眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年11月11日(水)

「ふざけろ!「いつか終わる、悲しみは」
どうか忘れないでよ」

 

ここ数日の怒涛の忙しさが嘘のように、今日は一日中静かだった。緊急を要するようなことはなにひとつなく、一つの仕事を終えたら一服、一つの仕事を終えたら一服といったラフスタイルで業務を進めて行っても何の支障も生じなかった。昨日までで頑張り過ぎてしまった、静かすぎて途中で退屈になって、さっさと家に帰りたくなった。昨日もすんなりと寝ることが出来なかったので朝から体がだるく、だから集中力は存在しなかった、仕方がないのでぽつりぽつりと手持ちの仕事を進めていった。それでもこのままの調子で進めて行ったら明日明後日の仕事がなくなってしまうので、適当なところでセーブした。最近は新しい仕事を任されることがなくなってしまった、それはコピーロボットが自分の仕事でいっぱいいっぱいで、後輩に自分の仕事を引き継ぐような余裕がなかったからである。彼は仕事を持ちすぎているのか、それとも単に要領が悪いのか、私はまだ未熟者なのでどっちなのかはよく分からないが、さっさと仕事を教えてくれよなと思っていて、でもそこまで熱心に仕事を進めるのはちょっともったいないというか、会社から別によくしてもらっていないのにこちら側から熱烈なラブコールを送るのはちょっと釣り合わないというか、だから熱心に仕事をするのこと当分ないだろう。そもそも熱心に仕事が出来るような土壌が整っていないのだから、そのあたりのことについてどうこう発言する権利は私にはなかった。暇。暇だった。みんなは暇じゃなかったの?

 


仕事をしていないくせにお腹は異常に空く、なんて燃費の悪い体なのだろうと思いながらお昼ご飯は近所のうどん屋で温玉ぶっかけを食べた。圧倒的な量だけが魅力的な店で、月に2回くらいは利用するだろうか、あと100円くらい安かったら申し分はなかったのに。あっという間に平らげて、手持無沙汰で職場へ戻る。昼休みは省エネのため電気を消しているのだけれど、今日みたいに外が明るくない日だと真っ暗で、目の前に張られているスローガンすらまともに読めない。高らかにビブラートを利かせた歌声を披露している一群があった、来週に発表会があるらしい。この時期にそんな野蛮なことを、と思っているのは私だけではないようで、職場の中で特に浮いているよしおさんが「おいおい」と絡んでいて、一群は皆顔を歪めていた。お世辞にも上手とは言えない歌声が響いているこの状況、初めての会社なので「そういうものなんだろうか」とぼんやり思っていたけれど、友達の話とか聞いているとどうやらこの状況は狂っているようだ。鬱陶しい音を遮断したかったので、イヤホンを耳に差し込んだら思った以上に耳の奥に入り込んでしまって、ちょっぴり気持ち悪くなった。climbgrowが今の私の、このどうしようもない気持ちを晴らしてくれる、ありがとう。

 


午後の部になって、それでも一向にコピーロボットから私にアクションがなかったので、私はそれに甘んじてのんびりしていた。仕事を進める時間よりものんびりと紅茶を飲んでいる時間の方が長くなっていき、こんなことなら別に今会社に居る必要はないんじゃないか、在宅勤務でも十分なのではないか、と恨みったらしく思った。世間では第三波がやってきている、という話題で盛り上がっていると研修生が声を大きくして言っていた。東京で遂に新型コロナの新規感染者が300人を超えた。北海道での感染者も治まる気配がない。兵庫では今までで最多の感染者数を叩き出してしまった。他の地方でも新規感染者が増えていっているのだけれど、まだまだ危機感に乏しく感じられた、私を含めて。以前は東京の新規感染者が300人を越えたらこの世の終わりみたいな感じがしたけれど、今はすっかり不感症になっていて、「まだ300人か」と暢気なことを思っている。しかし事態は深刻さを増しており、重症者の数は増えている、政府は依然「Go To」を止める気配がない、このままただ指を咥えて感染者が増えていくのを見ているだけなのか。ここまで来てしまったら一人一人が危機意識を持って日々を送っていかなければいけない、当たり前で見落としがちだけれどこまめに手洗いうがいを徹底すること、不要不急の外出を控えること、それだけでもうちょっと状況はマシになるんじゃないか。ハロウィーンでの各地での騒ぎも近々の感染者増加に加担しているだろう、道頓堀のあの荒れ具合は傍目からでも「危ない」と思っていた。一体いつになったら二度目の緊急事態宣言を出すのか、東京で1.000人くらいは新規感染者が出ないと出すつもりはないのか。まだオリンピックを開催するつもりなのか。全てがちぐはぐなままで、年末は地獄のような様相を呈しているような気がしてならない。

 


来年の1月にようやく本配属が決まった研修生たちは、もう自分たちはここの部署とは関係がないとばかりに私語を今まで以上に慎まなくなってしまった。ある子はスマホでゲームをしていて、ある子は大きな声で来週末に予定されている旅行について嬉しそうに話している、ある子たちは集まって仕事とは関係のないことについて談笑している。その状況はまさにカオスで、誰も野放図にされている研修生を咎める人はいなくて、だからより一層私は在宅勤務をしたいと思った。ちょっぴりだけ、自分の代もこんなに同期間の仲がよかったらどれほど良かっただろうか、と思った。嫉妬などではない、はず。

 


定時に帰った。皆が一斉に定時で帰ったので階段は混雑して、階段を踏み外してしまう人がちらほらいた。早目に会社から抜け出した私は新宿へ向かっていた。今日はCRYAMYの新譜が発売される日なので、南口にあるタワーレコードをめがけて歩いていた。気付いたら小走りになっていた。最新の彼らがどんな音を鳴らしているのか興味があり過ぎて、ちょっと吐きそうになった。ビルの8階に着くとCRYAMYのコーナーが作られており、「YOUR SONG」と「♯3」が置いてあった。すかさず「YOUR SONG」を手に取って、会計を済ませるとそのまま電車に乗ろうとした。

 

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のだが、不意にまだインフルエンザの予防接種を受けていないことに気付いた。諸事情で予防接種の予約をキャンセルしていて、今日まで受けに行くのが面倒だったから。「今年も例年と同じくらいワクチンが足りていないから、時機を逸するとないかもね」と人が話していて、でも新宿の病院を調べていたら「予約はいりません。即日接種可」と書かれていたので、それを信じて駆け込みで入った。病院内には私を含めて3人の客しかいなかった、とても狭い病院だった。用紙に必要事項を記入するとものの1分で呼ばれ、すぐに注射された。そしてものの1分で名前を呼ばれて会計を済ませた。全部で10分ほどで、こんな簡単に受けられるなんて知らなかった。危うく、「どうせもうワクチンなんて残っていないのだから、受けたって仕方がない。大丈夫、自分はインフルエンザに罹らないよ」という思いのままで冬を越すつもりだった、良かった、安直に病院に行って。その足で東口の本屋へ行って、伊岡瞬の「赤い砂」(いきなり文庫)のサイン本が置いてあったので、安直に購入を決めた。

 

 

そしてようやく電車に乗って家の最寄り駅まで行って、髪が長くなってきて少々鬱陶しいことに改めて気づき、安直に美容院へ行くことにした。客は一人だけ、お手すきの男の美容師が私の担当となった。「どんな髪型にしましょうか」とにたにたして近づいてきたので、いつもと同じようなオーダーで通す。「短さは加減次第でごんすから、お好みの短さを仰ってくだせえ」と言うので、いつもより多めに切ってもらった。鼻息の荒い美容師だった。20分ほどで散髪は終わり、想像以上に切られてしまったけれど、「まあいいか」と思った、私は自分の髪形に拘泥するような人間ではなかった。髪形に対してもう少し気を配っていたら見た目が幾分かは良くなっていたのかもしれない、残念である。外に出ると寒風が轟いていて、切ったばかりの頭に寒さが溶け込んでいき、うっかりしたら風邪を引きそうになったので、小走りで家へと向かった。

 

 

家に着いて、すぐにシャワーを浴びて体に纏わりついた毛を洗い流していった。お米を炊いていなかったので、久しぶりにパスタを食べた。たらこマヨ味にしたけれど、絶妙のおいしさで、一束では足りない気がした。そのあとは羊羹や蜜柑を食べたりなどして時間を過ごした。

 

 

今週の月曜日から実は部屋の整理をしていて、それの集大成となるのが今日だった。「部屋が汚れていると心が病んでくる」ととある人が言っていたことを素直に受け止めて、クローゼットや下の部屋をちょこちょこと整理していったのだ。部屋を汚していたものの大半はゴミで、あとはそこに置いておく必要のないもの、ロフトにあるクローゼットにしまいこんでも支障を来さないものだったので、最終的にはそこに押し込んだ。今日は30分ほど作業をして、そうしたら見違えるほどに部屋がきれいになり、さっぱりした気持ちになった。床に余計なものが落ちていないこと、部屋に余白が存在していることが何よりも嬉しくて、今日はだからそれで満たされた気分になった。4日後に簿記の試験を控えているというのに、月曜日になってからというもの全然勉強をしていなくて、それが気になっているはずなのになかなか勉強をする気分になれなかった。もう11月の試験は駄目だ、来年の2月に照準を合わせて頑張ろう、もう無理はするな、と自分に言い聞かせないとどんどんと自分を追い込んでしまいそうで怖かった。私は試験のプレッシャーに弱くて、大学試験も緊張のせいで失敗してしまった経験があるので、それを思い出してなんだか切なくなった。ここまで勉強したんだから今回の試験で受かりたい気持ちもあるのだけれど、簿記2級のことをしっかりと理解してはいなかったので、この状態で試験に受かろうだなんて虫のいい話だったのかもしれない。という言い訳をぐるぐると考えていて、なかなか勉強をする気になれなかった。

 

 

先程購入したCRYAMYのシングルを徐に聞いてみて、ああ、今回も「♯3」を越える出来ではなかったな、そもそもバンドバンドしている曲が少ないことが残念だった。1曲目の弾き語りから肩透かしを食らい、すぐに終わってしまう曲もあってなんだか残念な気持ちになったけれど、4曲目の「死体」で「これこれ、私がCRYAMYに求めているのはこういう感じの曲なんだよ」とちょっぴり嬉しくなった。5曲目の「まほろば」は一聴では分からないけれど、何度も聴きこんでいくうちに大好きになっていく系の曲であることは分かっていた。今日は1度だけ再生して終わった。

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22時の半分が過ぎ去っていた。まだ遊び足りない気分だったので、追っかけ再生で「水曜日のダウンタウン」の「みんなの説SP」を追っかけ再生した。ゴミだった。それを見終わると23時になっていて、ちょっとだけニュースを見てからロフトに上がった。ごにょごにょと趣味を謳歌した後、ようやく簿記の勉強をする気分になった。工業簿記のテキストを読んでいて、今更になってしっかりと理解出来ていっている感じがあり、この感じが9月頃にあったら11月の試験には確実に合格していたな、と残念な気持ちになった。勉強を始めたら面白くなって止め時が分からなくなるのは知っているくせに、なかなか始めることが出来ない自分の意志の弱さよ。24時30分を回ってそこそこに眠気が訪れてくれたので、今日こそはすんなり眠れますように、とほのかに願いながら部屋の明かりを消した。眠たい感じが目蓋に乗っかっていたのだけれど、もう以前みたいにすっと眠りに落ちることは出来ないことを悟り、寂しくなった悲しくなった。妄想を二三して見て、隣の部屋から漏れ聞こえてくる男女の縺れ声が鬱陶しかったので、先週買ってWalkmanに入れたのに一度も聴いていなかったTwiceの2ndを聴いた。最近のK-POPってこんな感じになっているのか、こんな面白い音楽ならば久しぶりにどっぷり浸かってみるのもありかもしれないな、と思いながら次第に目蓋が重たくなっていき、4曲目くらいから先の記憶が無くなった。