眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

惚れた方の負け、なんてない

bigpopmonster.hatenadiary.jp

 

 

恋人と3回目のデート。今日は彼女が観たいと言っていた映画を観て、その後にお昼ご飯で焼肉を食べる、その後どうするかはその時になってから決めようということにしていた。

 

 

集合時間が12時だったのでのんびりやっていたが、気づくと家を出なければいけない時間になっていて、慌てて家を出る。彼女はまだ風邪を引いていて、少しでも彼女の力になりたかったので、途中、ドラッグストアで喉飴を買って電車に乗る。11時過ぎの電車はのんびりとしていて、晴天も相まってなんだか眠くなってしまった。このまま寝てしまったらどれほど気持ちいいんだろうかと妄想をしてしまい、いかんいかんと我に帰って駅に降り立つ。

 

 

いつものように集合時間よりも20分ほど早く着いてしまい、適当にその辺りを散歩する。何かしらの用事がないと降り立つことはないだろう駅で、こちらに再び上京してからおそらく初めての訪問なので、懐かしさとか新鮮さ、そして相変わらず人手が多いな(自分も含めて)と思っていると、「駅についたー」と彼女から連絡が来たので、「私もついたー」と返し、駅の改札前に急いで行く。彼女はスマホを眺めながら待っていて、そこだけ光が濃密に降り注いでいるように感じられた。後ろから「こんにちは」と声を掛け、「あら、こんにちは」と返ってきて、一週間ぶりの邂逅となった。「では、映画館に行こうか」気持ちいいほど晴れている空の下、ちょっと風が強くてたまに寒くなる、そんな天気の今日を二人で歩く。彼女は今日もお洒落をしてて、可愛くてぼーっと眺めていると目の前を歩いている誰かにぶつかりそうになった。「晴れて良かったね」「ねー。でも日陰に入るとちょっと寒いよね」

 

 

映画館に着くと、「グッズ売ってるかな」と目を輝かせる彼女。しかしながら今回観る映画のグッズは置いてなく、えんえんとコナンのグッズが置いてあった。「あらららら」と言いながら、開場時間になるまでちょっぴり待つ。何気ない会話、でも顔を見ながらの会話は至福で、でもマスクをしているので些細な表情までは分からず、早くマスクがなくてもいい世の中になってくれればいいのになと願う。開場時間になり、スクリーン◯に移動し、席に座る。「どんな客層なんだろうね」「ねー。お子さんとかが多いのかな。それともガチの人が多いのかな」映画館の密室の中なので、会話はあまりしないほうがいいだろう。そういえば彼女は映画を観るときはジュースもポップコーンも食べない人で、特に今日はこの後お昼ご飯に焼肉を食べるので、ポップコーンを食べてお腹が膨れてしまうのはどうしても避けなければならなかった。「ポップコーンの匂いを嗅ぐと、ディズニーランドを思い出すの」「確かに」というやり取りを最後に、目の前のスクリーンで流れている予告を眺め、暫くしてから映画が始まる。2時間ほどの映画で、時折エグい描写があり、その時隣で座っている彼女が両手で目を覆っていて、ああ、女の子だな、とよく分からない感想を抱いた。あまり期待していなかったけれど、そこまで飽きることなく楽しめた。内容はなかったけれど。ただ、一週間ぶりのデートの2時間を、ただ隣に座っているだけで会話ができない状態はちょっぴり寂しかった。映画デートはそんなもんだろう、と言われればそれまでだけれど、今の私は映画を楽しむより、彼女と何気ない会話を楽しみたい気持ちが強かった。映画が終わり、「終わったねー」「あっという間だったね」と言い、映画館を後にして、急いでお目当ての焼肉屋さんへと向かう。

 

 

道中で先程観た映画の感想合戦をして、意外にも楽しめたので私の感想の熱量にも気合が少しだけこもっていた。彼女は満足そうな顔をして、「面白かったねー」と言う。マスクをしているので細かな表情は分からないけれど、きっと満面の笑みを浮かべているのだろう。焼肉屋を見つけ、エレベーターを上がっていく。私はエレベーターマンを演じ、ずっと開ボタンを押して、中にいる人が外に出るのを待つ。最後に彼女が降りて、「ありがとうね」という言葉を聞いてホッとするくだりをこのあと何回もすることになる。先客が2組いて、間に合うのか、ランチタイムに間に合うのかとヤキモキしていると私達の番になる。店員さんが来て、「14時30分ラストオーダー、15時には申し訳ないですけれど退店してもらいます」とのこと。現在時刻は14時28分。これはさすがに厳しくないか。彼女に相談すると、「他のお店にしよっか」ということになり、泣く泣く他のお店へ行くことになった。この店がなくなったことで、代わりのお店を用意していなかった私は、彼女とその辺りを歩くことになった。「いろんなお店があるけれど、う〜ん、なかなかいいところがないね」とどちらからともなく言って、「そういえばさっきの映画館があったビルの中にご飯屋さんがたくさんあったよね」ということで、先程の映画館に戻る。商業ビルなのでいくつかの飲食店が入っており、その中に私達の第一候補である焼肉屋さんも入っていたので、そこへと向かう。メニューを眺め、「ここにしよう」「うん、ここにしよっか」ということになり、すっかりランチタイムからかけ離れた時間なので私達以外に客は2組しかいない、逆に過ごしやすい環境のお店に入ることができた。これで良かったのかもしれない。メニュー表を二人で眺め、ああでもないこうでもない、ということをデートでしたかったから、この時間がとても幸せすぎて、そのまま蕩けてしまいそうだった。デザートが大好きな彼女、デザートをじっと眺めていて、「迷うんだったら全部食べてしまえばいいんじゃない」と唆す。「でもね、全部食べたら太っちゃうの。でもどれかは食べたいんだよね。ああ、アイス美味しそー」と悩む彼女、ついつい全部をオーダーして、私はそれらに手をつけずに彼女に全てを食べさせてあげたくなるこれはなんだ?注文し終え、やっとこさ彼女の顔をじっと見ながらお話しできる時間が来た。さっき観た映画の話をちょこっとして、昨日は何してたの?という彼女の質問に、「ほぼ一日中家でのんびりしてた。雨降ってたから外に出る気分じゃなくて。でもずっと家にいるのも良くないかなと思って、昼過ぎに散歩をした」と言うと、「(私)さん、本当に散歩が好きなんですね」と褒められているのか貶されているのか、いやそんなことを考える私は相当に性格が悪いのだ悪いよな、とか考えていて。「そういえばですね。今度(私)さんのお家の近くで遊ぶことがあったら、(私)さんがいつも散歩している道を一緒に散歩したいなー」今日一で嬉しい言葉を頂きました。彼女と散歩、理想のデートじゃないですか。まだ手を繋ぐほどの関係性には発展していないのですが、いやはや、そんな素敵なデートを提案してくれるなんて、彼女は本当に可愛くて素敵な女の子なんだな、ということを再確認した。もし彼女とのデートでいつもの散歩道を一緒に歩くことになったら、時期はいつがいいだろう、夏が来る手前の、過ごしやすい時期である今が最適なんじゃないだろうか。5月のどこかでそんなデートができたら最高だろうな。でも5月はそういえば土日はみっちりとライブの予定が入っていたっけ。ライブは始まるのが18時頃なので、それまでの時間でデートをするのもいいかもしれない。しかし、今日のデートでも分かったけれど、たかだか4時間のデートでもくたくたになってしまった。その内の2時間は椅子に座って映画を観ていただけだというのに。なんでこんなにも疲れてしまうのか。一因として、私が彼女に対してまだ緊張してしまうせいだ。真面目過ぎる私は、彼女の一挙手一投足を気にして、(今楽しんでくれているかな。退屈していないかな)と気にして、そのせいで心理的な負担がどさっと降りかかっている(でもよく考えると、それは真面目というより「小心者」といったほうが適切だろうか)。会話ひとつするだけでもはあはあぜえぜえとして、これ、このままずっとこの状態が続いたら、自分、死んでしまうのではないかと不安になってくる。そういえば私は昔から人と接すると尋常じゃないほど疲弊していた。小学生の時、その時が一番友達と遊ぶことが多かったのだが、遊ぶと言っても小学生なので学校が終わってから夕飯時までなので、長くても4時間も遊ばない。私は小さいころから極度の人見知りだったので、遊ぶ子は固定のメンバーで、だから気負うことはなかったはずだが、遊び終わって家に帰ると頭がじんじんと痛み、夕飯が喉を通らず、ずっと床に寝そべってはあはあぜえぜえしていた。母親から「そんなにしんどいんだったら、友達と遊ぶのやめたら?」とよく言われていた。友達と遊ぶのも好きだったけれど、一人で遊ぶのも好きで、一人で遊んでいるときはもちろん心理的負担が掛からないので、何時間でも遊んでいられた。その時から私は「その人が例えどれだけ親しい間柄の人だとしても、遊ぶと疲れる」系の人間で、それは今でも全然変わらない。社会人になってからは人と接することが極端に少なくなったので、今まで以上に人と接するときにはストレスを感じてしまい、接し終わったらぐったりする。だからどうしろという話ではないし、途中でだいぶ脱線してしまったので読んでて飽きてしまったかもしれないけれど、私はそういう人間なので、これは治るかどうか分かんない。うまいことこの性格と付き合っていくしかないのだろう。

 


話をデートに戻す。どこまで話したんだっけ。注文をし終え、料理が運ばれて来るまでのんびりと話していたところか。時間は15時前で、客は私たちを含めて2組ほどしかおらず、他の客は静かな人たちだったので、集中して彼女の話を聞くことが出来た。次に彼女に会うのはGWの中盤で、だから2週間以上も会わないのか、それはちょっと寂しいよな、と思って、「そういえば来週の土日は友達と遊ぶ約束をしているんだっけ」と彼女に聞いてみた。「うん、土曜日は友達とバスツアーに行ってくるの。千葉の、海の方に行ってね、海鮮丼を食べるの。で、その日は友達が私の家に泊まって、次の日もその友達と遊ぶの」そうか......。彼女、めっちゃ友達と遊ぶじゃん。昨日も友達と泊りで遊んでいたし、私という存在が不要なのではないか?男性に告白されて、そこまで変な人間じゃなかったから「取り合えず」オーケーしてみただけで、そこに愛というものは存在していたのだろうか?愛なんて、概念だけしか存在しえない不確かなものを俎上に出すと話がこんがらがってしまい、一向に前に進める気配がないのでこれ以上愛についての話はしないけれど、友達が少ないといいながら、でもその少ない友達一人ひとりと濃密な時間を過ごしていたら、恋人が入り込む余地がないよなー、とか思ったりする。彼女と付き合い始めてそろそろ1カ月が経つけれど、そのことについていろいろと考えあぐね、で、私はどうしたらいいのだろうか、ということに対する答えは一向に出ていない。出そうとしていないだけかもしれない。全力の現実逃避。別に、1週に1度、もしくは2週に1度しか会えなくたって、寂しさで死ぬわけではないし。私だって土日のどちらかはライブの予定が入っているから、友達との遊びを優先する彼女に文句を言える立場にはない。そもそも、来週は土曜日にライブ、日曜日に観劇の予定が入っていたので、何で私は彼女に来週の予定を聞いたんだろうか。もうちょっと、彼女に執着するのはやめませんか。私ばかり相手に執着していると、パワーバランスがおかしくなって、彼女が負担に思ってしまうかもしれないし、「なんで私ばかり相手を好きなの?」と自分で自分の首を絞めることになるので、これ以上予定が合わなくてやいやい文句を言うのはやめましょう。ちょっと愚痴っぽくなり、こんな話ばかりしていると辛いのでさっさと切り上げたいのですが、もう一つだけ吐き出させてください。今までのデートとか電話、全て私がしたいと言って実現していて、もし私が何も言わなかったら何も実現せず、彼女との関係は自然消滅していたんじゃないかと思うと、恋愛は惚れたもの負けだよな、と寂しくなる。私が(多分)一方的に彼女のことを好きになり、4回のデートを重ねて告白してオーケーを貰ったので、彼女が私に対して、私と同じほどの好意を抱いているのかは分からない。好意なんてものはこれからコミュニケーションを積み重ねてくうちに自然に育っていくもので、初期の段階で「好意が足りないーー」と嘆くのは子どもじみていませんかと思っただけで、そこはもうちょっと大人になろうよと思っただけでした。ここまで読んでいただいてお疲れ様です。ここからも多少の愚痴が混ざるので、ここまで読んで疲れてしまったようでしたらこれ以上進まれるのはおすすめしません。

 


そういえば最近、彼女のことを褒めていなかったよなとぼんやり思い出し、彼女のことを仔細に眺めていると可愛らしい指輪をつけてて、自然な感じで指を触り、「可愛い指輪だね」とボディタッチを図る。彼女が私に対してまだ心を開いていなかったら、すっと手を自分の方に引き寄せて、「ちょっともう、気軽に体に触れないでもらえますか」と怒られることだろう。現実はそんな悲しいことは起こらず、「えー、ありがとう。これはね、大学の友達に不意に貰ったものでね。とても気に入っているの。そうそう、耳にもこれと同じのをつけていてね、ほら、可愛いでしょ?」と自分の耳をつまんでイヤリングを見せてくれる。指輪と同じ種類のイヤリングをはめていて、それはどうやら耳を貫通しているようだった。「あれ、もしかして耳に穴を開けているの?」「そうなの。これ、大学の時に開けたの」「痛くなかった?」「う~ん、よく覚えていないけれどそんなに痛くはなかったよ。パチンって開けて、それで開いたの」と丁寧に説明してくれるので、ピアスの穴を開けたときの情景が臨場感を持って迫ってきて、彼女の言語感覚の妙を感じる。彼女は発する言葉一つひとつを丁寧に選んでいる感じがあり、彼女とお話ししているとその優しい声音と素敵な言葉のチョイスで、普段はあまり意識していないけれど、日々の疲れで凝っている心の奥の奥の方の、とても敏感なぶぶんが解されていく感じがあり、もっと彼女とお話ししたい、と思う。それほどまでに魅力的な語り手ならば、いっそのこと小説を紡いでみたら素敵な小説家になれるのではないかと思うけれど、それを彼女にそのまま伝えるのはあまりにも節操がないので、これは私だけの思いとして留めておく。ここに書いてしまったけれど。

 


料理が運ばれてきて、開口一番、「えーー、とても美味しそう!」とはしゃぐ彼女、先程いろいろと愚痴を零してしまったけれど、紛うことなき女神なんだよな。「すごい、これだと全部のお米がおこげになっちゃう。香りもすごく美味しそう」と、自分の気持ちを素直に表現してくれる彼女を見ていると、私も自分の気持ちを素直に表現できたらな、とちょっぴり寂しくなる。当初の予定では肉を鉄板に乗せてじゅうじゅう焼くつもりだったが、だいぶこじんまりしてしまったものだ。それでも美味しそうに料理を食べている彼女を見ていると、彼女と一緒ならどんなお店の料理でも一流レストランのフルコースほどの威力を発揮してしまう。彼女が口にものを入れてもごもごしているときにうっかり質問してしまい、「へえーとね、ほひはふへ」と物事を伝達するのはからっきし向いていないけれど、ただ可愛さに溢れた声を聴けたので、今度のご飯でもついつい聞きたくなっていじわるしてしまうかもしれない。「(私)さんは、仕事は大丈夫?」と不意に彼女から質問され、「今は特に転職の予定はないかな。別に仕事が忙しくて辞めたいわけではないし」と応えると、「違う違うー。そうじゃなくて、仕事が忙しいかなと思ったの」とのこと。う~ん、普段はあまりそういったことを私に訊いてこない彼女、これは私の仕事が大変だから愚痴を聞いてほしいということなのだろうか。でもそうだったとしたらこちらから仕掛けなくても彼女の方から話し出すだろう、と思って簡単にこの話題を切り上げようとしたら、あっさり切り替わって、「デザートどうしよっか。生チョコアイスとても気になる」という話になったので、そこまで仕事に対して辛さは感じていないのかな。ご飯を食べ終え、そろそろ行きますかといった空気が流れ、「ちょっとお手洗いに行ってくるね」と言った彼女が握っていたスマホから漏れ出ていたページ、転職サイトのページで、結構真剣に転職を考えているんだな、もし愚痴や不平不満があったら私に相談して欲しい。しんどい時にしんどいことを吐露して頼って欲しい、そう思う。自分からはあからさまに「仕事辛いの?」なんて訊かないけれど、彼女から仕事の愚痴を話したい聞いてほしいという雰囲気が漂っていたら、すぐにそれを察知して、彼女が背負っている重たいものをその背中から引き剥がしたい。それで彼女の心が少しでも楽になるのなら、私は苦労なんてものは厭わないよ。

 

 

お手洗いから帰ってきた彼女、「じゃあ行こうか」となり、今回のお会計はどうなるんだろう、そういえば先ほど観た映画のチケット代もまだなんだけれど、どうなるんだろう、と思っていて、でも特に財布を出す素振りもなく、「ここは割り勘で、げへへへへ」なんてセコイ芝居は打ちたくなかったので、会計をすっと済ました。「今度の土曜日に友達に会うんだけれど、その子からいろんなものを貰っていて、そのお返しがしたいの。お菓子か、もしくは雑貨でも買おうかなと思っていて、ここのビルの中にあるかな。ちょっと見ていい?」と聞くので、「もちろん。行こう」と返す。まあ、そこまで高いご飯ではなかったし、ちっぽけなお金のことでぐちぐち悩むのはかっこ悪いよな。楽しい時間が過ごせたんだから、別にそれくらいいいんじゃない?と無理やり自分に言い聞かせる。2つ下のフロアで、彼女の友達が好きそうなものを探していると、彼女が不意に、「あっそういえば、さっきは自然に奢られてしまってた。ありがとうございます」とのこと。次回からちょっとだけ意地悪というか、何かしら仕掛けたいなと思った。そういえば二人でこうやってウィンドウショッピングをするのは初めてで、彼女がお店に並べられている商品を見て、「えー、これすごく可愛い。私が欲しいな。これをプレゼントしたら、友達は喜んでくれるだろうか」(あなたが真剣に考えて選んだものだったら、なんでも喜ぶと思うよ)とぼんやりしつつ、多少の疲れを感じていた。いやいやいやいや、全然体を動かしていないのになんでこんなに疲れてしまっているの。緊張、まだこんなに緊張してしまっているからなの。今更どうしたってことよ。嫌われたくないから、過剰に自分を演出してしまっている?そうしたほうが彼女に好印象を持たれづらいと思うよ。それにいつまでも自分じゃない自分を演じていたらどこかでボロが出るだろうし、死ぬまで自分じゃない自分を演じるのは現実的ではないですが、どうでしょうか。とか考えていた。なかなか前には進めないものです。

 

 

友達へのプレゼントの目処はついたようで、「付き合ってくれてありがとうね」と笑顔で私に言う彼女、可愛すぎて人目を憚ることなくぎゅっと抱きしめたくなった。惚れた方の負け、だなんて思わないよ。店を出て、さてどうしようどうしよっかー、という雰囲気。彼女からは喫茶店に行きたい雰囲気は漂っておらず、駅の改札をじっと見ていた。「このあとどうする?」語りかけても彼女はじっと改札を見ている。「ちょっとだけでもお茶しない?」「うん、そうしよっか。でも空いてるかな」と、まだ改札を見ている彼女、私は彼女の意思を尊重してここで解散、ということにすればよかったのだろうか。でも私はまだ全然彼女と話し足りなくて、で、次に会えるのは2週間後だから、多分ここで別れたら寂しくなってしまうから。そんな情けない自分を守るためにお茶に誘ったのだが、時間が時間だったのでどの喫茶店も満員で、「じゃあ帰ろうか」となってしまいそうになった。そこで彼女から絶妙な提案。「初めてのデートで一緒に家電製品を見たじゃん。それがまだどれを買おうか迷っていてね。もし近くに家電屋さんがあるんだったら、ちょっと覗きたいなー」ありがとう、ここには家電屋さんがあるのです。ここから5分ほど歩くのですが。「じゃあ行こうか」隣に歩く彼女、たまに2人の距離感がおかしくなって、ちょっぴりだけれど彼女の体が私にぶつかって、その時に彼女から発せられている柑橘系の匂いが私の鼻腔をくすぐる、その瞬間に私は私じゃなくなりそうな気がした。もう手を繋いでもいいんじゃない?とチラチラと彼女を眺めていたが、彼女の両手はぐっとバッグに繋がれていて、そこから両手を剥がすのは忍びなかったので、家電屋さんに着くまで結局は手を繋げなかった。このいくじナシが。家電屋さんでいろんな種類のを見てみるが、今日の段階でもまだ決められなかった様子。「よく分かんなくなってきた。今ので十分使えているから、特に必要ってわけでもないんだよね」ということで、10分ほどで家電屋さんから退却。

 

 

「じゃあ、帰ろっか」となり、駅までの数分間、私は何を話せばいいのか分からなくて、ただ真っ直ぐの景色を眺めていた。ふと彼女の顔を見てみると、何かを言いたそうな顔をしていて、でもその顔から何かを聞き出す前に駅に着いてしまった。「駅に着いちゃったね」「ねえ」「俺はこっちのだから、ここでお別れだね」「うん」その時、デートに来る前に買った喉飴の存在を思い出し、徐に彼女の手を握る私。「ん?どうしたの?」彼女の手を優しく開いて、そこに喉飴をのせる。「風邪、だいぶ良くなったって言っていたけれど、明日から仕事で、たくさん話す仕事だから、もしかしたら風邪がぶり返してしまうかもしれなくて。だから、ちょっとでも喉がしんどいなと思ったら、喉飴を舐めてね」「そうだったんだ。この喉飴、医薬品のだよね。わざわざ買ってくれたんだ。ありがとう。大好きな味だから、風邪が治っても舐めるかも」最後にとびっきりの笑顔が見れて、私は幸せです。「じゃあまたね。ばいばい」「ばいばい」

 

 

帰りの電車、もう少しかっこよく喉飴を渡せたんじゃないか、とか、お昼ご飯を食べ終わり、友達へのプレゼントが決まった段階で過ごしやすい疲労の色が見えたのだから、自分の欲望のために彼女に無理させてしまった自分を恨んだ。私は私のことが大好きなようで、でもそんな私に対して鬼のように対応することもできなかった。彼女はお姫様なのだ、という意識で彼女に接したらちょうど良いんじゃないのかな、と思う。今日はあまりお話ができなかったけれど、少ないながらも彼女のことをいくつか知れたので嬉しかった。

 

 

でもな、でも本音を言えば私はもうちょっと一緒にいたかったんだよな。彼女は自分の観たい映画を観て、食べたいものを食べて、買いたいプレゼントを決めて、それで満足だったのかもしれないけれど、私は彼女ともっとお話しして、会えない分の孤独を埋め合わせたかっただけなんだけれどな。こういう感じの付き合いがこれからも緩く続いていくんだったら、多分、どこかで我慢しきれなくなって、私はこの恋を諦めてしまうのだろうな。でも、いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう、そんな気がひしひしと私の中で迸っている、そんなデートの終わり。次のデートこそ、一日中幸せな気分で過ごせたらいいな。付き合う前はそれが普通だと思っていたけれど、現実はなかなかに厳しいものですね。