眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年12月7日(月)

「幾千の声が惑わす世界は
遠くが濁って見えるけど
目の前にあるキャンバスはほら どこまでも広がって君を待ってる」


朝一に不躾なメールが経理の後輩から送られてきた。「他部署の人から書類のコピーが欲しいと言われているんですけど、書類がどこに置いてあるのか僕には分からないんですよ。僕の代わりにやっておいてもらえますか。忙しいところすいませんね」書類の在処を知らないというのは建前で、本音は「めんどくせえな。あいつにやらせておこう」といったところだろうか。ちょっと苛立ちを覚えたので彼の所へ行き、「場所が分からないんだったら、今から教えるよ」「いえ、その書類は先輩の管轄なので、僕はあまり触らないほうがいいんじゃないかと」建前はもういいよ、めんどうだから他人に押し付けようとしたんだろ。「面倒だから先輩に押し付けてました」と言ってくれたほうがよっぽどかわいらしいよ。目つきの悪い彼はより一層目を凶悪にさせ、(何故俺がこんなことをしないといけないんだ)といった感じで佇んでいた。書類のコピーを早く欲しいと依頼主は言っていたが、昼を過ぎた今でもまだ対応していない。そういうところだぞ。

 


昨日は中途半端な時間に寝てしまったせいで本格的な眠りがずれ込んでしまい、だから朝は2回目のアラームが鳴っても起きたくなかった。今週は3連休でもよかったなと思いながらロフトから降り、無意識に弁当を作り、ご飯を食べ、テレビから漏れ出るニュースを眺めていた。はやぶさが宇宙から帰ってきた云々、みんな喜んでいるといったことが流れていて、それがどれほど凄いことなのか知らない、どうせ生きているならいろんな物事に興味を持っていちいち楽しめることが出来たら楽しいんだろうな、と思った。昨日読んでいた匿名ダイアリーに影響されたようだ。家を出て、いつもの時間に電車に乗ると乗車率120%で萎えた。緊急事態宣言が出された頃の、あのすかすかの電車が恋しい。会社に着いて、始業となり、上記の不躾メールに対応して、のんびりと仕事をこなしていく。忙しい時期ではないで、何かに急かされることはなく、自分のペースで仕事を進められるのは愉快である。人の気配を感じ、振り返るとコピーロボットが佇んでいた。「いいかな、今。あのね、金曜日のことなんだけれどね、いや金曜日に限った話ではないんだけれどね、定時になってもね、箱の中に伝票が置いてあることが多々あるんだ。そのなかでね、その日のうちに見ておかないといけない伝票があるのは分かる。うんうん、そう、それ。帰る前にその伝票が残っていないか確認して欲しいんだ。うん、分かってくれればそれでいいんだ。人それぞれ抱えている闇は異なるから、いつもそれが出来るとは僕も思っていないけど。でも出来る限りね、帰る前にね、その日のうちに見ておかないといけない伝票があったらね、見てから帰って欲しいんだ。以上で私からのお願いはおしまいです」と、まるで作りこまれた出来損ないの原稿を読み上げるようにして、先週の金曜日の私の愚行を優しく宥めた。いやいやいやいや、金曜日は誰も伝票を見ていなかったから定時前に3人分くらいの伝票を見て、で、帰る間際に箱の中を見たらそこまで伝票が残っていなかったので、まあいいだろ、と思って帰りました。見なければいけない伝票が残っていたのはあなたたちが十分な量の伝票を定時前に見ていなかったからではないんじゃないんですか?残業の時間を稼ぐためかどうかは知りませんけれど、だらだらと会社に残っていることは問題にしないで、仕事を済ませてさっさと帰ることを非難するのはどうかと思うんですけれど、そこのところはどのようにお考えなんですか。そんな深いところは考えていないですか。もういいです。これ以上話したところで何も生まれないでしょう。解散です。ただ、私の不注意(としか彼らには映らないんだろう。残業することに負い目を感じない彼らにとっては)を「やんわり」と注意するにとどめたコピーロボットは優しい人で、それに比べて突かなくてもいいようなことまでいっしょくたに突くというより抉ってきたZ君、人を非難する割には自分はしっかりしていないことをもうちょっと考え直した方がいいんじゃないの。苛立ちのせいで文章がぐちゃぐちゃになってきたので、この辺でやめる。なんでこんなことを書かないといけないのだろう、もっとハッピーなことを書けるといいのにな。

 


そんなこんなでお昼休みに入る。午前中はあっけなく終わったけれど、午後もそんな感じで過ぎていくんだろうな。私の仕事とは一体......。大学生の時に参加した会社説明会では、きらきらとした瞳の社員がきらきらとした業務を説明していた。その説明を聞いている就活生の瞳もきらきらしていて、(自分はこの世界では生きていけない)と咄嗟に判断した。それですったもんだあり今の会社にたどり着き、いろんな部署を渡り歩き、ようやく安住の地に辿り着いたと思ったのに......。暇すぎ......。同僚間のコミュニケーションが取れてなさすぎ......。仕事のための仕事をしている先輩、なんでそんな満足そうな顔が出来るのだろう......。意味のない新入社員教育、受ける方も指導する方も時間の無駄......。いつになったらちゃんとした業務を任せてもらえるのだろう......。毎日定時で上がっているから、営業の時よりも給料が低くなっているのが地味に痛い......。毎日在宅勤務でいいよ......。暇な時間が多すぎるから、その時間はいっそのこと勉強の時間に充てさせてくれないか......。ああ、もう何も考えたくない......。

 


悩みがぐるぐるとしていたら定時になった。さっさと帰った。夜風が身に沁みた。どこにも寄ることなく家へと帰り着き、一人の時間をのんびり揺蕩っていると気分が良くなってきた。夕飯は白米にタコキムチに総菜、あとはサラダをむしゃむしゃ食べていた。食べ終わってたくさんの時間が目の前に広がっていて、この時間を生かすも殺すも私自身なのだと思うと急に怖くなってしまって、羽毛布団に包まって一時的な現実逃避を図る。いつまでもそうしていられないので、がばっと布団から抜け出て、何を、何をしていたんだっけ?この日記は12/9の夜に書いているのだが、2日前のことを忘れてしまうくらいに、私は物覚えが悪いのかもしれない。何をしていたんだっけ。何を......ああ、結婚式に出るか出ないかで非常に悩んでいたんだっけ。再来週と2月の中盤に結婚式があり、それに出席するかどうか真剣に悩んでいた。再来週のはもう断ることが出来ないほどに迫っているので仕方ないから出席するが、2月の結婚式はちょうど招待状が来たばかりなので、欠席することがまだ出来る。しかし12月の結婚式に出ておいて、なぜ2月の結婚式には出ないのだ?と問われたら、12月は今更欠席できないけれど、2月はまだ時間があるから欠席できるので、では納得してくれないだろうか。多分、再来週の結婚式を今更断ったところで招待してくれた人に怒られることはないだろう(外面的には)けれど、でもこのタイミングで欠席するとなると結婚式に出席した時と同額のご祝儀を送らなければならず、それだったら怖いのを我慢して名古屋まで移動、結婚式で久しぶりの人々と旧交を温めて、美味しい料理を食べた方がいいのではないか、という打算的な考えが働いてしまった。なので12月の結婚式は出る。では、2月の結婚式はどうするのか。感染状況が酷くなるのは予想できたが、国が全然動かないとは予想できなかった甘かったな。もし国が「東京から他県への移動を極力控えるように」と要請してくれたら、それに従う気満々だったのに。ここまで放置するとは思わなかった。さすがに来年の2月にはそのような要請をすると思う、病床数もそろそろ厳しくなってきているのでさすがに国が動くのではないだろうか、さすがに、ねえ......。でももし国が動かないことを考慮したら、来年2月の結婚式は欠席すべきではないか。国任せにするのではなく、自分の身は自分で守るスタイルを取っていかないとダメなんじゃないか。ということで、今のとことは欠席するつもりなのでが、もし感染状況が良くなってきたらということを考慮して、主には出席するかどうかの返事を延ばさせてもらっている。こんな状況じゃなければ出席して直接祝いたかったのに、どうしてこんな状況でも強行突破をしようとするのだろうか。こんな状況であれば、身内だけでするとかでいいのに。列席者に不安な思いをさせてまで......、ここまで言うとあれなのでここで止めておきます。そんなことを悩んでいたらあっという間に時間が過ぎてしまって、溜まっていた録画番組を見て、スマホを眺めていたら24時を過ぎていたので、仕方ないから寝ることにした。スマホでだらだらと時間を浪費してしまうの、本当に無駄だよな。どうにかしないといけないんだけれど、どうしたらいいんだろうか。