眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

A子さんとのデート

A子さんとのデートを今しがた終えてきた。デートが始まる前はめっちゃ緊張していたけれど、お店に入っていろいろと話していくうちにA子さんのことが好きになった

 

 

駅前で待ち合わせをしていたけれど、A子さんがどこにいるのか分からなかった。時間ちょうどにLINEが来て、存在を認識した。

 

「初めまして、◯◯です」
「初めまして、A子です」

 

とことこと店まで歩いていく。車通りの多い道だったので、歩いていてヒヤヒヤした。もちろん車道側を歩いていた。

 

「晴れてよかったですね」
「本当にそうですね」

 

他愛のない話をして、5分ほどで店に着く。地下1階にあるそのお店はまだ開店したばかりで、私たちが1番目のお客だった。席に着き、料理を頼んでからようやく本番。こちらから話題を振ればいいのか、A子さんから話題を振ってくるのか。どちらが良いのか最後までよく分からなかった。

 

 

A子さんは質問が上手だった。学生の時にどんな運動をしていたか、ご飯はどうしているのか、休日はどんな風に過ごしているのか。いろんな話題を絶妙なタイミングで振ってくれるので、とても話しやすかった。一方私の方は場が「すんっ」、となったときにA子さんに話を振る感じで、それも先程の話とはあまり関係のないようなことを訊くものだから、話していて、「まずいまずい」と焦ってしまった。でもA子さんはそんな私にとても優しく、質問にも丁寧に答えてくれた。それが本当に嬉しくて、マスクを着けていたからついニヤけてしまった。前菜が届き、各々食べながら、さまざまな話をした。途中途中で話題がなくなって、「すんっ」、となる時があって、そういう時はお店の内装を眺めていた。下手に、「ええと、そういえば」と慌てて話題を振っても上手く話が進んでいかないだろうと思った。その沈黙の時間、A子さんもお店の内装を見ていた。こういう時に絶妙な話題を振って場を盛り上げることが出来る人がモテるのだろう。つくづく話すのが下手くそであることと、もっと話題を準備しておけばよかったと後悔した。

 

 

メインのパスタが到着し、黙々と食べていく。私が頼んだのはお店のメインのパスタで、とにかく美味しかった、そして量が多くてとても熱かった。必死にパスタに食らいつくも、なかなか量が減らず、A子さんがパスタを食べ終わるのを見て、スープまで飲み切るのは断念した。パンを食べ、パンの上に乗っかっているものがなんなのかで少し盛り上がり、紅茶が運ばれてきて、のんびりと思いついたことを話していた。その頃になると緊張が少しずつ解けていき、自然に振る舞えるようになった。カチカチだった最初の頃に比べ、自然と話を振れるようになっていた。しかし、A子さんの話題を振る手腕が素晴らしく、気付くと自分ばかり話していることに気付いてた。なんとかA子さんに話題を振って、A子さんはそれに真摯に答えてくれるのだけれど、それに対して話を拡げるというか、うまいこと相槌を打つことが出来ず、すぐに「すんっ」となってしまうのは情けなかった。

 

 

1時間半ほどお店にいて、私から「そろそろ行きましょうか」と切り出した。お会計は勿論私が全部払った。「でも...」と困惑しているA子さんに、「今度お食事する機会があったら、その時で大丈夫ですよ」と何とか言えた。会計を済ませ、最後に伝えなくちゃいけないな、今日のことを、と思って、緊張がマックスに達しながらも自分の思いを素直に伝えた。

 

 

・今日、A子さんと一緒にご飯を食べることが出来てとても楽しかったこと。
・自分は緊張しいで、初対面の人と話すのはとても緊張することなのだけれど、A子さんがとても優しくて、緊張することが殆どなく心地よい時間を過ごせたこと。
・またA子さんとお話をする機会があればいいなということ。

 

 

それらを話して、(これは自己満足ではないか?)と気付いたが、もう言ってしまったので仕方がない。そんな若干の押しつけがましい言葉に対してもA子さんは優しく応えてくれた。人と話すことが多いけれど、初対面の年配の人と多く話すことがあって、私も緊張しますよ、と。う~ん、これはどっちの意味に取ればいいのだろうか。

 

 

店を後にして、駅までとことこ歩く。そこで今日一で自然体に振る舞えたような気がした。ぽかぽか暖かくなってきていいですね、このままどんどん暖かくなればいいですね。いや、よくよく思い返してみるとそこまで大したことを話していないじゃないかと思ったが、私と話しているA子さんが笑顔でいてくれたことが救いだった。それが作り笑顔だったのだとしても、私はA子さんの笑顔で元気になれたのです。駅に着き、ホームが別々だったのですぐに解散した。

 

「御馳走様でした」
「また会えるのを楽しみにしています」

 

デートが終わり、先ほどのことを忘れないうちにメモを残しておいた。A子さんが話してくれた内容を一つひとつ思い出しながら、次回のデートへの対策としてメモをしていく。ん、次回のデートなんて、ちょっと気が早くないか?そもそもまだA子さんから返信が来ていないのにそんなことを考えるなんて、ちょっと浮かれ過ぎではないか。彼女と別れてからすぐにお礼のLINEを送った。返信は来ず、う~ん、A子さんにとっては私は微妙だったのかな、私だけがあの空間を楽しいと思ったのかな、と悪い方悪い方へ考えてしまって、胸が苦しくなった。これを含めて恋なんだろう。最近はこんな気持ちを経験していなかったから、嬉しいような悲しいような。電車を乗り換える頃にA子さんから返信が来て、

 

「御馳走様でした。会えてよかったです(*^^*)」

 

という内容だったのだけれど、これはアリなのかナシなのか、どっちなんだろう......。分からない、分からないけれどここで止まってしまっては私は一生後悔してしまうことだろう、と思い勢いで追加のLINEを送った。そこには今日あなたに会えてたくさん話して、楽しかったし安らぎを感じた事。もしよかったらまたご飯を食べに行きませんか、ということを詰め込んだ。16時現在、A子さんから返信は来ていない。どうしたものか、と考えあぐねているのか、いやいやいやいや無理っしょ無理無理、と放置しているのか。どちらにしても、今回の経験は今後の人生を進めていく上で大切な糧となるし、今日のあの時間は紛れもなく幸せだったということ。それだけは忘れないで、明日からも前をしっかりと見つめて歩いて行く所存です。それにしても、A子さん、本当に優しい方だったな。私と付き合う運命ではなかったとしても、どうか幸せになって欲しいな。と思うのは傲慢な考えなのだろうか。

 

 

最高速で流れていく 想いが
高く上がって 消えてくように
平成は空にとけた

w.o.d.「1994」

 

この曲がなぜだか何度も頭でループしている。