眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

寒い部屋で一人、読書

たくさんの睡眠を弄んでから、居心地の悪い気持ちを誤魔化すために読書を始めた。電車が通り過ぎる音と、隣人の咳払い以外は何も音のしない部屋で、文字を追っていると途端に本の世界に惹きこまれてしまう。音楽の道を諦めて、文学の道へと進もうとする少年、その周りに存在している天才と金持ち、好きな女の子には彼氏がいて......、とありきたりな題材なのに、町屋良平にかかるとなんとも魅力的な物語になる。音楽、それもクラシックのそれには疎いのでそれの描写になると眠たくなってしまうが、主人公の揺れ動く描写がなんとも美しくて、残りのページが少なくなっていくのが寂しく思えた。読書をする前はたくさんの悩み事を抱えていたような気がするけれど、今となっては何をそんなに思いあぐねていたのか忘れてしまうほど、読書で弱り切っていた心を救われた。作者にとってはそんな意図して書いたわけではない描写が、私の心を救ってくれる。この小説の好きなぶぶんは、主人公と主人公の好きな女の子が深夜のファミレスで働いているぶぶんで、女の子が意味ありげに主人公を弄ぶ、そこにそこはかとないシンパシーを抱いた。読書をサボっていたから最近の私は元気がなかったのだろうか。何も楽しいことがないような気分でここ最近は時間が流れていたけれど、それは好きでもない労働を終えてから、自炊でたいして美味しくもない夕飯を食べて、好きでもない勉強をして、就寝、という寂しい人生を送っていたからで、そこに「読書」という贅沢な時間を少しでも加えてあげれば途端に人生は動き始めるんだろう。当分、読書ばかりの人生になってしまいそうだな。