眠たげな猫の傍で

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世界の果てで眠っていたいな

『HEARTMATION〜「CRYAMY-red album-」再現ライブ〜』@新代田 FEVER(2021.3.3)感想

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今年3回目のCRYAMYのライブ。1月はワンマン、2月は対バン、そして今月はCRYAMYの初のフルアルバム「CRYAMY-red album-」の再現ライブという、まさにCRYAMY尽くしの2021年。「CRYAMY-red album-」は昨日フラゲして、まだ4回ほどしか聴けていないので、出来ればライブの日程を1週間ほどあとにずらしていただければよかったのだけれど、彼らは初のフルアルバムの発売日にライブをしたかったのだろう。場所は新代田 FEVER。コロナのせいで有観客でのライブが出来なかったとき、無観客ライブの配信をここでやっていたことを思い出す。その時のライブのMCでカワノが、

 

「もう有観客でライブが出来ないかもしれない」

 

と言っていて、私ももしかしたらもうライブを生で体験することは出来ないのかもしれない、と思っていた。なので、まだ満員の状態とは言えないが、ワンマンライブを有観客で、そしてこの場所でしてくれるというのが本当に嬉しくて、この日をずっとずっと待ち詫びていた。

 

 

一般のチケットが1分ほどで完売してしまうほどの争奪戦だったが、既に抽選で手に入れていた。しかもチケットの番号が稀に見る良番だったので、最前列を確保することが出来た。開演まであと30分、私は今までのCRYAMYのライブの事を思い出していて、そのどれもが私の記憶に鮮やかに残っていることを嬉しく思った。今日のライブも素敵なものになるに違いない。演奏はもちろん、カワノはどんなことをMCで話してくれるのだろうか。

 

 

18時5分を過ぎて、いつものSEが流れてメンバーが現れる。red albumの再現ライブなので、勿論一曲目は「ten」。カワノが出て来て、いつも通りはちゃめちゃに歌い散らかすのだけれど、早々にギターのストラップが千切れてしまう。そりゃそうだろう、ガムテープでくっつけているのに、あんな激しい動きをしたら簡単に取れてしまう。途中でギターを床に置いて、そのまま歌い続けるカワノ。このままの状態でライブを続けるのか。2曲目の「ディスタンス」の初めのぶぶんを演奏して、「ちょっと直してきます」と言い、メンバーがはける。10分ほどギターのストラップの修理をし、SEに合わせてメンバーが再び現れる。

 

「本当は、今日のライブはあまり話さない感じで。いつものようにべらべら話さない感じでかっこよく行こうと思っていたんですけど、ライブが始まってそうそうに駄目でしたね」

 

と、苦笑交じりで話すカワノ。無理してかっこつけなくていい、いつも通りでいいんですよ、と思いながらようやくライブが始まる。カワノ曰く、「最初の『ten』が本編で、今からはアンコールです」とのことだったので、のんびりしながら観ていた。最前列で、前に設置してある棒に身体を預けながら、CRYAMYのライブを観ていると、いい加減に生きていることを恥じてきた。いや、別に好きでいい加減に生きているわけではない、ただ精神が死んでいるからそういう風になってしまっている、というのは言い訳に過ぎない。

 

 

CRYAMYと初めて会ったのが2018年の11月、吉祥寺にあるライブハウスでのPK Shampooとの対バンライブであった。

 

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15歳からバンドをやって、「死にたいと思ったことは一度もない。生きててよかったと思ったこともないけど」と言ってのけるボーカルのカワノの歌う様が圧倒的に人を引き寄せるものだった。

CRYAMY × PK shampoo LIVE at 吉祥寺 Black&Blue (2018.11.3) - 眠たげな猫の傍で

 

あの頃のカワノはまだ、生きていることに喜びを見出せていない、絶望の淵をついつい眺めてしまうような人間に私には見えた。その時に歌っていた「ディスタンス」の

 

生まれてきて良かった
なんて思ったことはないんじゃないかな
まぁついでに言えば
生きてきてよかった
なんてこともないんじゃないかな

 

の歌詞からも、生きていることがそこまで能動的に行うものではなかったのだろう。しかし、今回のアルバムに収録されている新曲では生きていることを肯定しているように思われるぶぶんがいくつかあった。

 

「生きる喜びを忘れないように」
そればっか考えていた

「変身」

 

君は生きたほうが良い これから幸せになるから
根拠はないけど
朝早く止めた目覚ましを見てそう思ったんだ

「ギロチン」

 

今日のカワノの歌っている姿は、3年前に見たあの頃よりも、なんというか地に足がついていた。言葉の一つひとつに自分の意志をぎゅっと詰め込むような歌い方をしていて、どこか清々しすら感じた。それは初めてのフルアルバムを出して、そのアルバムの再現ライブをするということで、いつもの「暗めのCRYAMY」で行くのではなく、「明るめのCRYAMY」で行くと決めていたからそういう風に映ったのかもしれない。

 

 

MCはいつもの教祖じみた感じは少なめだった。しかし、アルバム曲を半分演奏したタイングのMCだっただろうか、そこでのMCはいつものように長かったが、聞いていて苦しくなることはなかった。

 

「曲を作っているときに、ぼそぼそ言いながら作っているんですけれど。勉強とかしていないんですけれど、曲を作ることで新しい発見、それはちょっと言い過ぎか。こんなことにちょっとだけ気付いたということがあって。それを『成長』と呼ぶのは違うかな。例えば、死ぬってことは漠然と怖いイメージがあって。小さいときに『火垂るの墓』を見たんですよ。それから死ぬことが怖くなってしまって。でも音楽を聴くようになって。それこそ、ジミ・ヘンドリックスとかカート・コバーンって早く死んでしまうじゃないですか。それを『かっこいい』と思うようになって。それから死ぬということがただただ怖い、というイメージがなくなって。曲を作るってのは、そういう感じなんですよ」

 

確かこんなことをべらべら言っていて、(ああ、いつも通りのカワノだな)と嬉しくなって。でもいつものような、絶望のどん底にいるようなときのMCではなくて、負の感情に引きずり回されることはありませんでした。

 

 

「♯2」の収録曲であり、ライブでは殆ど聴いたことが無い「twisted」と「雨」を聴けたのがまず嬉しかった。「♯2」のバージョンとはだいぶ異なっている演奏だったけれど、これはこれで聴きこんでいけば好きになっていくのだろう。それと今までライブでやってきたけれどアルバムには収録されなかった曲と真っ新な新曲を聴けて、CRYAMYってまだまだ幅が広がっていくのじゃないのか、ということも嬉しかった。私にとってのCRYAMYは「♯2」と「♯3」のイメージが強く、未だに「GUIDE」と「YOUR SONG」の曲を手放しに褒めることは出来ないのだけれど、でも、バンドというものは常に変わり続けていく生き物であるし、それについていけないのであれば過去の曲だけずっと聴いていればいいじゃん、と思っていて。だから、「CRYAMY-red album-」で、新しいんだけれど、今までのCRYAMYさを感じられて、私はとても嬉しかったんだよね。

 

 

そんなことを考えながら、今日のCRYAMYのライブも最高でした。場所の都合上、照明が眩しすぎてサビのぶぶんでカワノの顔をじっと見れなかったのは残念だったけれど、そのぶん他のメンバーの演奏している姿を見ることが出来たのは貴重だった。普段のライブではカワノばっかり見ているので、他のメンバーがどんな感じで演奏しているのかを気にしたことが無く、でも今日のライブでは他のメンバーに対しても愛着を感じたので、今度のライブからはカワノを中心に見つつも、他のメンバーのことをちらちら見ることになるでしょう。

 

 

演奏という、バンドの根本的なぶぶんがしっかりしているから、カワノがどんなことを言ってもそれを受け止められるし、メンバーがそんなカワノを受け入れてくれたからCRYAMYというバンドは存在しているわけだし、本当、この世界に、コロナでめちゃくちゃになっている2020年、2021年という時にCRYAMYがいてくれて、本当に良かったと思っているよ。

 

 

7分以上もある長尺の弾き語り曲「優しい君ならなんて言っただろうね」の時はステージにカワノだけになって、18,19の、絶望の淵にいたときに作った曲で、それに対することをつらつらと話していた。18,19で東京に出て来て、当時働いていたライブハウスの人(その人が今日のライブを観に来ていて、メンバーはここ3年のライブで一番緊張していたとのこと)に飽きるほど「バンドメンバーはどうすれば出来ますか」という相談をしてて、そんなときに作った曲で、歌うのが恥ずかしいけれどアルバムに入れたから歌います、とのこと。途中で歌詞が飛んだのか、池袋のなんちゃらかんちゃらで~、と歌詞とは違うことを歌っているぶぶんがあって、即興で歌を作って、それがCRYAMYっぽさを感じさせるのもカワノの手腕だよな、と惚れ惚れしていた。ただ、弾き語りの曲で7分はちと長かった。聴きこんでいけば、あっという間に感じるのかもしれないが。

 

 

本編最後に演奏された「テリトリアル」で一度袖に捌け、アンコールの「月面旅行」で泣いた。この曲を何度も聴いて何度も泣かされてきたから、こんな大事なライブのアンコールでしてくれたことが嬉しかった。彼らにとっても大切な曲なんだろう。

 

 

今日のライブのことも一生忘れることはないだろうし、早く「CRYAMY-red album-」を聴きこんで、どんどん好きになっていきたいし、早く新しいライブの予定を発表してほしい、そうしてくれないと4月以降のメンタルがもつかどうかが怪しいので。とにかくお疲れさまでした。明後日の大阪でのライブが終わったら、次のライブの発表がありますように。そしていつの日か、ぎゅうぎゅう詰めのライブハウスで、人にもみくちゃになりながらCRYAMYのライブを観れる日が来ますように。

 

 

 <セットリスト>

00.ten
01.ten
02.ディスタンス
03.変身
04.鼻で笑うぜ
05.普通
06.ギロチン
07.雨
08.やってらんねー
09.twisted
10.兄弟
11.HAVEN
12.まほろ
13.完璧な国
14.戦争
15.優しい君ならなんて言っただろうね
16.テリトリアル
EN
17.月面旅行

 

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