眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年12月21日(月)

「バラバラになった地球儀を並べて
赤道を一つに繋げてみる
忘れないでよ、忘れないでよってわかるかな わかるだろ」

 

変な態勢で寝ていたせいか、右腕に鈍い痛みを感じて起きた。2020年最後の労働の1週間が幕を開けた。たくさん笑った。たくさん泣いた。そんな2020年の労働もあと1週間しか残っていない。私はこの1年で成長できたのだろうか。仕事で成長するというのは幻想で、働いたぶんだけお金を貰えるだけでもありがたい。鬱陶しい上司に目を付けられることはなく、放置されているくらいがちょうどいいのかもしれない。出来ると思っていたことの殆どが出来ずに2020年の労働は終わってしまう。2021年は責任感のある仕事を任せてもらえるといいね。それは建前で、本当はもうちょっと楽したいと思っているよ。

 


ネット通販で購入した豆乳がたくさんあるので、それを消費するため、今日の朝ご飯であるフルーツグラノーラに豆乳をかける。買って分かったけれどこの豆乳は美味しくない。まだ5本もあるとかちょっとどうにかしてしまいそうだし、賞味期限が今週の金曜日なのもちょっとどうにかしている。朝はだからあまりよろしくない気分でスタートした。外に出るとあまりの寒さに顔が硬直して、呼吸がうまく出来なくなった。先週までこんなに寒くなかったはずなのに、どうして急に本気を出してきたんだろう。そこそこぎゅうぎゅうな満員電車に乗って会社に行く。今日は井戸端さんだけが会社に居た、コピーロボットとおジイさんは在宅勤務だった。私も今日は在宅勤務が良かった、今日にしておけば良かった。肩がバキバキに凝っていたので優しく肩をさすりながら仕事が始まった。特にすることがなかったので口笛を吹いていた。今日は80年代にヒットした洋楽を中心に口笛を吹いていたら、50年代のおじさんがたが集まって、一緒になって口笛を吹いていた。途中で口笛を吹くのが面倒になったので真面目に仕事を始めたら、「なんでやめるのよ。もっともっと」とおじさんたちが抗議してきたので、30分ほど延長して口笛を吹いてあげたら手を叩いて喜んでくれた。上司も目を細めていた、仕事の長話は駄目で口笛が許されている世界はどうにかしていた。仕事は枯渇していた。既に干上がった土地に無理やり種を植えて、せっせと水を与えている気分になった。大半のものは100年後に消え去るのに、どうして書類整理をしなければいけないのか、誰かに納得のいく説明をしてほしかった。ふと気配を感じ、振り返ると井戸端さんが居て、「おジイさんが『たくさんの書類が溜まっているから』と慌てふためいていたけれど、うまく対応できたのかしら」と訊いてきて、話が食い違っていることを微笑ましく思った。今日は肩が(しかも両肩)異常なまでに凝っているので、書類整理は諦めた。その代わり、キーボードをかたかた叩いていると済む仕事を中心に午前はスケジュールを組んだ。後ろでは仕事と関係のないこと、例えば年末年始の過ごし方について男と女の子が真剣に話していた。そこそこの音量で、女の子の声が耳障りだったので、周りにいた人は耳をなにかしらのもので塞いでいた。ある人は食べかけのピーナッツを耳に突っ込んでいたし、ある人は束ねた書類を耳に突っ込んでいた。私は耳が敏感なので何も突っ込むことが出来ず、彼らの話が心まで浸透していった。終わるか、と思ったらまた違う話、例えばおせちの具材では何が好きだとか、土日は何をして過ごしただとか、そんな他愛もないことを話し続けていた。あまりにも早口でたくさんのことを話したせいか、二人ともたくさんの水分を摂取していた。話が尻切れトンボになり、急に飽きたのか、二人は自分の席に戻った。耳になにかしらを突っ込んでいた人はそれに気付かず、奇妙な格好で仕事を続けていた。午前はそれでもなかなか終わらなくて、10時42分に急激にお腹が空いたのでクッキーを食べていたら、「良い身分だな。いつ貴族になったんだ」と知らないおじさんが話しかけてきたので、急いでトイレに駆け込んで避難した。見覚えのある顔のおじさんだったが、どんな業務を任されているのか、皆目見当がつかなかった。お昼になった。今日は弁当は持参しておらず、鮭のおにぎりを3個頬張った。1個200円もするおにぎりなので、お米も鮭も美味しくて、続けざまに3つ食べても飽きなかった。ここにマヨネーズがあったらどれほどよかっただろう。SIX LOUNGEを聴いていたが、物凄い眠気に襲われたので、耳からイヤホンを外し、ただ惰眠を貪った。一瞬でお昼休みは終わってしまう、それが儚い人生を象徴しているようで、鼻の奥がやけにツンとした。

 


午後の部が始まって、うっかり口笛を吹いてしまいそうになって慌てて両手で口を塞いだ。すんでのところで止まってくれてよかった、さすがに午後も口笛を吹いたら上司に叱りつけられるだろう。妙に今日は体がだるくて、こんなにしんどいなら冷蔵庫に冷やしてある秘伝の栄養ドリンクを飲んでしまおうか、と気持ちが揺らいでしまいそうになったが、一度栄養ドリンクの味を覚えてしまうと常習犯になってしまうので、なんとか踏みとどまった。だから怠い状態で仕事を進める。進める、と表現してみたが実際は逆走しているといったほうが現実に即しているようで、そんなくだらない現実に嫌気が差して、途中で帰ってしまおうかと思った。それでもなんとか思い留まったのはこんなくだらないことでお金が貰えなくなる方が馬鹿馬鹿しいと思えたからである。働いているのはお金が貰えるから、つまらないけれど留まっているのはお金が貰えるから。もし一生働かなくても食っていけるようなお金が私のもとに転がり込んできてくれれば、給料が低くてもやりがいのあるような仕事をしたい。今の仕事はあまりにも退屈過ぎて、このままここに居たらボケてしまわないか不安で夜も眠れない、ことはあまりない。緊急を要するような仕事はひとつもなく、だからのんびりと時間を過ごしていく。共有の仕事がどんどん溜まっていき、誰も見向きもしないので、8割以上を私だけで片付けてしまう。それでも定時で帰ったらZ君は不平不満を漏らすに違いない、彼は残業をしない奴を許せない、残業に毒された可哀そうな労働者なのである。そんなくだらないことを考えていられる余裕がある、こんなことは営業の時には到底かなわないことである。営業の時は常に緊張感でいっぱいいっぱいで、ちょっとでもミスしようものなら、「ほ~ら、普段から真剣に仕事をしていないからだぞー」とからかわれ、叱られ、けちょんけちょんにされて、家に帰っても仕事のことで頭がいっぱいいっぱいで、小説やドラマなんて享受できないほどあっぷあっぷしていた。それを考えると、今のところは本当に楽過ぎて(何回同じことを書いていることだか。それほどに楽な職場なのです)、ちょっとこれはあとでツケが回ってくる感じの奴じゃないですか、と若干の怯えが生じている。

 


どれほど「時間が過ぎるのが遅い」と思っていても、なんだかんだで時間は過ぎてくれるもので、今日も何とか定時になったお疲れ様でした。もちろん定時で退社して、急いで渋谷へ。今日はSIX LOUNGEと羊文学のライブがあるのです。

 

 

 

くたくたの体で渋谷を抜け出す。22時を過ぎると、渋谷は無法地帯になって、ぼおっと歩いていると攻撃を仕掛けられるので、急いで駅へと急ぐ。クリスマスが近いからか、サンタのコスプレをした女性をたくさん見かける。この時間から渋谷駅へとやってくる人たちは、一体何をしに来ているのだろうか。そんな余計なことを考えていると足を掬われるので、電車に乗ったら思考を停止した。ぼんやりと先程のライブの余韻が体中に染み渡ってきて、改めてSIX LOUNGEの凄まじさを思い知った。SIX LOUNGEで味わえる興奮はSIX LOUNGEでしか味わえない興奮であった、そんな最高な夜であった。家に着くと23時を過ぎていて、お腹はあまり空いていなかったけれどたらこマヨパスタを義務的に食べる。シャワーを浴びて、のんびりしたところで今日のライブの感想を書こうかと思ったが、あまりにも体がくたくただったので椅子に体を預けているとうとうとしてきた。このままだと寝落ちしてしまうだろうな、と思っていてもなかなか体は起きてくれない。24時30分を過ぎ、ようやく起こすことの出来た体を無理やりロフトに押し込んで、今日という日を終わらせる。