眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

彼女と3回目の電話

bigpopmonster.hatenadiary.jp

 

 

今回の電話は、今度の日曜日の映画デートで彼女に相談したいことがあり、昨日、「相談したいことがあるんだけれど、明日の夜電話してもいい?」と聞いてみて、今日の朝に、「20時過ぎになるかもですけどいいですよ」とのことで実現した電話である。何か口実がないと電話してはならない、わけではないのだけれど、まだ口実がないと電話してはいけないような感じを自分で勝手に感じていて、だからデートのおかげで平日の夜に彼女と電話できるのは幸せの極みだった。

 

 

19時過ぎに彼女からLINEが届き、「家に到着!今からご飯とかお風呂とかするので、それらが終わってからでいい?」とあったので、「もちろん。ごゆっくり〜」と返した。あと1時間もしたら彼女とお喋りできる。それだけで眩暈がしてしまいそうなほどに幸せが身体中を駆け巡っていた。

 

 

音楽を聴いたり、ネットを徘徊しているとそれなりの時間になって、でもまだ彼女から連絡が来ていないので、「もしかしたら眠ってしまったかな?木曜日だし疲れが溜まっているんだろうな。お疲れ様」と思っていたら「準備できたよ〜」と来たので、深呼吸してから彼女に電話をした。

 

 

彼女は風邪をひいていた。ここ最近、東京は冬に戻ったかのような気温で、それと多忙極まるお仕事のせいで彼女は風邪をひいてしまった。「喉がしんどくてね。お仕事中はずっと話していないといけないから、喉が休まる時間があまりないんだ」と話す彼女、私は仕事中に殆ど喉を使わないので、どうか私の喉を貴女に貸してあげたいのです。「金曜日の夜に友達が泊まりにきてたくさんお話しして。だから日曜日はもしかしたら声がでないかもしれない」とのこと。もし声が出なかったら、お互いの手を握って、そうしていれば多分言葉は必要ないんじゃないかな(何言ってんだか)。

 

 

このままずっと取り留めのない話をしていたいが、電話をかけた目的であるデートのことを相談した。観に行く映画が14時過ぎに終わってしまい、それだとお昼ご飯に間に合わないんじゃないかな、と思ってて。ということを話すと、「それはちょうど良い時間だね」とのことで、確かに冷静に考えたらランチの時間には間に合うな、と焦っていた私は一気に冷静さを取り戻した。「わざわざ調べてくれてありがとうね」としおらしく言う彼女、貴女の為ならどれだけ困難な課題だろうと何が何でも解いてみせます。

 

 

そのあとはフリートーク、テレビでもラジオでもない、これは一般人と一般人の会話なのだからフリートークに決まっているのだけれど、視聴者のことを気にしないで、自分が話したいこと、彼女が話したいことを交互に交換し合い、そのなかで共感や発見が生まれるのが何よりも面白く、こういう刺激は一人で娯楽と向き合っている時には感じられない類の面白さであるよな、と彼女と話していてしみじみ思った。それにしても彼女の声は本当に可愛いんだよな。

 

 

今度のデート以外に、緊急に話したいことはなかった。今までのデートでたくさんお話ししてて、彼女のことはある程度のことを教えてもらっていた。こういう時にどんな会話をするのか、どんな会話が生まれるのか、私はドキドキしていた。彼女と付き合い始めてそろそろ1ヶ月が経とうとしているのに、彼女と向き合っているときは未だに緊張して、でもそれは良い緊張で、いつまでもこの緊張を味わっていたいと思う。緊張がなくなって、相手に対してだらだらと接するようになったら悲惨な結末を迎えるであろうことは容易に想像できるので、適度な緊張は良好な人間関係を築くうえで必要なものである。

 

 

彼女は日課であるどうぶつのもりをプレイしていた。電話越しに時折聞こえてくるゲームのピコピコした音が私を現実に戻した。でも彼女の声を聴くとまたすぐに非日常へと連れ戻された。彼女は日常と闘っていた。彼女は現実逃避をこの上なく愛していた。日常である労働を愛していたが、その一方で全く逆の生活も愛していた。たくさんの人と仲良くすると同時に、一人の人をこのうえなく愛することのできる女の子だった。

 

 

「コロナが落ち着いたら、どこに一番行きたい?」という質問を彼女に投げかけた。「えーと、えーっとね、うん。う〜ん。どこだろうな。うーん。温泉、温泉かな。まったりしたい。日常からかけ離れた場所で、ただただまったりしていたい」私は慌てて予定表を眺めて、彼女ともし温泉に行くとしたら多分この辺だろうな、でもこの時期にまだコロナが落ち着いているとは限らないしな。でも泊まりで温泉に行って、布団を並べて彼女と一緒に寝るだなんて、想像しただけで幸せすぎて、「えっ、こんな幸せが現実に存在していいの?」と困惑するだろう。それまでには私は彼女との交流に慣れているのだろうか。多分まだうぶな気持ちを抱えたままで、彼女とのコミュニケーションを楽しんでいるんだろうな。ずっと続け、この幸せよ。

 

 

「そういえばね、この間の家族とのオンラインでの飲みでね、私、恋人ができたのって話したの」と突然彼女が言う。そのオンライン飲みはこの間の休日に彼女と彼女のお母さんと、彼女のお兄さんの3人で開催された飲みで、彼女はハイボールをちびちび飲んでいたそうだ。「私に恋人ができたことはお母さんには前から言っていたんだけどね。お兄ちゃんには初めてだったから。お兄ちゃんがね、『どこの馬の骨の男だ』って息巻いていたのがおかしかったの」とのこと。「お兄ちゃんはね、人と仲良くなるのがとても凄くてね。たくさんのお友達がいるの。さっきのような発言をしたけれどね、とても優しくて気さくだから、きっと(私)さんと意気投合すると思うよ」とのこと。彼女の家族と仲良くなれるといいな。そこまでの境地にまで進めるといいな。

 

 

話したいことはたくさんあるんだけれど、すぐに思いつくことがなく、お互い沈黙の時間が続いて、どちらからともなく「ふふふ」と笑いが込み上げてきて、それが相手にも伝染して一緒になって笑っている時間が私を正常な人間に戻してくれた。

 

 

映画「スタンド・バイ・ミー」ほど長くはないけれど、それくらいの時間話していて、22時に近づいていて、彼女が眠たさと疲労を滲ませているのに気付いて、「そろそろお開きにしようか」と言った。「そうね、多分ね、この電話を切ったら一瞬で寝てる自信があるの」風邪の引きはじめに、遅くまで電話に付き合わせてごめんね。「じゃあおやすみなさい。またね。ばいばい」「おやすみなさい。ばいばい」通話が切れて、彼女のアイコンが画面一杯に表示されて、先ほどまでの時間は確かに存在していたことをしっかりと認識した。今回の電話も突然のものだったけれど、本当に本当に至福の時間だった。

 

 

3回の電話をして分かったことだけれど、私は相槌が下手で、新しく投げかける話題の選定が下手で、話の広げ方もイマイチだった。それなのに、彼女はそんな私のことを蔑むことはなく、優しく、ただひたすらに優しく手を引いてくれて、だから私は卑屈な気持ちになることはなく、自分のことを素直に伝えようと思った。彼女は自分のことをきちんと伝えてくれる人で、私の話していることをしっかりと受け止めてくれる人で、だから私は彼女と話していると他の人と話している時には感じることのない安心感を全身で浴びながら話せるし、彼女のことがより深く好きになっていく。最初のデートの時、彼女は私と会うまでは緊張していて、会ってからも最初の方は緊張していたけれど、優しそうな人だったので落ち着いて話しができたのという後日談をこっそり教えてくれて、真面目な人間を続けてきて本当に良かったと思っているよ。私は私の真面目すぎる、多少の笑いが入ってもいいだろうに頑なに真面目を突き通す性格がちょっぴり不得意で、そういう性格だと社会では会社ではやいのやいの言われることが多いのだけれど、でも彼女は私のそんな真面目さを評価してくれていて、だから私は私の真面目さをようやく肯定できたような気がする。彼女とコミュニケーションをたくさん重ねることで、私は私のなりたかった人に少しずつ近づけていけるような気がしている。

 

 

彼女が今日も幸せな夢を見れますように。そして一日でも一秒でも早く風邪が治りますように。