眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

224日目「すでに夏」

1週間前から薄々感づいてはいたけれど、もう夏のような気候である。外を少しでも歩いているだけで汗がたらたらと流れていき、喉は純粋な水を欲する。いっちょまえに着ている紺のスーツのせいで背中がびっしょりと濡れてしまった。5月からクールビズを会社全体でやるそうなのだが、営業だけは特例でスーツを着なければいけないのはどうにかならないものか。見栄のために暑いものを纏って、垂れてくる汗をせっせと拭いて拭いて拭いて、体力が無為に減っていくのを黙って眺めているのはアホらしい。

 

 

 

編集の子はセ ーブすることを知らない。せっかく体を動かさなくてよいデスクワークなのに、動きまくる。気にいらないことには全部しっかり文句を言って、人ともぶつかるし逆に交流も広げるし、休みなく働きとおしてしゃべりもいつでもフル稼働。でも体はムリがきかないから、ちょっと風邪をもらうだけでたいへんなことになるらしい。そういうことを聞くと、大病したことない人は逆に、セ ーブすることを知らずにいきなりプッツリ切れてしまうんじゃないかと思う。その子にもそんな心配をしている。ということは、私がいつも早いうちからやる気なくなったり、ほどほどにしてすぐさぼったり、本気出すぜ!いくぜっ!って感じに全然ならないのは、幼いころの経験で体がセ ーブすることをおぼえてるからなんじゃないか。そんな解釈。ちょっとほくそえむ 。

 

能町みね子「お家賃ですけど」No.438より

 

 

どこの誰だか分からない人のエッセイを読むのが大好きである。特にこのエッセイを書いている人は私が現実世界で出会うことのないような人なので、その類い稀なる観察眼や考え方を覗き見出来るのが非常に愉快である。私も疲れっぽい体質のせいで、仕事の時でさえ頑張るということを滅多にしない。常に体力をセーブしておいて、来たるべき時のために体力を温存している。その来たるべき時というのは一年のうちで数回ぐらいしかないのだけれど、赤ゲージの体力で過ごしてしまうと後々、厄介な面倒ごとに巻き込まれることがあるので、普段はゆったりとした生活をしている。そのような私のペースに苛立ちを覚えた人は不機嫌そうな顔をすることが多々あったが、そんなことはどうでもいい。ある程度は気にした方がいいのかもしれないけれど、自分の体調を壊してまで体面を気にする必要はない。今だって、「朝早く会社に来ないと周りの人からやいのやいの思われるよ」と先輩に言われたのだが、別に朝早く来たところでやることはないんだからゆっくり出社してもいいんじゃね?と思っている。ただ、まだ赴任してきたばかりで、そんなしょうもないことで波風を立てたくないので、今のところはまずまずの早さを維持している。みんな、しょうもないことを必死に守って大変ですね。

 

お家賃ですけど

お家賃ですけど

 

 

 

名古屋駅に用事があったので、久しぶりに名古屋駅にある近鉄パッセに行った。私が高校生のときによく通っていた星野書店は若干の変化を見せつつも、当時の面影を残していた。そうそうそう、ここでよく文庫本を買ったり漫画の新刊をチェックしていたっけ。あの頃はこれぐらいの規模の本屋でも満足していたけれど、新宿のどでかい本屋を頻繁に使っていたせいで、星野書店が物足りなく感じる。欲しいと思っていた婚活エッセイは売っていなくて、ここから違う本屋さんに行くのも面倒だったので、森博嗣の本で手を打った。その後に上のタワレコに行った。昔はここのタワレコでたくさんのCDを買っていたのだが、今はネットでしか買うことがなくなってしまったので、リアルCD屋さんのポップを見て、「こういうのを見て普段は興味のないCDを手にとっていたんだよな」としみじみと当時を思い出していた。まあまあ疲れていたのでタワレコはほぼ素通りして、電車に乗って家に帰った。