眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

恋って苦しいし寂しい

今日(5/3)は彼女との初めてのお家デートだったので、のほほんとした一日になるだろうと思っていたし、ほぼ最後までのほほんとしていた。しかし、最後の最後で彼女に仕掛けられたことで私は苦しくなったし、とてつもなく寂しくなった。

 

 

今日(5/3)は初めて、彼女のお家へお邪魔する日。「いつでも来ていいよ」と言われていたので、昼過ぎくらいに行こうかなどうしようかな、と嬉しい悩みを昨日から抱えていた。彼女の家の前までは一度だけ行ったことがあり、その時は彼女を家まで送り届けただけで、中に入ることはしなかった。まだ付き合って2ヶ月も経っていないのに、お家なんてどプライベートゾーンにお邪魔してもいいのかな、これはもしかして試されているのかな、彼女の家にのこのこ入っていったら思わぬ罠が仕掛けられていて、それにハマって悲しむ私を第三者が笑っているのでないか。そんな妄想をするほどに、わたしはお家へ呼ばれたことを警戒していた。

 

 

ご時世がご時世なので、お家デートはこの時期のデートとしては最良の選択だった。会う時間は予め決めてはおらず、私のタイミングの良い時に家に来てね、とのこと。その日は早い時間に起きていたが、朝から彼女に家に押しかけるのも気が引けたので、普段よりは早い時間に昼食を済ませてから会うことにした。最寄駅から彼女の家までの道を忘れてしまったので、申し訳ないけれど彼女に駅まで迎えに来てもらうことにした。お家へお邪魔するので、お土産として事前に買っておいた和菓子を持って家を出る。気持ちいいくらいに晴れていて、もしお家で過ごすことに飽きたら外を散歩するのもいいかもしれないな、と気楽に考えていた。私の家の最寄り駅から彼女の家の最寄り駅まではそこまで遠くなく、ぼおっと外の景色を眺めていたら彼女の家の最寄り駅に着いた。◯時◯分に駅に着く、と事前に連絡しておいて、「おっけー」と来ていたので、特に駅に着いたことを連絡することなく改札へと向かう。改札を抜け、周りを見渡しても彼女の姿を見つけられない。あれ、出る場所間違えたかな、と思っていたら、彼女が不意に現れた。「(私)さん、きょろきょろして私の事を探してましたよね。可愛くて、つい電柱に隠れて見てました」まるで夏のような暑さのせいで、私は汗をだらだらとかいてしまっていた。あまり汗をかいてしまったら、体から臭いが漂ってしまうのではないかと不安になる。「じゃあ行きましょう。(私)さん、家までの道、憶えていますか?」と彼女に試されたので、「途中までは、多分。自信はないけれど」と自信無さげに答える。「じゃあ(私)さんについていきますね。いきましょー」1ヶ月近く前に歩いた道を思い出しながら、おそるおそる歩いていく。「この横断歩道を歩くんだった、よね?」「......そうでーす」とニコニコしながら答える彼女。なんとか彼女の家まであと3分というところまで辿り着く。「ええっと、ここを真っすぐだったよね」「ぶー、残念です。友達もここで躓いてしまうんですよね」とここからは彼女が率先して道を教えてくれる。「ここですよ。次回からはこれで一人で来られますよね?」う~ん、道はもう覚えたから一人でも来られるけれど、出来ることなら駅から彼女の家まで、彼女と一緒に歩きたいな。

 

 

「じゃあ、どうぞ」と案内されて、彼女の家にお邪魔する。親戚以外の人様の家に入るのなんて何年ぶりだろう、くらいなので、彼女の家に入ったときに家から漂ってきた「人様の家のにおい」についつい興奮してしまう。私は自分の家ではない、他人の家の、なんともいえない、でも愛くるしいと評したくなる匂いがこの上なく大好きで、ここまで来れたことを嬉しく思う。彼女の家はとてもシンプルで、綺麗に片付いていた。「部屋が汚れているのが嫌なので、毎日掃除機をかけているんですよ」人様の家をじろじろと見るのはマナー違反、だと思いながらも、久しぶりの人様の家なのでついつい見てしまう。「何飲みますか?紅茶だと熱いし、お茶だと冷たいですよ」晴天の下をとことこ歩いてすっかり汗をかいてしまった私は、「冷たいお茶でお願いします」と彼女にお願いする。「はーい、了解です」と彼女。「どうぞー」と冷たいお茶を渡してくれる。「ありがとう。そうそう、この間言っていた和菓子持ってきたよ」「えー、忘れていたかと思ってましたよ。ありがとうございます。(お菓子の箱を開ける)わー美味しそう。これって、どれだけ食べていいんですか?」「◯◯ちゃんが食べたい分だけ食べていいよ。◯◯ちゃんが食べきれなかったぶんを私が頂くから」「えー、そんなこと言ったら、私、遠慮しないですよ」「いいよ。◯◯ちゃんのために買ってきたものだから」「ありがとう、嬉しい」と満面の笑みを浮かべている彼女を見ているだけで、私の心は幸せでいっぱいになる。

 

 

テレビをつける彼女。「今日で私のゴールデンウィークは3日目なんだけど、明後日で休みが終わってしまうのが悲しい。(私)さんは日曜日まで休みなんですよね。いいな、いいな〜」「私はそんなに休みはいらないから、あげられるなら◯◯ちゃんに休みをあげたいくらいだよ」「えー、ほしいなー」そんな緩い会話をだらだらと続けられる幸せ。私と彼女しかいない空間なので、余計な物音はせず、彼女の声を集中して聴けるので、いつものデート以上に彼女の所作を堪能できるのがたまらなく嬉しい。「そうだ。◯◯ちゃんに言われてたゲーム持ってきたよ。今からやる?」「わーい、やりたかったの。持ってきてくれてありがとう。やろー」ということで、買ったはいいけれど全然進められていないゲームを始める。「わー、懐かしい。でも凄く画面が綺麗。えー、こんなキャラがいるんだ」とはしゃぐ彼女。そんな彼女を眺めているだけで、私の心は満たされていく。ずっとこうやってのんびり彼女のことを眺めていたい。「わー、敵が襲ってくる。怖い怖い怖い、やめてー。いやー。負けちゃった」と、何度もトライをする彼女。「ちょっとコツが掴めてきたかも。これをこうして、こうやって、......やったー、倒せた!」と嬉しそうにコントローラを握る彼女。「(私)さんもやりますか?」彼女がゲームをしているのを見ると、私もしたくなってしまい、ゲームをプレイする。彼女が結構進めてくれたので、主人公は多少強くなっていて、敵ともほぼ互角で戦えるようになっていた。夢中になってゲームをする。「そうそう、そこ。ああ、後ろから新しい敵が来てますよ!」と彼女が教えてくれるおかげで、新しい敵に急襲されることなく、無事にステージをクリアする。そのゲームの画面はあまりにも解像度が高かったので、私の目はだいぶくたびれていた。一時間ほどゲームをして、「ごめん、ちょっと目が疲れたから休憩しない?」と彼女に言うと、「そうだね、ちょっと疲れたから休暇しよー」とのこと。

 

 

テレビを消して、無音になる。隣、ほぼくっついているような状態で彼女と二人、部屋にいるという状況が今になって緊張するような空間で、私の心臓の鼓動はやけに早くなってしまっていた。え、これって、もしかして、もしかすると、えっ......。「そうだ、さっき(私)さんから貰ったお菓子食べましょう。(私)さんは何を食べたいですか?」「◯◯ちゃんが食べたいもの食べて、余ったものを食べるよ」「わかったー」ということで、お菓子を二人で食べる。「美味しい。一人でこういうお菓子を食べることは本当にないからすごく久しぶり。最後に食べたのはまだ実家に住んでいたときだから、2年ぶりくらいかな。うーん、甘いっていいね」想像の十倍以上も彼女が喜んでくれたので、財布の紐をだいぶ緩めた甲斐があったというものである。ここから良い感じに会話をして......、と思っていると、彼女はおもむろにスマホを立ち上げて、動画を見る。「(私)さんも好きに過ごしてくださいね」今度行くテーマパークの動画を見ている彼女、たしかに今のうちに今度行くテーマパークへのテンションを上げるのはいいかもしれない。いいんだけれど、せっかく2週間ぶりに会えたんだから、こうやって会っているんだから、できれば動画は見ないで、その、あの、目の前にいる私と話してくれたら嬉しいんだけれどな。それともそういう風なのはあまり好きじゃない、私のことがそもそも好きじゃないから一緒にいるのにそうやって時間を過ごす、それはとても賢明なのかもしれないけれど、でも、せっかくこうやって隣にいるんだから、いられるんだから、私の方を向いていてほしかったな、と思うのは束縛の強い証拠なのだろうか。よく分からない。こういうことを考える時点で私の心は狭いような気がするし、でもせっかく久しぶりに会えたのだから他ごとに意識を取られることなく、お互いの顔を見ながらお話しできたらいいのになあ、彼女はそういうことを思っていないのかな、と寂しくなった。きっと、こういうことの積み重ねで私の彼女への気持ちはどんどん弱いものになっていくのだろうな。早い段階で自分の考えを彼女に伝えたほうがいいんだろうな、と思う。

 

 

ふと動画を止めて、彼女が私を見つめる。急にどうしたんだろうと、と妙にそわそわしながら彼女が話を切り出すのを待つ。「もし都合が合ったらでいいんですけれど、今度私の友達と会ってくれませんか?」ん、どういうこと?彼女の友達に、私が会う?それはどういった理由で?たくさんの?が頭のなかで瞬時に浮かぶ。「よく遊んでいる友達がいるんですけれど。その子に(私)さんのことを話したら、『会いたいー』ってなったので、もし(私)さんの都合が会う時に会ってくれませんか?」そんなイベントがこの世に存在するのか、と私はまず世界を知らない自分を恥ずかしく思った。それと同時に、(ちょっとめんどうなことに巻き込まれそうだな)と思った。彼女の友達が私に会いたい本当の理由なんて知らないけれど、私の大事な◯◯に合うような男なのか、私が見定めてやる、とかそういう理由で会いたいんだったら嫌だな、彼女には申し訳ないけれど会いたくない。うん、会いたくない。会いたくないよ。「う~ん、そうだな、ご時世がご時世だから、まだ難しいんじゃないかな」と濁す私。「コロナが落ち着いたら、友達に会ってくれますか?」尚も追撃を続ける彼女。「う~ん、どうなんだろうね。まあ、お互いの都合が合うんだったら、会うのもいいかもしれないね」

 

 

彼女から何度か話を聞いていたので、私に会いたがっている女の子のことを多少なりとも知っている。多分、その子は彼女の事が好きで好きで仕方がない子。あとから聞いた話によると、その子は彼氏っぽいところがあるそうで(彼女談)、記念日でもなんでもないのに花束を贈ってくれるような子なんだそう。あと、お互いの位置情報を共有しているので、いつでもお互いの位置が分かるんだって。それはちょっと、怖くないのかな。今の子はそんな風に友達とつるみたいものなのか。私にはそのようなことをする人の気持ちを慮ることができないような狭い人間なので、その子に会うのがちょっと、いやだいぶ嫌になっていた。私が彼女に対して抱いている不満の一つである、「恋人関係なのに、なかなか彼女に会えない」原因のひとつである、「友達とよく遊ぶ」の筆頭となるような子なので、もしその子がいなかったら彼女ともっと頻繁に会えたんじゃないかな、と思うと、若干の腹立たしさが芽生えてきて、これ以上考えてしまってもいいことはないのでこれ以上にしておくことにする。

 

 

彼女の友達に会う会わない話が終わり、目が休まったので再び二人でゲームをして、また目が疲れたので、ゲームをやめる。テレビは行楽地を映していて、「県外から、特に東京からたくさんの人が訪れています」と報道していて、この報道はそこの観光地にもっと多くの人を呼び込みたいのか、そのような報道をして最終的にどうしたいのかよく分からなかったし、もはやどうでもよかった。 緊張のせいか、彼女に頂いたお茶をたくさん飲んでしまったせいで、お茶がなくなってしまった。「(私)さん、すごくお茶飲みますね。一人だと3日くらいはかかるのに、今日だけで無くなってしまいました。まだ飲みますか?」「お願いします」ということで、追加でお茶を作ってくれる彼女。そろそろ緊張が解けてもいい頃合いなのに、私はまだまだ緊張していた。彼女がキッチンから戻って来て、私の隣に座る。遠いところから眺めたらもはや私と彼女はくっついているような状態で、私はまた緊張した。彼女の左手は空いていた。今、今ならばふっと素知らぬ感じで手に手を重ねたら、違和感なく手をつなぐことができるのではないだろうか。そんな不埒なことを考えていたら、最近悩まされている頭痛が徐に私を襲った。何度も経験しているので分かるが、これは放置していても治らない類の頭痛で、鎮痛剤を飲まないと治らない。ゲーム機を持ってくるためにわざわざ持ってきたトートバッグのなかに入れておいた鎮痛剤がここで役に立った。彼女に余計な心配をさせたくなかったので、彼女がテレビに夢中になっている隙に鎮痛剤をバッグから取り出して、お茶で飲み込もうとしたらその瞬間、彼女が振り返って私を見ていた。「えっ、(私)さん、どうしたんですか?」「えっ、いや、あの、ちょっと頭が痛くてね」「大丈夫なんですか」「うん、薬を飲めばちょっと楽になると思うから」薬を飲み、ちょっとだけ横たわってもいいか訊く。「もちろんいいですよ。ゆっくりしていってくださいね」その言葉に甘えて、私は小1時間休ませてもらう。

 

 

小1時間休ませてもらったおかげで、頭痛はだいぶ安らいでいた。でもいつ何時、頭痛が再発するか分からないので、予断は許されない。気づけばすっかり暗くなっていて、時計を見ると17時を過ぎていた。そういえば彼女の方から音が聞こえなかったけれど、何をしていたんだろう、と彼女に声を掛ける。「あー、私ですか。友達とLINEしてました」「そういえば、そろそろ夕飯でも食べる?」「そうですね~。先ほど食べたお菓子でまだお腹が満たされているので、そこまでお腹は空いていません。(私)さんはどうですか?」「私もまだ空いてないかな」「そうですよね。どうしましょうか」「どうしよっか」と堂々巡りの話をしていたら、ふと彼女が真剣そうにスマホを眺めていた。「すいません。友達から18時ごろに電話がかかってくるそうで。出てもいいですか?」「うん、もちろん。◯◯ちゃんの家なんだから、好きにしていいよ」「分かりました。ありがとうね」とは言いつつも、折角2週間ぶりに会えたのだから、出来れば私との時間を優先してほしいな、と言うのが本音だけれど、それを彼女に伝えるのはまだ早いような気がした。

 

 

18時をちょっと過ぎてから友達から彼女に電話が掛かってくる。楽しそうに友達と話す彼女。私はスマホを弄りながら、彼女の声が頭で意味をなさないように、慎重に神経を研ぎ澄ます。電話が始まって20分ほどが経っただろうか。電話から耳を話した彼女が私の方に近づいてくる。「友達が、ちょっと深刻な話をしたいみたいで。なので、申し訳ないんですけれど......」「そうなんだね。こっちこそだらだらと過ごしてしまってごめんね」急いで荷物を片付ける。ああ、これで次に会えるのはいつになるんだろう。次にいつ会うのか、いつデートするのか、というのは今回は彼女の方から切り出してくれて、しかし次の土日は友達と会い、その次の土曜日はお仕事なので、日曜日なら大丈夫ですよ、ということだった。しかし、その日はどれくらいぶりか分からないくらい久しぶりのももクロのライブなので、会うのは難しいかな、難しかった。でも、そうしたら3週間も彼女に会えなくなってしまい、そんなに間隔が空いてしまったら私の彼女への思いは薄らいでしまうし、彼女の私に対するそれも同様の事なので、どうしても避けたかった。「もしよかったらなんだけれど、朝、◯◯ちゃんのお家にお邪魔して、11時過ぎにおいとまさせていただく、っていうのはどう?」「私はそれでもいいですよ。わざわざそんな朝から来ていただいて、大変じゃないですか」「いや、◯◯ちゃんに会えるんだったら、多少心身に鞭打ってでも行くよ」と適当なことを話していた。話を今に戻す。「じゃあ、またね」と早口で言い、玄関へと急ぐ。「ごめんね。せっかくゆっくりしていたのにせかしちゃって」と申し訳なさそうに私を見つめる彼女。「ううん、こちらこそ遅くまでお邪魔してごめん。◯◯ちゃんが友達と電話するっていうタイミングで家を出ていればよかったね」「いえいえ、こちらこそごめんね」履きづらい靴を履いてきてしまったせいで、スムーズに靴を履くことが出来ず、30秒ほどわちゃわちゃしていた。「じゃあ、また、多分2週間後にね。お邪魔しまし...」と言い終わらないうちに、彼女が私をぎゅっと抱き締めた。え、ん、ん?「ごめんね。またね。ばいばい」と早口で言う彼女。私は胸がどきどきしてしまったせいで、彼女がどんな顔をしているのかを見られなかったし、緊張しているせいでよろめきそうになってしまった。「じゃあね、ばいあばい」と彼女の家の扉を閉めて、急いで駅へと向かう。

 

 

駅まで歩いている途中、先ほどの出来事を自分なりに消化しようとするけれど、なかなか消化しきれない。え、さっき、帰り際に彼女が私の事を抱き締めてくれたの、あれ、妄想じゃなくて現実だよな?え、でもなんで急にあんなことをしてきたんだろう。今まで手を繋ぐことすらしてこなかったのに、え、なんで急にあんな大胆なことをしたんだろう。でも私は彼女にいきなりそんなことをされて不快な気持ちになることはなく、気付くとにやけてしまっていて、そんな自分が恥ずかしくなった。こんな些細なことでにやけてしまっていたら、今後、よりもっと濃厚なボディタッチをしてしまったら自我を保てなくなってしまうんじゃないかと思う。本当にこれ、現実なのかな、とドキドキしながら電車に揺られている。でも一つだけひっかかっていることがある。それはデートの最中だというのに、彼女が友達と電話をしていたこと。彼女から友達に「電話をしよう」と言ったのではなく、その反対なのだけれど、久しぶりに会えたんだから、毎週のように会っている友達を優先するのではなくて、私の方を優先してくれれば良かったのにな、と大人げないことを考えながら、夜が濃くなっていくのでした。彼女に次会った時、どんな顔をして会えばいいのだろうか。

 

 

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