眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年8月23日(日)

「あなたの涙を空まで飛ばして、私は飛行機雲」

 

今日に期待などしていなかった。金曜土曜と惨憺たる日々を送ってきて、鬱なんだろうなという現状把握も済んだので、今日は特に何も起こることなく、しれっと過ぎていくのだろうと思っていた。だから別に早起きをするつもりもなかった、しかし起きたらまだ朝の7時過ぎで、だからもしかしたら、という期待がちょっと出てきた。久しぶりにパソコンの整理をして、そのあとに録画してあるバラエティを観て、そのあとは訥々と多和田葉子の本を読んでいた。多和田葉子の「地球にちりばめられて」は今まで読んだことのないような類の小説で、なんというか、小説でここまでのことを表現できるのか、と嬉しくなった。私が今まで読んでいた小説では描かれないような、はっりき言わせてもらうと「そんじょそこらの小説と次元の異なる」小説だった。だから、小説は最近はなあなあで読んでいることが多くて、これからは本物の小説だけを読んでいきたい、それで少しでも明日が来るのがワクワクするのならなんて素晴らしいことなのだろう、ともっと嬉しくなった。読み耽っていたら12時を回っていたので、今日は、今日は外に出て体を動かそう、太陽の光を浴びて少しは元気になろうという気概が満ちていた。午前中の天気は芳しくなく、外に出るのが億劫だなあと思っていたが、昼になったら雲の隙間から光が差し込んできていて、だから外に出ることを肯定的に考えることが出来た。新宿くらいしか行くところが思いつかなかった、想像力の欠如。あらゐけいいちの「CITY」の新刊が出ていて、店舗特典でポストカードが付いているので、新宿西口にあるとらのあなへ初めて行った。なかなか分かりづらい場所にあり、辿り着いたときには「こんなところにあるのか」と感嘆した、そこには普段目にすることのないような刺激物がたくさん陳列されており、だから変な気分になった。お目当ての本があったのでそれを購入したらすぐに店を出た、ここに滞在する時間が長ければ長いほど取り返しのつかないことになるのではないか、と恐れていた。そのままの足で止まることなく、とても久しぶりに東京油組総本店へ行った。履歴を確認すると最後に行ったのが4月だった、緊急事態宣言でぐちゃぐちゃになっていた時に行っていたことにある、その時の記憶があまり鮮明でない。だから席と席の間に仕切り板があることを初めて知ったし、久しぶりの油そばは正直なところ美味しくなく、多分、もうここを訪れることはないのだろう、と寂しくなった。私の東京での麺といえばこのお店の油そばだったので、寂しくて、でも私の味覚が変化したのだろう、という風に考えることにした。そのあとに当然の如く西口の本屋へ行った。まず漫画コーナーへ赴き、山本直樹の「田舎」を購入した、平積みされていた。分厚いけれど漫画一冊に1,650円(税込み)を払うのはどうなんだ、と思う節はあったけれど、「ありがとう」で完全に山本直樹の信奉者になった私は、だからそれくらいのお金を払うことを最終的には自分い許した。そのあとに雑誌コーナーでももクロが表紙の雑誌を買い、あとは文庫本で前々から欲しいけれど単行本は持っている伊坂幸太郎「ホワイトラビット」を結局のところ購入して、あとは西尾維新の文庫本を購入して、それで外出の要件は済んだ。電車に乗って家に帰って、シャワーを浴びてしばらく椅子に座ってぼおっとしていた。

 

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購入した本

伊坂幸太郎「ホワイトラビット」
西尾維新新本格魔法少女りすか2」
「BRODY(ブロディ) 2020年10月号増刊「ももいろクローバーZ ver.」」
あらゐけいいち「CITY(11)」
山本直樹「田舎」

 

ホワイトラビット(新潮文庫)

ホワイトラビット(新潮文庫)

 
新本格魔法少女りすか2 (講談社文庫)

新本格魔法少女りすか2 (講談社文庫)

  • 作者:西尾 維新
  • 発売日: 2020/08/12
  • メディア: 文庫
 
田舎

田舎

  • 作者:山本 直樹
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: コミック
 

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家に帰り、多和田葉子「地球にちりばめられて」を読む。そしたら読み終わった。圧倒的な読書体験だった。私のこれからの読書ブームの火付け役となった作品であり、多和田葉子という素晴らしい小説家と出会うことになった記念すべき作品であった。毎ページ毎ページで驚きがあり、それが慣れることはなく、ずっとずっとどきどきしていた。こんな作品が世界に存在していること知らなかった、もっと早く教えてくれればよかったのにな。これから、多和田葉子の沼にずぶずぶハマっていくことだろう楽しみで仕方がない。

 

「君はしゃべらない。君は黙っている。君は何も言わないことに決めたのかな。強制するつもりはないの。非難するつもりもないの。人間はどうして話をしなければいけないんですか、と逆に訊かれたら、わたしだって答えられないかもしれない。でも、君のそのダンマリは、そのまま続けていったら死に繋がるんじゃないかしら。話をしない人たちが何万人も暮らしている島を想像してみて。食べ物もあるし、着る物もある。ゲームもあるし、ポルノ・ビデオもある。でも住人たちは言語を失って、ぼろぼろと死んでいってしまう。」

多和田葉子「地球にちりばめられて」p262,263

 

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続けてサラ・クロッサン「わたしの全てのわたしたち」読む。そしたら読み終わった。分厚い本なので読むのに時間がかかるだろうと思っていたが、読み始めたらページを手繰るのが止められなくなった。一ページ一ページがグレースとティッピの生きている証であり、終わりが近づいてくるにつれてページをそのままにしておきたかった、でも最後はやってきた。外国の小説はあまり馴染めなくて全然読んだことがなかったけれど、この作品はそんなことを忘れさせてくれるほどに熱中したし、読み終わったあとに「自分も自分が頑張れる範囲内で、無理しない程度に頑張ろう」と思えた。読み終わった後に、元気を貰える作品でした。

 

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そのあとに、まだ時間が残っていて、それはほんの30分ほどの時間だったけれど、まだ時間があったので、キム・ヘジンの「中央駅」を読んでいた。これもこれで面白い小説で、どんどん読み進めたい気分になったけれど、25時を過ぎたあたりで(そろそろ寝ないと先週のように狂った日常を送ることになる)と自分に言い聞かせて、ロフトに上がって電気を消したら、そんなに時間をかけずに眠りについた。