだろう、どんな曲を演奏してくれるのだろう、どんなMCをしてくれるのだろう、その時も今日みたいにまだ安全な状況が続いていますように。

 

 

ライブがなくなったら、私は生きていけないんだよ。

 

 

<セットリスト>

01.Texas
02.SAVANNA
03.ロックンロール
04.ハミングバード
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05.UNKNOWN
06.風の中さ
07.No Way
08.戦争が起きた
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09.チアノーゼ
10.Is It Too Late?(新曲)
11.Saturday Night City
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12.PHASE
13.Hybrid
14.Fine
15.新曲
16.荒野
EN
17.Good bye Girlfriend

 

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