有給休暇を取って、伊香保温泉に行った。 明日は大学の同期の結婚式で、せっかくだから金曜日から実家に帰ろうと思って休みを取った。コロナが酷くなって、結婚式に出席するのは断念した。平日に休みを取ったのになにもしないのはもったいなかった。せっかくだったら普段はしないようなことをしようと思って、気付いたら伊香保温泉行きの高速バスのチケットを取った。こんな状況だから、高速バスはコロナ対策の一環で席を空けて座るものだと思っていた。満員だった。隣の人と膝を微妙にくっつけながら、1時間半ほどバスに乗っていた。たくさんの人が乗っていたが、伊香保温泉で降りる人は私と、あとは中国人の母親と子供だけで、あとは草津温泉に行くようだった。バスを降りて、ああ、寂れている、と寂しくなった。ファミリーマートに寄り、お茶とおにぎりを買って、近くの休憩所みたいなところで早目の昼食を取った。お腹が空いていたのだ。
お腹の元気が戻って、行く予定の温泉へ向かって歩き始めた。ナビによると階段をえんえんと上がっていったところにお目当ての温泉があるとのこと。階段をえんえんと上り続ける。人とはあまり会わなかった。地元の人もほとんど見かけなかった。階段の頂上には神社があり、そこで祈った。
再び歩き始めて、いくつかの店が閉まっているのを見て、コロナが収まってもこのままの状態なのではないかと寂しくなった。たくさん歩いて、ようやく着いた。そこは露天風呂だけの、簡素な温泉だった。中には人間が5人いて、めいめい温泉を楽しんでいた。私も1カ月ぶりの温泉に浸かり、気分が良かった。ぬるかった。30分ほど温泉に浸かっていて、温泉には私だけになったので、場所を移動したら温かくなった。私が浸かっていたところはぬるま湯のゾーンだった。そこから20分ほどぼーっとしていて、飽きたので上がった。新しい人間が一人、外からやってくるタイミングだった。温泉の隣にあった、古風な休憩所でぼおっとしていた。明日の、そして火曜日のデートのことを考えていて、どういう風にすればデートがうまくいき、私と相手が恋仲になれるのかを考えていた。40分ほどぼおっとしていて、さすがにお腹が空いてきたので休憩所を後にした。
温泉に行く途中にあった、温泉が飲める場所で温泉を飲んだ。鉄だった。
適当に歩いているだけで愉快な気分になった。天気は最高だった。
うどんを食べた。5人ほど並んでいた、お店の中に入れたのは並び始めて30分後であった。うどんを頼んだ。うどんはまあまあだった。まあ、温泉地でよく見かけるタイプのうどんだった。天ぷらの、舞茸の天ぷらがどうにかするほど美味しかった。幸せだった。東京に戻ったら、美味しい天ぷら屋さんを見つけて、そこで茸の天ぷらをたらふく食べてやろうと思った。
適当にその辺をぶらぶらして時間を潰し、時間になったらバスが来た。乗って、恋愛の事をだらだら考えていたら新宿に着いた。ちょっと疲れていた。家に帰ったらまずは布団でぬくぬくするつもりである。