眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年9月23日(水)

「明日晴れるのはため息のせいなんかじゃなくて
もっと単純めいたシンフォニー
変わる信号に騙されてるようじゃ君だってまだまだ」

 

久しぶりに仕事に行く。それはちょっとした行事のような、前日から少しだけわくわくするような、そんな気分だった。昨日の夜が惨憺たるものであったから、目覚めは非常に悪くて、だから二度寝をしてしまったら寝過ごしてしまう気がして、起きたら布団でぐずぐずしないでさっさと起き上がった。テレビではこの4連休での日本人の緩みを放送していた。長い渋滞を作ってまで遊びたいのか。夏休みが遊べなかったから、ここぞとばかりに外に出たのだろう。2週間後にどのような数値が叩き出されるのか、それがこれからの一つの指標になることだろう。いつまでも国の言うことだけを信じていられないし、だからと言って行動しすぎてしまって感染してしまったら目も当てられない。今この状況でどのように振る舞うかでその人の本質が伺えるという意味で、非常に意味のある時間が流れている。そんなことをぼんやり考えながら、近づいている台風のせいで当分は雨が続くことを鬱陶しく思った、傘を差すのが嫌いだし、じめじめした空気を吸っていると気分が悪くなる。久しぶりの出勤、電車は混んでいた。異様に混んでいる電車を見送って、まだ乗れるレベルの電車に乗る。ふっと気を緩めると目蓋が閉じていて、今にも寝てしまわんばかりのモードに入る。来週、いよいよ新作を発売するユニゾンの音楽を耳に流し込みながら、今日は平和に過ぎていけばいいと思う。

 


会社に着いて一番最初に思ったのは、「異様に静かだな」ということである。空調が止まっているのだろうか、物音が一切しない。まるでまだ長期休暇から抜け出していないかのような雰囲気が漂っている。ぬるっと朝が始まってメールチェックをする。投げておいたメールが返ってきていなかったので、催促のメールをすかさず送る。大した作業ではないのに、なぜそこまでずるずると延ばせるのか。期限を設けているのに、それを平気で破って一切連絡してこないというのはどういう神経を持ち合わせていたら出来ることなのだろう。うんざりした気分を変えるために冷えた水を一気飲みする。途端、変なところに水が入ってむせてしまう。ごほごほごほ、とむせるたびに周りの視線が冷たいものに変わっていく。今の御時世、咳をしていたら「新型コロナに感染しているかも」というふうに見られ、周りはその人を殺めんばかりの冷たい視線を送る。非常に冷たい世の中になったものである。咳が落ち着いて、そのあとは猪突猛進に仕事を進めていく。久しぶりに文字をカタカタやったり、数値を入力していったり、書類に目を通すことはなかなかに面白い、退屈しない所作であることを再認識する。時間の流れは早くて、夢中になって書類を作成していたらお昼休みになっていた。暗い外を歩きながら、近所のスーパーでパンを買って、それを社内で食べる。飽きたはずのパンが、久しぶりなのか輝きを取り戻している。昼ご飯を食べ終わったらすぐに寝てしまおうと決めていたのだけれど、あまりの眠たさに目を瞑っているといらいらするので、スマホをだらだら眺めていた。5連休のうちに勉強をたくさんしたので、昼休みにしようという気分になれない。中途半端な時間が流れていく。今日は早く寝たいな。昼休みが終わって、午後のパートがぬるっと始まった。今日しておきたいことは午前中に終わってしまったので、退屈を持て余しながらしょうもないことをちびちびと進めていく。これでお金がもらえるのだから、とんだ道化師である。そろそろ本腰を入れて行わなければいけないことの準備を着々と進めながら、午後も平和に過ぎていくことを実感していた。

 

 

気付いたら定時になっていた。皆はそそくさと退社していた。私もその流れに乗じてさっさと帰った。今日は仕事帰りに同期と時間を共にする約束をしていた。同期に連絡すると、「もうちょっと待って」ということだったので、近くの喫茶店で時間を潰す。ネットで、昨日分からなくなって不安になっていた工業簿記の解説を眺めていた。工業簿記を端的に簡潔に説明しているそのサイトは非常に出来が良くて、昨日の理解不足が嘘のようにするすると理解が進んでいった。夢中になって文章を読み込み、頭の中で仕訳を思い描いていたら同期が到着した。「もうちょっと待って」と残っていた仕事をパソコンでかたかたやっていた。こんなものが無ければ、外で仕事をするなんてことはなかっただろうに。どっちにしろ、内勤の私には関係のない代物である。30分ほど作業をして仕事を片付けて、私たちは渋谷に繰り出した。連休明けで、雨が降っていたので思っていたより人はいなかった。新しい喫茶店に入って、半年ぶりにこのような機会が設けられたことを祝った。相変わらず彼は転職をしたがっていて、それは会社の未来はないからという理由と、このままこの環境で仕事をしていても成長は見込めないから、という理由からだった。転職のために今、具体的にどのようなことをしているのかと聞いてみたら、転職サイトに登録しているだけとのこと。転職したい業界・職種は決まっておらず、私から見た彼は「満足いかない現状から目をそらしたいだけ」という風に映った。それはまるで2年前の、現状がしんどくて転職したがっていた私に似ていた。彼が賢明な判断をしてくれることを願っている。そのあとはただだらだらと、馬鹿な話をえんえんと3時間ほどしていた。本当はもっと前からこのような機会を設けたかったのだが、コロナが怖くて声を掛けられなかった。この間、偶然に彼に会って、今日の約束をした。東京に来てからは家族以外の人間と必死になって話す機会がなかったので、気兼ねなくなんでも話せるこの環境を有り難く思った。入社6年目、数々の同期が退職していくなか、彼と私はいまだに新卒で入った会社に残っていて、お互いに愚痴を言い合いながらも仕事が出来る環境に少なからず感謝していた。

 

 

22時近くまで話し込んでしまって、それでもまだ話したりないことがあるような気がしていたけれど、明日も仕事なので残念だけれどその場を後にした。久しぶりに会った彼は雰囲気がだいぶ変わっていて、この1年であったことを全部聞きたかったけれど聞けなかったことを残念に思った。夢中になって話しているときに、「温泉に行こう」という話題になって、突然だけれど10月に箱根温泉に行くことが決まった。2週間とちょっとでその日が来ることを嬉しく思う。どうか、そのときにコロナの感染が酷くなっていませんように。

 

 

仕事は殆どしていないのにくたくたになった体を運んでどうにか家に帰りついて、届いていたKOTORIの「HANE」を早速聴く。真っすぐ過ぎる音楽に、すっかり汚れてしまった私の心は恥じらいを覚える。「こんなにも真っすぐ見つめられてしまったら、どのように反応したらいいのか分からない」と、おじさんの階段を上ろうとしていた私は、まだその階段を上るには早いのかもしれない、と思った。KOTORIが紡ぎ出す音楽を彼らと同じ目線で楽しみたい、まだ老いるには早いだろう、と心の中のおじさんになりきれていないぶぶんの私が必死に訴えかけてくる。最近は新しいロックバンドの音楽を聴くことが殆ど無くなっていて(一番新しくてマカロニえんぴつだろうか)、だからKOTORIをきっかけに新しく出てきているロックバンドをたくさん聴いて、老いるのを食い止められたら、と思った。10月の日比谷のライブ、当たっているといいな。

 

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簿記の勉強をする気分になれなくて、ただだらだらとしていたら寝る時間になっていたので、おとなしくロフトに上がって横たわっていたらあっという間に朝になるのでした。