眠たげな猫の傍で

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世界の果てで眠っていたいな

“特別公演【自主レーベル「nine point eight」設立記念ONE MAN SHOW 「CRYAMYとわたし。〜これはわたしの戦争です〜」】振替公演”@渋谷TSUTAYA O-WEST(2021.1.7)感想

当初は2020年の3月にFEVERで開催されるはずだったライブが、延期につぐ延期でようやく開催される運びとなった。政府は今日、緊急事態宣言を発令した。ギリギリのライブというか、本当に行ってよかったのかどうか。でもCRYAMYのワンマンライブを観れる機会なんてそうそう来ないだろうし、私は彼らの生の音を求めてこの1年間を生きてきたので、チケットを持っていながら家でじっとしていることが出来なかった。

 

 

定刻で客電が落ちて、SEとともにメンバーが現れる。最後にカワノが出てきて、メンバー全員で爆音が掻き鳴らされた瞬間、私は今日まで生きてこれて本当に良かったと思えた。2020年は私にとってしんどい年だった。それは仕事のこともあるけれど、当たり前のように享受できていたライブに行けないもどかしさでどうにかなってしまいそうだった。生きていくことに絶望してしまう日もあった。それでも2020年をなんとか生きてこれたのは音楽が私を支えてくれたからである。ライブが当たり前のように出来なくなってから発表された2枚のCD、「GUIDE」と「YOUR SONG」は正直なところ聴き始めた時は「微妙だな」と思っていた。でも聴きこんでいくうちに幾つかの曲が好きになって、その曲を今日のライブで聴けるといいなと思っていた。

 

 

カワノは普段のライブにも増してMCを長く喋っていた*1。普段は冗談を言うことが多い彼でも、今日という日にライブをすることは特別だったのだろう、終始真面目なことを話していた。

 

「子供の頃は小児肺炎で激しい運動が出来ず、背が小さかったから苛められてて。そんなとき、好きだった女の子が一緒に教室にいてくれて僕と話してくれた。成長していき、誰かに悪口を言われたとき、『そんな奴らの言うことは無視しておけ』と言ってくれる人が近くにいた」

 

とライブの冒頭で何の衒いもなく話してしまうカワノは信用たりうる存在だし、こんなときにもわざわざライブハウスに出向いていこうと思えるのは彼の存在が大きかった。アンコールの時に、

 

「もう大丈夫です。私たちがついていますから。やっと言えたー。これが愛しているってことか」

 

と言った時に涙が出そうになった。どんなに辛いことがあっても、どんなに悲しいことがあっても、「私にはCRYAMYがいるんだ」と思えばふっと心が軽くなって、優しい気持ちになれる。

 

 

今日のライブのセットリストはなんというか、今日という日にしか出来ないような曲の並びだった。一曲目に「ディスタンス」、本編最後に「テリトリアル」を持ってきてくれて、3年前の吉祥寺でのライブをふと思い出した。あれからそれなりに長い月日を重ねてようやくここまで来れて本当に良かったと思っているし、

 

「これからまた会えなくなるだろうけれど、元気でいてくれ」

 

と話していたカワノに、CRYAMYに会うためになんとしてでも健康で生きていきたいと思えたよ。

 

 

「ディスタンス」は「GUIDE」に収録されている再録Verのように、とにかく最後まで声を張り上げて歌っている印象が強く、力強く感じた。2曲目に「sonic pop」を持ってきて一気に自分たちの世界を構築していくのも流石だし、「ten」で場内を盛り上げたあとに「crybaby」で仕留めるあたり、たくさんのライブをしてきたからこそ出来るんだろうな、と惚れ惚れしながら聴いていた。普段のライブであれば必死になって腕を振り上げていただろうけれど(他の観客は必死になって腕を振り上げていた)、今日の私はじっくりとCRYAMYを観ていたい気分だったので、大人しくステージを眺めていた。

 

 

長いMCを挟んでからようやく聴けた「誰そ彼」は反則だろ、と思うくらいにライブでは縦横無尽に弾け飛んでいたし、そのあとに演奏された「くらし」で、これからの彼らがどんな曲を作り上げていくのだろうか、という期待で胸がいっぱいになった。今日という日に鳴らされるから、たくさんの我慢をした末に辿り着けた今日だからこそ、いつにも増して曲がぴかぴか光っていたし、メンバーの演奏も鬼気迫る勢いだった*2

 

 

そっからまた長いMCの後に演奏された「月面旅行」で私は泣いた。心の中で号泣して、CRYAMYが目の前にいるという現実があまりにも特別なもの、もうこれは日常ではないことを思い知らされた。この曲の時にはじっくりと聴きいっている人が多かった。私にはCRYAMYを大好きな友達がいないのだけれど、いつか機会があったら今日のライブに来ていた人と今日のライブの感想を言い合いたい、CRYAMYのことについてたくさんのおしゃべりをしたいな、と思った。からの「プラネタリウム」で良い意味で心中穏やかではなくなった私は、ぼおっとした頭でカワノのMCを再び聞いていた。今日はとにかくよく喋る、でも今日のライブを思い出している今、詳しい内容は忘れてしまった。けれど、大切なものをたくさん頂いた気がしているよ。

 

 

「HAVEN」のBand Verは優しくて、ずっと包まれていたい気分でいっぱいだった。からの「まほろば」はあまりにもずるい、私は今日何度泣けばいいんだろうか......。「ビネガー」、そして「テリトリアル」を演奏した彼らはノイズを残してステージを後にした。

 

 

アンコールの拍手鳴りやまない中、ステージに出てきたCRYAMY。カワノがオオモリに「みんな、大丈夫だよね」と確認してから、

 

「フルアルバムが出ます」

 

と言って、それは思ってもいなかったサプライズだったので嬉しかったけれど、観客は声を出してはいけないという制限だったので歓声が聴けなかったのが悔しかった。ああ、ついに彼らがフルアルバムを出すのか。過去に発表した曲も含めてのフルアルバムなのか。だとしたら、「ten」とかの弾き語りで収録されている曲はBand Verで収録されてほしい。そのフルアルバムに収録されるだろう、まだどのアルバムにも収録されていない「完璧な国」という曲がかっこよかったので、いやそういう話ではなくて、CRYAMYがフルアルバムを出すのならばそれは名盤だということ。頼む、コロナが落ち着いてこのアルバムのリリースツアーに行けますように。と願いながら、「戦争」を聴いて、そしてアンコールラストに演奏してくれたのが「世界」って、もうこんな雁字搦めんの状態じゃなかったらぴょんぴょんと飛び跳ねていたのにな、と恨めしく思いながら、私の分も一緒になってステージで暴れまわっているメンバーの姿を見れただけで感無量なのです。

 

 

19時30分から21時10分、約100分のライブが終わってしまった。「Pink」も「物臭」も、「普通」も「easily」も聴けなかったけれど、今日のライブは私にとって特別なものになった。ちゃんと相手の目を見て話してくれる人を信用するようにしているのだけれど、たくさんの観客の前でカワノは一人ひとりをしっかりと見つめて話してくれている、歌ってくれている印象を受けた。たくさんの辛いことを経験して来たからこそ彼は他人に対して優しく出来るのだろうし、そんな人が歌う歌には一切の嘘がなくて、歌はそこまで上手くないけれどいつだって彼らの曲を聴くたびに、「まだ生きてていいんだ」と思える。そう思える音楽は世界にはそんなに存在していなくて、だから私はCRYAMYのことがとても大好きだし、あまり考えたくないことなのだけれど、彼らが解散してしまった後でもCRYAMYの曲を聴き続けるだろう。私はいつだって孤独から逃れられないと思っている、でもその孤独と良い具合に付き合っていくためにはCRYAMYの音楽が必要なんだ。ライブハウスに入場する前、たくさんの人がライブハウスの前にいて、この人たちもみんなCRYAMYのことが大好きなんだと思ったらとても嬉しくなった。大好きなバンドは人気が出て欲しくないと考えるのはファンのエゴだけれど、CRYAMYほど「人気が出て、良いようにあしらわれるのを見たくない」と思ったバンドはいない。それくらい、私はCRYAMYのことが大好きだし、CRYAMYの悪口を言うような奴らのことなんて気にもしないだろう(CRYAMYの悪口を聞いたことなんてないけれど)。当分はライブが出来なくなるような世の中になるだろうけれど、いつかまたCRYAMYの爆音に包まれる日を夢見ながら、なんとか生活をやり過ごしていきます。一年越しの夢が、ようやく叶ったよ。

 

 

<セットリスト>

01.ディスタンス
02.sonic pop
03.鼻で笑うぜ
04.ten
05.crybaby
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06.誰そ彼
07.くらし
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08.月面旅行
09.プラネタリウム
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10.HAVEN
11.まほろ
12.ビネガー
13.テリトリアル
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EN
14.完璧な国
15.戦争
16.世界 

 

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*1:そのせいでライブの曲が少なく感じてしまったのは御愛嬌だろう

*2:今更気付いたが、カワノは背伸びをしながら歌っていたんですね。5列目で観ていたから気づけました。