眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

理髪師との会話が苦手

東京に住んでいた時に通っていた美容院の理髪師は余計なことは一切言わないで、散髪が終わったら「どうですか?」と一言声を発するだけだったのでとても楽だった。そういう空気が楽だったことが当たり前になっていたので、この間名古屋の美容院に行った時に苦痛を感じた。仕事で東京に行く前によく通っていた美容院で、最後に散髪してもらってから4年以上も経っていたので、「前に比べて体が逞しくなった?」と声を掛けられた時には吃驚してしまった。

 

 

その理髪師はよく喋る人で、特に自分の生活について事細かに話すことが多く、それが私には窮屈だった。散髪されているときは目を瞑ってテキトーなことを考えてうとうとするのが好きなので、矢継ぎ早に会話を投げかけられるのは、正直なところ鬱陶しかった。結婚観の話になって、下手に刺激するのも嫌だったので世間体の良さそうなことを喋っていたら異様なほどに褒められた。褒められるとちょっぴり嬉しくなるので、調子に乗って喋っていたら疲れた。オーダーで、「短めで」とざっくりと言ってしまった私も悪かったかもしれないのだが、目を開けて鏡を見るとパイナップルみたいな髪型の自分が写っているのを確認すると相当に凹んだ。次の日が金曜日で、会社の人に髪型のことで弄られたら嫌だな、と思っていたら何事もなく一日が過ぎていったので、人は人が思っている以上に人に関心がないことを思い出していた。