眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

何度目かの馬鹿正直

三度目の正直でまた婚活をしてて、何人かの女性とメッセージのやり取りを日夜、せっせと行っている。その中でとんとん拍子に話が進んで、月曜日からやり取りしてて1週間で会うことが決まった、岐阜県出身でいくつか共通点のあった茜(仮名)さん。アプリでの写真は正直微妙だったけれど、同郷というところと、メッセージをマメに返してくれて、会う前に電話をして、そこで好感触だったのでお茶をすることに。

 

 

渋谷でお茶をしよう、でも私はあまり渋谷に来ないので、ということで私が食べログで調べたお店にしましょうということで決まった。待ち合わせの10分前に茜さんは着いて、「待ってますね。慌てなくて大丈夫ですよ^_^」と言われるも、こちらが誘っておいて相手より遅く行くのはどうにも気まずい。小走りで店の前まで行くと、茜さんがスマホを凝視しながら待っていてくれた。

 

「初めまして、よろしくお願いします」

「こちらこそ」

 

と上辺の会話をして、当該のお店に行こうとするも店は満員。それもそのはず、15時なんてお茶のゴールデンタイム。あと1時間早めていればこんなことにはならなかったのでないかと焦りながら、「たしかにあっちにも喫茶店が...」とおどおどする私、ここで既に勝敗は決まってしまうのか。何軒か店を巡るがどこも満席。「本当すいません」「いえいえ、仕方ないですよ」とさりげなくフォローしてくれるが、目元がぴくぴくしているのでおそらく苛立っているのだろう。15分ほど彷徨い、ようやくうらびれたお茶所を発見して、そこでお茶をすることに。隣との席の間隔は狭く、椅子もパイプ椅子なので、これはもう私の敗北でいいです。日曜日のお昼過ぎにお茶しようなんて浅はかな考えでした。

 


アイスコーヒーが届き、喉が渇いていたのでちょっとだけ飲んで喉を潤す。他愛のない会話を1時間ほど続ける。主に話すのは茜さんで、私は聞き役に徹する。空港で働いてる茜さんは日勤と夜勤がごちゃまぜになることが日常茶飯事で、特に夜勤の日は新入社員の頃は大丈夫だったけれど、最近はけっこうしんどくなってきた。でも、滑走路の向こう側から見える日の出は本当に素敵で、そこから家に帰って飲む朝のビールは格別。アニメが好きで、ガンダムとかエヴァなどのロボット系のアニメが好き。大学生の時から中国にはまってて、少しでも時間があれば中国や台湾によく行っていた(他の国も含めると、今までで30回以上は海外旅行をした)。こうして文章に起こしていると普通の女性なんだけれど、1時間も話しているとどうにも居心地が悪くなってきて、早く会話を切り上げて帰りたかった。

 


「私が性格がきついから」の一言で、その後の会話で粗相をしても許されるわけではないですよ。そもそもそういうことはもう少し仲が深まってから言うものだと私は思うし、それくらいは話してて分かります。「私は性格がきついんで、思ったことはすぐに言っちゃうんですよ。今はだいぶ猫を被っていますが」とか、あまり言わないほうがいいんじゃないかな。猫、被りきれていないです。

 


あとは会話が正直なところ退屈だった。それは仕方がない。お笑い芸人じゃあるまいし、何気ない会話で楽しくなろうだんて烏滸がましい考えだ。でもずっと自分のことをぺらぺらぺらぺらと話されていると、私はスカッシュの壁かなと虚しくなってくる。ずっと面白くもない話を聞いて、それに対して「へえ~、そうなんですね。だったら...」と相手が話しやすいように相槌を打ったり、話したいと思われる話題を振るの、正直疲れた。しんど。もうだめ。やめて。離して。私はホストではない。少しくらいは、私に興味を持っておくれよ。

 


それくらいだったら別に仕方がない、そういうこともあるよね、そういう女性もいるよね、と済ませられるんだけれど。ちょっとモラハラ気質みたいなところがあって、これはあまり近づかないほうがいいなと危機感を感じた。そういえばどこの大学に行ってたんでしたっけ、と質問されたので、「○○大学に行ってましたよ」と応えたら、「たははっっ笑。そこ私蹴りましたよ。あんなところ行く人いるんですね」と冗談でもなんでもなく、真顔で答えるて、背筋がぞくぞくと震えた。そのあとも、「付き合うとしたら~~がよくて、もちろん~~なんて論外で。そういえば(私)さん、もうちょっと元気に話したほうがいいですよ。それだと陰キャラみたいじゃないっすか笑」という発言をかまされた日には、「ああ、今まで一人で慎ましく生きてきたけれど、それは間違っていなかったな。自分の感情を押し殺してこんな人間と一緒にいるくらいなら、一人でのんびり暮らしたほうが千倍は楽しいし有意義だよ」と思った。

 


1時間が過ぎ、心身ともにへとへとになったので、「ではそろそろ行きますか」と茜さんに言うも、「え~、まだ1時間しか経っていないですよ。この後の予定にはまだ時間があるんですよね。じゃあもうちょっと話しましょう」とぐっと腕を掴まれ、これが反対の立場だったら立派な○○ハラだよな、と思いながら、渋々再び話すことに。別にそこから会話が楽しくなることもなく、えんえんと自慢話と他人への恨み辛みを聞かされ、時折収入や年齢、学歴でマウントを取られ、「婚活ってこんなにしんどいんだね。今まで会ってくれた人がどれほど素敵な人たちだったのか、私は今、身に沁みて感じております」としゅんとした気持ちを抱えていた。茜さんがふっと気を緩めたすきに、猛ダッシュで逃げようかまで考えたが、それはあまりにも失礼なのでなんとか思いとどまった。いや、こんなことを考えながら接している時点で十分に失礼なんだけれど。

 


特にこちらから質問したわけではないのだけれど、突然茜さんが話し始める。

 

「私、今年で28ですけれど、別に結婚したいとかそういうのはあんまりないんですよ。でも、職場の後輩が、『先輩、そろそろ結婚したほうがいいんじゃないですか』とかせっついてきたり、それと私の地元は田舎でしょう。だから結婚とかそういうことを未だに重んじてて、『茜、そろそろ結婚したほうがいいんじゃないか』って両親に言われるんですよ。でもお父さんは私が大好きだから、『そんなの私の勝手じゃん』って言うとそれ以上は言ってこないし、お母さんは私にめっちゃ甘いから、全然せっついてくるわけではないんだよ。ないんだけれどさ、ほら、私の友達に出会い関係の仕事をしている子がいて。婚活パーティーとかマッチングアプリの運営をしているわけ。でね、それのモニターのなってくれないかってうるさくてうるさくて。で、先月にアプリのモニターになっているってわけですよ」


いきなり一人語りが始まってびっくりした。「どうして婚活してるんですか」なんて一言も訊いていないのに、上記のことをぺらぺら話し始めたのは、自分は婚活「なんて」ものをするような女じゃない、これはあくまで友達に頼まれただけであって、こうやってあんたと会っているのも不本意なんだよ、と言われているようで(考えすぎ)、話し始めて10分ほどで違和感を感じた私は間違っていなかった、と自分の判断に自信がついた。甘やかされて育ったんだろうな。いい人が見つかるといいですね。お疲れ様でした。

 

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