眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

226日目「暇に潰される」

朝から暇であった。自分の仕事というものを持っておらず、日々は先輩から分け与えられる仕事をぽつりぽつりとこなすことで なんとか凌いでいた。私によく仕事を振ってくれたり客先への同行を認めてくれる先輩は出張で、やるべきこともなかったので暇であった。何をすればいいのか分からない。昔の資料を読み漁っていればいいのだろうか。何の前知識も持ち合わせていないので、昔の資料を眺めてみたところでちんぷんかんぷんなぶぶんが多く、すぐに眠くなってしまうのがオチである。気付いたら課の先輩方は外出しており、隣の課の人たちも社内に残っていなかったので、気が楽になった。暇で一番辛いのは勤務時間なのに何もしていないなあいつ、という周りからの視線であり、そういったぶぶんでは午前中は気楽だった。お昼ごはんは一人でお気に入りの中華屋へ行き、あとの昼休みは音楽を聴いて過ごした。さて、休みが終わっても何もすることが無い状況は続いており、眠気との闘いを強いられた。社内に直属の上司がいたのだが、その人も暇そうにニュースサイトを眺めていたので、「 何かお手伝いできることはございませんか?」 と訊くことは憚られた。暇で暇で、頭がおかしくなりそうだったので、Google Mapで名古屋を眺めていた。方向音痴で地図もろくに読んだことがない私にとって、名古屋の地理に関してはとんと門外漢で( 他の地域の地理に関してもだが)、「ここに鶴舞があったのか」「栄と千種ってこんなに近いんだ」と、名古屋に暮らしている人なら誰でも知っているようことでちょっとした興奮を覚えた。

 


どれだけ社内にいても何も起こる気がしなかった。何もやることがないくせに、何かをしている振りをしているのは苦痛であり、恥であった。場所が変わっても、「暇」という恐るるに足る環境はいつでも私を襲ってくることを悟った。

 


どれだけ目の前のよく分からない資料を眺めていても、不意に眠気が襲ってきて、気付いたら若干の時間の歪みを感じた。明らかに30秒ぐらい時間を移動した気がするのに、周りを見回しても特筆して変わったぶぶんはなく、( 自分の思い過ごしか) という取り越し苦労でこのよく分からない事実を暗い穴に落としてみたくなってしまうが、たぶんあれは眠ってたろ。若干体力が回復しているのがその証拠である。ただ、 私にはもうどうしようもないので、このような陳腐なことを繰り返さないためにも早く暇な状況から抜け出さなくてはならない。このままの状態だと何も成長しないし、さすがにこれだけ勤めていて独り立ち出来ていないのはだいぶ焦る 。