眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

「USG 2020“LIVE (on the) SEAT”」@センチュリーホール(2020.12.11)感想

 

bigpopmonster.hatenadiary.jp

 

まずはこのユニゾンのツアーが完走したことを嬉しく思う。コロナ禍において率先して全国ツアーを行ってくれたこと、そしてそれが今日無事に終わることは感謝してもしきれない。9月からライブにちょこちょこ行き出しているがその大半はライブハウスで、ホールでライブをやってくれたのはユニゾンだけだった。たくさんの人間が集まるとその分感染のリスクも高まるので、普通の心意気であったらライブを中止する判断を下すだろう。しかし、ユニゾン陣営はこのピンチをチャンスと捉え、1時間のライブ、そして着席限定のライブで今回のツアーを敢行した。そして感染リスクを抑える為に徹底したガイドラインを作成し、それをHPに公表した。こんな時期にライブに行くことを不安に思っていた私は彼らの熱量が込められたガイドラインを見て、「安心してライブを観れる」と思ったし、現に今日、3回目のライブ参加となる。このコロナ禍でライブをすることは非常に難しいが、少しのアイデアと全力の行動でライブ開催を可能にして、ツアーを完走したユニゾン陣営に拍手を送りたい。

 

 

ということで、このツアーの最終日に参加する為、半休を取って東京からはるばる名古屋へと向かった。新幹線の中でも、乗り継ぎの電車でも勿論マスクを着け、ライブ会場に着いてもマスクを外すことはなかった。とても久しぶりのセンチュリーホール、最後にここを訪れたのは去年の5月に開催された「FUN TIME HOLIDAY」で、ユニゾンとSKY-HIの対バンライブであった。あのときに世界がこんな悲惨なことになるとは思っておらず、呑気な気持ちでライブを鑑賞していた。あの時からライブに臨む時の心意気はだいぶ変わり、ライブという存在が私の心の支えとしてより強固になった。自粛自粛、で安易に旅行に行くことが難しくなってしまった現在、私の飢えた心を耕してくれるのはライブでロックバンドの演奏を観る時ぐらいだろう。それくらい私はライブを渇望しているし、こんなリスクまみれの状況でもライブをしてくれるロックバンドを心底信用している。

 

 

ほぼ定刻で客電が落ち、暗闇の中で斎藤さんの声だけが響く。何度聴いても非常に幻想的な空間で、自分がホールにいることを忘れてしまう。

 

12時 時計塔の下新しいワンピースで
軽やかに、それは軽やかに走り出す
風船手にした子供 秘密の暗号に気づかず
離した、それを離した 空に吸い込まれた

 

ステージの光が灯り、3人での演奏が始まる。今更になって、「クローバー」をライブの1曲目に持ってきた理由が分かった。

 

君がここに居ないことであなたがここに居ないことで
回ってしまう地球なら別にいらないんだけどな

 

というフレーズがコロナ禍において、今までとは違った響き方をしている。それは今回のライブで演奏された曲の殆どに言える事で、それでも歌が嘘っぽく聴こえないのは彼らが真実だけを必死に歌ってきたからだろう。斎藤さんの歌に二人のコーラスが絡まることで、非常に聴き心地の良い音楽が広がっていき、ついついうたた寝をしてしまいそうになった。「クローバー」の次に「フルカラープログラム」という、ユニゾンの始まりの曲を持ってくるのは反則で、3回目なのだけれどおもわず目が潤んでしまった。縦横無尽に動き回る田淵を見ていると、彼らは常にライブをしていないと生きていけない人達なんだろう、私もそうだよなと思う。今日の「フルカラープログラム」はとにかくきらきらと輝いていて、

 

ふざけろ!「いつか終わる、悲しみは」
どうか忘れないでよ

 

のところでぐっと心を鷲掴みされた。軽いセッションのあとで演奏された「フィクションフリーククライシス」はまさに今ぴったりな曲で、

 

結局世界は僕が救うしかない 手こずります

 

のところに彼らの優しさをじんわりと感じた。ここでも田淵は動き回っていて、その動きを捉えるのに必死だった。「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」でよりぐっと盛り上がった心に、4th「CIDER ROAD」の名曲であり、ライブではなかなか披露されないレア曲「セレナーデが止まらない」が投下される。3回目の参加なのに、この曲がセットリストに組まれていたことをすっかり忘れていて、だから大好きすぎるこの曲が目の前で演奏されているのが幸せ以外の何物でもなかった。ここでも田淵は大いに動く、切実に歌い上げる斎藤さん、激しいドラミングをかますTKOの3人だからこそ素晴らしい曲に仕上がるし、

 

触れたはずの手が なくなって空を切る
君の事を考えたって 会えるわけないのに
嘘はもう沢山だ 誰もが涙するセレナーデは聞こえない

 

のぶぶんが「CIDER ROAD」が発売されたときに聴こえていた意味と異なって聴こえるのが非常に面白い。「セレナーデが止まらない」を聴けるだけでも、今回のライブは十分に参加する価値のあるライブであり、そのあとに私が愛してやまない「JET CO.」からもとある曲が披露されるのだけれど、そこでも「ああ、生きててよかった」と痛感することになる、3度目だけれど。「世界はファンシー」は音源を聴いた限りでは狂ったように難しい曲なのでライブでちゃんと演奏できるのだろうか、と心配になりながら観ていたが、難しい曲であるということを忘れさせてくれるほどに上手すぎる演奏に脱帽し、中毒性の高い曲であるがゆえに曲が終わった後の余韻が強い。早く次のライブでも聴かせておくれ。「君はともだち」をこのライブに持ってくるセンス。この曲は去年のSKY-HIとの対バンでも演奏されたが、そのときは「君=SKY-HI」で、今回のツアーでは「君=ファン」、のことであると勝手に思っている。

 

何も知らないやつに君の事傷付けられてたまるか
見えないところで強く生きてる 気づいてる

 

と歌詞をさらっと歌いのけるからこそユニゾンは信頼足りえる存在であるし、今回のツアーのセットリストに持ってきてくれて本当にありがとうございます。

 

 

ここで少し長めのMCに入る。

 

慣れっていうのは怖いもので。ライブの回数を重ねていくにつれて忘れ物が多くなってます。今日はたかおが髭剃りを忘れて。僕のブラウンの髭剃りを貸してます。

 

こうすけの髭剃りはシャープだよ。

 

あれ、ブラウンだと思っていたんだけれどな。

 

 というほんわかエピソードを披露したと思ったら、

 

5月に緊急事態宣言が解除されて、この日程でツアーを組んでいますとスタッフから話を聞いた時は「無理だろ」と思いましたし、実際に言いました。
でも、こうしてツアー最終日まで来ることが出来ました。
親から反対されたり、ギリギリの所まで悩んで今日、ここに来ていない人もいると思います。
来年の早々には名古屋に来る予定です。
ライブをしたくて組んだバンドなので、久しぶりにライブが出来てとても楽しいです。

 

と、このような状況でもライブが出来ていることの有り難さ、まだまだライブはコロナ前の状況には戻っていないことを話す。

 

今年は8枚目のアルバムを出して、来年はそのアルバムで全国を回るつもりなんですけれど、折角なのでそこから1曲演奏します。「夏影テールライト」という曲です。

 

から演奏された「夏影テールライト」はこれ以上ないほどにぴかぴか輝いていて、素晴らしい曲がたくさん詰まっている「Patric Vegee」のアルバムの曲を全て、早くライブで聴きたいなと思わせるほどの演奏だった。矢継ぎ早に演奏された「Phantom Joke」で、配信ライブの時に苦しそうに歌っていた斎藤さんはリベンジ出来るのだろうかとハラハラしながら聴いていたけれど、正解がよく分からなくなって、もうそこには注意を払わないで、曲全体を楽しもう、そもそもこんな難しい曲を演奏しながら歌っていること自体が凄まじいんだから、と思った。次はまさかの「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」。着席縛りでこの曲を聴かされると早くスタンディングでライブを観たいと大半の人は思うのだろうけれど、私にとって着席のライブは非常に快適だった。周りの人間の出過ぎた動きでライブに集中出来なくなるということもないし、座って眺めていることで立っているときよりもライブに集中出来るので、これからもユニゾンのライブは着席指定でもいいんじゃないかと思っている(東京ガーデンシアターは1席間隔だったけれど、センチュリーホールは2席間隔だった。椅子の幅のせいもあるだろう)。「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」で十分にドライブを満喫した後で、まさかまさかの「ライドオンタイム」で宇宙に乗っかってぐるぐる回ることになる。この曲は今回のライブで良さが十分に理解出来た。アルバムが発表されたときは「JET CO.」のなかの1曲というくらいしか認識していなかったけれど、今では「cody beats」に迫る勢いで大好きになっている。特に、

 

ライドオンタイム
ほら、今僕の目の前で 何かが始まって
乗り遅れちゃだめだよって言ったんだ

 

のぶぶんがたまらなく良いんだよな。東京でのライブではこの曲で田淵と斎藤さんのいちゃついていたのでにやにやして見てたのですが、今回は控えめだったのでちょっと物足りなかったです。そして今回のライブの最後を飾るのは、まさにこの曲だろうという感じで、「harmonized finale」を演奏する。一つひとつの音を丁寧に演奏して歌い上げていくのを観てるとたまらなくなってきて、今日2度目の涙がこぼれ落ちそうになりました。曲が終わりに近づいていくにつれて、「ああ、彼らの旅もそろそろ終わるんだな」ということが実感して、寂しい気持ちになる。10月から2ヶ月間の旅が、この次のライブで終わってしまう。それはとても寂しいことなんだけれど、もしかしたら新しい旅を計画してくれているかもしれないので、それを楽しみに待つとする。最後のぶぶん、斎藤さんにスポットライトが当てられて、

 

 

を歌うところは3度目でうるうるしたし、歌い終わった後にステージには斎藤さんしかいない演出はやはり素晴らしい、これは円盤化されてほしいと願った。こうして私にとっての「」は終わりを迎えた。

 

 

このコロナ禍で遠征するのはどうなんだ、ということは何度も何度も考えた。正直、遠征してライブを観たことは誰にも言っていない。しっかりと感染症対策をしたうえでライブが行われている、と言ったところで、「いやいや、ライブなんて危ないところに行って、危機感が薄いんじゃないの?」って言われることは目に見えているので、今回のライブは私だけの秘密である。今、ライブに行くことは私にとっては心の支えとなる行動であるが、外野から見たら、「危機意識の薄いやつ」と思われているかもしれないし、それは仕方のないことなのかもしれない。でもあなたがたが安直に考えているように、ライブの全部が危険なものではないし、それを言うなら居酒屋で、対面で、ノーマスクで話している方がよっぽど危機意識が薄いんじゃないんですか?、と言うと怒り出しそうなので現実では言いません。ライブが終わって家に帰り着いたらしっかりと手洗いうがいをして、すぐにシャワーを浴びるようにしてるし、人とは極力話さないようにしています。それでももし新型コロナに罹ってしまったとしても、それはライブに行ったから罹ったなんて思わない、毎日満員の通勤電車に乗っている方が余程リスクの高い行動だと思いますけれど。私はロックバンドがライブをしてくれる限りは出来る限り行くつもりですし、ライブをするなら運営側も観客と観客の間隔をきちんと取ったり、知り合い同士での私語を慎むように注意してくれると助かります。今回のユニゾンのライブはいろいろと制限がかかっているのに、寧ろそれのおかげでいつもより快適にライブを楽しむことが出来ました。それはライブの運営をしてくださったスタッフの方々の努力と、ここから感染者を出さないぞという観客側の意識が強かったからかもしれません。いつになったらコロナ禍以前のスタイルのライブに戻るのか分かりませんが、もしそのようなライブをしてくれるというのであれば喜んで駆けつける次第です。繰り返しにはなりますが、今回のツアーが無事に完走したことに非常に感謝しております。今回のツアーが完走できたことで他のアーティストも勇気づけられたかもしれませんし、何より音楽が好きで好きで仕方がない私にはとても喜ばしいことでした。これからも引き続き応援していきますので、無理のなさらない範囲で活動をなさっていってください。

 

 

<セットリスト>

01.クローバー
02.フルカラープログラム
03.フィクションフリーククライシス
04.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
05.セレナーデが止まらない
06.世界はファンシー
07.君はともだち
08.夏影テールライト
09.Phantom Joke
10.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
11.ライドオンタイム
12.harmonized finale

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