眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

彼女と5回目の電話

bigpopmonster.hatenadiary.jp

 

 

彼女のLINEへの返信を昨日から考えあぐねていて、文章では今の自分の気持ちは伝わらないし、彼女が考えていることを知りたかったので、不躾ながら20時過ぎに「返信遅れてごめん。電話してもいいかな?」と送った。5分ほどして彼女から「10分後くらいなら大丈夫」と来た。どのようなことを話すのかは粗方考えていたが、いざ10分後になると何を優先して話すべきか、そもそも何は話さない方がいいのか、ということを考え始めてしまう。10分が経ち、「大丈夫だよー」と彼女からLINEが来て、急に早くなる胸の鼓動。ここで待たせるのもおかしい、でも何を話したらいいんだっけ。私はテンパっていて、でもその勢いのまま彼女に電話をした。

 

「もしもし」
「もしもし」

 

まずはLINEの返信が遅れてしまったことを詫びる。「LINEが来ないからってあまり気にしないから大丈夫だよ」と彼女は言うけれど、それはそれでちょっぴり寂しいけれど、本当はちょっぴり怒っているのは声音が若干震えていたから分かった。「それよりも気になることがあって。私たち付き合って1ヶ月が経つけれど、LINEの返信、(私)さん無理してないですか?」と彼女から先制パンチを食らう。どうやら私があまりLINEを送らないので、別に返信したくなかったら無理して毎日返信しなくてもいいよ、とのこと。そうか、彼女はそのように考えていたのか。話してないと分からないことだらけだよな、と思いながら、「別に無理はしてないよ。でも、その、2日に1度だけでもいいから、5分とかちょっとの時間でもいいから、少しでも〇〇ちゃんの声が聴けたらうれしいな」と、思っていたことを素直に話す。「いつでも電話していいですよ。寝てたら出れないですし、起きてて出れる感じだったら出ますよ」とのこと。「わざわざ『今から電話してもいい?』なんて訊かなくてもいいですからね。電話したら出るんで。出れない時は出れないんで。もし『今から電話してもいい?』って訊かれたら「だめ!」って返すかもしれないです!」と優しい声で話しかけてくれる彼女。昨日聴いたはずの声なのに、昨日の帰り際の一件のせいで(おかげで)、私は彼女のことを強く欲していて、その渇望する心が徐々に満たされていくのを感じる。

 

 

そもそも何を話したかったのか迷子になりながら、普段の電話のようにとりとめのない会話を続ける。今日は何してたの、であったり、明日はどうするの、であったり。本当にとりとめのない会話で、それだけで私は十分に満たされていたのだけれど、今私が話さなくちゃいけないことはそんなことではなくて。いきなり私の方から気になっていることを話すと怖がらせてしまうと思い、「付き合って1ヶ月が経つじゃない。〇〇ちゃんは私と接していて、気になること、『これはちょっと直してほしいな』と思うことはある?」と訊いてみる。「う~ん、う~ん。ない。ないよ~。どうしたの急に」ときょとんとする彼女。もちろんそんな会話を私から切り出すということは、彼女から私に同じことを訊いてほしい、ということを察しのいい彼女は気づく。「私だけ言うのはフェアじゃないですから訊きますよ。(私)さんは、私の事で気になることはありますか?」いざその瞬間が訪れた時、私は事前に考えていたことをすぐに吐き出すことはできなかった。今更だけれど、自分の考えていることを彼女に伝えることで、彼女が傷つく可能性は0%ではないことに気付く。そんなものはずっと前から知っていた筈なのに、いざそのことを彼女に話そうとすると怯んでしまう。でも今話さないと、次話す機会までずっともやもやを抱え続けることになってしまう。勇気を振り絞り、彼女に気になっていたことを伝える。「え、そういうことなの。すごく引っ張るから、もっと重いことを言われるかと思ってたよ。うん、分かった。今度から気を付けるね」なんて優しい子なんだろう、ちょっと出来過ぎじゃないか......、と泣きそうになりながら、次の話したいことを彼女に言うにはちょっとドキドキが過ぎているので、再び世間話を挟む。

 

 

10分ほど世間話を挟んでから、いよいよ今日一番訊きたかったことを彼女に訊く。「〇〇ちゃんはさ、恋人とはどれくらいのペースで会いたいな、って思うの?」少しの沈黙。唾をごくりと呑んだ音は、彼女に聞こえただろうか。「そうか、そうだな。特に私はどれくらいのペースで会いたいとかはないかな。相手のペースに合わせるよ。うん。(私)さんは?」緊張しながら、私はこの1ヶ月以上抱えていた思いを伝える。「自分は週に1回は恋人に会いたいな。会う間隔がそれ以上開いてしまうと、『付き合っているのかな?』と不安になってしまう。もちろん相手のペースにも合わせたいけれど。付き合って間もないのに、会うのが2週間以上も空いてしまうと、付き合っている必要なくない?、と思う。だから、その、仕事終わりとか、少しの時間だけでも会えたらいいなって思うし、土日のどちらかに会えたら嬉しい。嬉しいと思う。でもこれは〇〇ちゃんに強制しているとかそういう話ではなくて、お互いの考えが合うところで落ち着きたいと思っている」私は自分の考えていることを包み隠さず彼女に伝えた。「そうだったんですね。そっかー。だとしたら、最近の感じだとちょっと不満を持っていたんですか?」「いや、まあ、そうかな。デートした時に『次はいつ会えるかな?』と次回のデートの調整をするとき、『その日は友達と会うの』と言われ、『その次は違う友達と会うの』って言われるとちょっと寂しくなるんだよ。なんてちっぽけな男なんだよと自分でも辟易してるんだけどさ」「そうなんですね。では......」ということで、彼女が今後、友達と会う頻度を少なくするという結論には至らなかった。平日のどこか、お互いの仕事が早く切り上げられた時にどっちかの職場の近くで夕飯を食べましょう、ということになった。でもまだ緊急事態宣言が明けていないし、明けたところで飲食店の営業時間は短いので、落ち着いてから会うというのが現実的じゃないかな、という話にまとまる。「平日に会うとしたら、金曜日がいいかな。次の日が休みだと助かる」仕事がある日の彼女の一日は早く始まるので、そりゃそうだろうと思う。そうなんだよ。そうさ。そこまで話が出来たことを嬉しく思うし、彼女の考えをしっかりと聞けたのもとても有意義だった。自分の生活を壊してまで私に会おうとしないところもいいと思う。彼女にはできる限り、健康でいてほしいと思うから。

 

 

「私たち1ヶ月くらい付き合っているじゃないですか。でも感覚としては2、3か月付き合っている感じがしません?」「お泊まりしたいですよね。温泉行きたいー」「次会う時までにゲームを進めておいてくださいね」「(私)さんに初めて会った時はとても丁寧だったと思うんですけれど、最近はとても雑な感じになってますよね。話をしているときに無音になってもそれを楽しむというか。頑張って話題を探さないというか。私、結構そういうところがあるんです」「毎日掃除しているんですよ。部屋が汚れているととても気になるんです」「あー、明日で仕事が始まってしまうのが本当にやだー。やだやだやだ」「次会う時も多分まだ緊急事態宣言が明けていないですよね。なので、どちらかの家でお家デートしましょう。もし(私)さんの家出お家デートすることになったら、(私)さんのお散歩コースを一緒にお散歩したいです」「お仕事、辞められるなら辞めたいです。好きなんですけれど、自分の時間を割いてまで仕事はしたくない。人間的な生活がしたい」「今日話したので、次からは電話したい時に電話してくださいね。私も電話したいときには電話かけるので」「(私)さん、すごく優しいですよね。気を遣ってますか?」

 

 

彼女はたくさんのことを話してくれて、その話をうんうんと頷きながら聞いていると、このまま寝てしまいたい、寝たら良い夢を見られるだろうなと思う。ここには書けないような、恋人関係であるからこそ話せるようなこともたくさん話してくれて、私は多分、多分じゃなくて確実に彼女と付き合っているんだな、という実感を手にした。

 

 

私にも話したいこと、相談したいこと、たくさんあって、ずっと話していたかったけれど、気づいたら一時間以上も電話をしていた。彼女は今日、友達と8時間以上もお話をしてて、そんでもって喉の調子もあまりよくないので、よくよく考えたら、いやよくよく考えなくても分かることなのだけれど、こうして話しているのは彼女の喉に負担をかけていることで、そろそろ電話を切り上げたいんだろうな、という雰囲気は彼女から伝わってきた。とても眠たそうな声の色だった。

 

 

どちらからともなく「それでは」という言葉を口にして、「ばいばい、おやすみなさい」と言い合って電話が終了した。

 

 

ここには書ききれないたくさんのことを話して、それでも私は彼女ともっともっと話したいと思っていて、それは彼女のことが好きだからなのか、それとも単に生きることの寂しさを埋めるためだけなのか、それは自分ですら判断できないのだけれど、こうしてずっと聞きたかったこと、直してほしいと思っていたことをきちんと彼女に伝えて、そして彼女も上辺ではない、親しい間柄ではないと話さないような内容の会話、言葉のチョイスで、今日電話してよかった思ったし、彼女の負担にならない程度に電話できればな、と思った。

 

 

そういえば、昨日のデートの最後の件、恥ずかしいけれど彼女に聞いてみたら、「せっかく来てくれたのに、見送るのが急になってしまって、申し訳なくなったからああしちゃったのかな。深い意味はないよ」とのこと。深い意味はないのか。彼女の行動の一つひとつに意味を見出そうとしているけれど、彼女は本能のままに動いていて、その行動は奥底に計算は含まれていないのかもしれないな、と思った夜でした。早く彼女に会って、とりとめのない話をずっとしていたいな。