眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年8月7日(金)

「君が満足そうに抱える常識を徹底的に壊して」

 

午前4時に起きて、それは尿意を催していたからだったのか、それとも悪夢に魘されていたからだったのか。ちょっと寝て起きるを繰り返し、そうしたら朝が来ても猛烈に眠たい状況が続いていて、起きたくなかった。今日からお盆休みが始まればいいのに。無理やり体を起こして、ネットを徘徊していたらやっぱりお盆休みに打ち込むゲームが欲しくなって、だから「パワプロ2020」のSwitch版を勢いで購入した。今年の夏はパワプロ一色になることだろう。最後にパワプロをしたのは大学生の時で、それは64版でコントローラーがいかれていたので非常に操作しづらかった。けれど、隣にいる血の通った人間とプレイしているせいか、そこまで退屈しなかった。それぶりだから6年ぶりのパワプロである。ネットでは散々叩かれているけれど、それでも私は自分なりに最新作のパワプロを楽しむことになるだろう。夏が少しだけ楽しみになった。

 


眠たい状況は電車に乗っても持続していて、だから電車に乗っている間はずっと目を瞑っていた。今日の電車はそこまで揺れることはなく、壁に凭れながらひとときの休息を過ごしていた。そのまま電車は会社の最寄り駅についてしまったので、仕方がなく会社へと向かった。会社に着いて、嘘みたいだけれど今日も仕事が始まった。私は暇を持て余していた。昨日のうちに今月前半の仕事のピークが過ぎたので、あとは時間を潰すだけになってしまった。暇なときに雑談をして心を慰められるような同僚はいないし、いたところでこんな状況で雑談をするような奴は危機管理能力が欠けているだろう。ふと周りを見渡すと研修生は暇そうにして、それに紛れてコピーロボットも欠伸をかましていた。何度も席を立ってトイレに行っているのは、暇すぎてどうしようもないからだろうか。

 

「殆どの労働者は、皆、暇を持て余していた」

 

そんな状況だったから、頭の中で完結できることをいろいろ行っていた。そうしたら時間の流れる速度が若干早まって、ようやく昼休みが来た。一昨日昨日は豪勢なものを食べてしまったので、今日は安いところで済まそうと思っていた。そういえば吉野家でポケ盛りの第二弾が発売されていたんだっけ、別に最近のポケモンにはそんなにきょうみないけれど、でもちょっと欲しいなあ。と思って、気付いたら吉野家でポケ盛りを買っていた。そのまま会社に帰ろうと思っていて、でもそういえばセブンイレブンで700円以上を購入するとポケモンのエコバッグが貰えるんじゃなかった、でもこの時間帯にまだ残っているだろうかと不安になったが、それでもセブンイレブンへ向かった。結果的には残っていたのだが、ピカチュウがでかでかとプリントされている(A)しか残っていなかった。それを貰って、でも牛丼の小さなものでお腹が事足りるだろうか、と思って念押しにスーパーでサラダを買ってようやく会社に戻った。既に休みが始まって30分が過ぎていた。うす暗い部屋で、もそもそとサラダを食べて、牛丼を食べて、ポケ盛り中身を調べたら「ドンカラス」という新種のポケモンであった(本音を言うとサイドンドンファンあたりが欲しかった)。そんなことをしていたらお昼休みはあと10分しか残っていなくて、ちょっと眠たかったので机に突っ伏して目を瞑っていた。すぐに鳩の鳴き声が鳴り響いて、重たい体を必死になって起こした。あと少ししたらお盆休みがやってくるよ。

 

 

 

 

午後の仕事は暇で、それは当たり前の事実のように思われた。ずっとこの状態が続くのはもしかしたらあり得る推測で、そんなことが実現したら私は10年もしないでボケてしまって、自分の家すらも分からなくなって、会社の周りをうろうろすることになるだろう、と思った。そんなことを就業時間内に考えれるのは異常で、だから私は何かしらの行動を起こさなければならないのではないか、と思っていた。それは思うだけなら簡単で、そこから実際に行動を移すことには多大なる労力がかかる、かかるからそれを実際に行動に移す人は今までの世界ならば稀だった。でも私は現状を、このくだらない現状を変えたいと思っている、それを思うだけなら簡単だって先程書いた。さあ今すぐ行動に移そう、と思って何から始めたらいいのか、今この状況がおかしいことを思っている他の人を集めることから始めたほうがいいのだろうか、と思い周りを見たら熱心に手を動かしている研修生がいて、何をしているのだろうと覗いてみたらiPadで雑誌を読んでいた、それは研修とは全く関係のない雑誌で、多分キャンプ特集か何かの雑誌であった。それを見た途端に先程思っていたことが馬鹿らしくなって、「楽できるうちは楽しておこう」という思考回路が戻って来て、当分はそいつを採用することにした。他の研修生は何をしているのだろうか、と思い眺めてみると、LINEの返信をしている子、Twitterを眺めている子、暇そうに電卓を叩いている子、指を執拗に眺めまわしている子、優雅に水分補給をしている子。みんながみんな、暇を持て余していた。

 

 「殆どの労働者は、皆、暇を持て余していた」

 

だから、もう意識の高いことは考えないようにした。研修生が暇そうにしていて、それをほったらかしにしているのはどういうことなんだろうか、自分の業務にいっぱいいっぱいなのだろうか、それともどうせ数カ月も経ったら経理からいなくなってしまうのだから自分の時間を割いてまで本気で教えることはないんじゃないか、と経理の人は思っているのだろう、と思うことにした。皆が前を向けるわけではないし、楽をするために本気で頑張っている人がいることも今回の件で分かって、どうやら私は仕事というものに真剣になり過ぎていたきらいがあるように思われた。だから私も頑張らないようにした。時として、頑張らない方が頑張るよりも労力を要する時がある、今はその時ではないのだけれど。ということを考えていても一向に時間が進まなかったので、遂に、満を持して書類整理をしてしまおうか、最近は全然やれていなかった書類整理に着手しようか、と一瞬考えて、でも面倒だよな、面倒なことはお盆休みが目の前まで近づいてきている今したくないよな、と考えて、結局はしないことにした。それが最適な解であるような気がした。だから私は暇を持て余して、暇すぎるのは気持ち悪くなるので、適度に書類を眺めたり、パソコンをポチポチしてみたりした。そんなことをして時間が流れていく、その速度がどんどん早くなっていくのが好ましい、と思えた時に上司から声が掛かった。それはどちらかというと楽しくない話だった。こちらから催促のメール、電話なりをしてそれに対して営業が怒っている、とのことだった。コピーロボットと一緒にその話を聞いていた。それは今週の頭からやりとりされていることで、普段は温厚な営業課長が今回は怒っているようだぞ、と上司から聞かされた。その件に関しては私も関わっていて、それに対して私も疑問を持っていた、だからコピーロボットに意見を仰いで、それをそのまま営業サイドに返した、気がする。それがうまく伝わっていなかったのか、それともコピーロボットが出した答えが間違っていたのか、それともその両方だったのか。ということでそのときの書類を見つけ出すことになって、ひたすら紙を捲り続ける不毛な時間が始まった。その書類の束に答えがないことは知っていた、でもそれを上司かコピーロボットに話すのは適切ではないと直感で思った、だから十数分ほど書類を捲っていた。捲っていて途中で指を傷つけた、それが思っている以上に深くて何だかすべてが馬鹿らしく思えた。経理から営業へ情報が行く際のシステムがおかしいんじゃないか。答えは結局のところ分からなくて、それを上司に報告した。それでとりあえずは納得した上司がいて、そのあとにまた同じように暇な時間が流れた。「あっ」とコピーロボットが声を上げた。どうやら彼の失態だったらしい。ということを上司に報告して、そのあとに二転三転して、いろいろあって面倒だね、でもそれほ修正するのは面倒なのでお盆明けにしようということになった。定時を過ぎていた。定時を過ぎていたので本当は帰りたかったのだが、コピーロボットからの指令で行かなければいけない場所があった。そこへ行っていろいろとして、外はまだ暑かったので汗だくになった、そのままの体で会社に帰ったら殆どの人は帰っていた。例年ほどではないかもしれないけれど、そこそこは浮かれていたに違いない。無駄な残業を強いられる、そしてそれを心のどこかで嬉しがっている総務という部隊はまだまだ残っていて、不毛な時間を、と思った。私は少しだけ体を休め、そしてさっさと家に帰った。帰ったはずだ。それから何をしたっけ。たぶんすぐにシャワーを浴びて、録画しておいたバラエティ番組を観て、夕飯にチャンジャを食べて、読みかけの本を読んで、それで24時を過ぎて、でも明日から長い休みが始まるから、とちょっとだけ夜更かしをして。でも体は5日間の労働でくたくたになっていて、だから結局はいつもとそんな変わらない時間にロフトに上がって、電気を消して目を瞑ったら一瞬で眠ってしまったはずだ。