眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年8月5日(水)

「夜が揺れている
僕の手の中で
夏の花火と君が嫌いだよ
一人ぼっちじゃ空に昇る思いだ」

 

今日も昨日の焼き増しのような一日。昨日と今日のまちがいさがしをしろ、と言われたら「えっ、どこも同じじゃないか」とうんざりしてしまうだろう。それくらいに昨日との差異を見出すことの出来ない一日であったし、そういった平々凡々な一日こそが幸せなんじゃないかな、とか思ったりし精神の平静を保ってみる。

 

 

私が今日も出社して、面白くもないしやりがいもないし人間関係も微妙な仕事をし続けているのはお金を貰うためだけである。仕事をすることで自己成長をするなんてほんの一握りの人間だけで、世の中の大半の人はつまらない仕事をお金を稼ぐためだけにしている、と思う。私も後者のつまらない人間になってしまった。子供の頃は漠然と「サラリーマンになるのかな」と考えていた。年齢を重ねていくにつれて自分が人とのコミュニケーションがうまく取れない人間であることが分かってきて、そこそこの企業で働くことは難しいかも、最悪は工場で何かを何かに注入する仕事をするのかもしれない、そこには人とのコミュニケーションは一切なく、ただひたすら同じことを繰り返し続けることだけが求められるのだろう、そんな人生を送るくらいなら別に無理して生きる必要はないだろう。ということで、漠然とだが「20歳頃には死んでしまうかもしれない。そしてそれは私にとっても世界にとってもいいものなのかもしれない」と馬鹿なことを思っていた。大学生になり、アルバイトをするようになり、その気持ちはより強くなっていった。さて、就活を終えて入社して、しれっと6年も経ってしまったのだけれど、人とのコミュニケーションが苦手な人間でも月日を重ねるうちになんとか「場」に馴染んでいくものである、それが勘違いだとしても、というようなことを就業中に考えていて、他に書くこともなかったのでとりあえず書いてみた。これから先、仕事が面白くなっていく見通しは立っていないし、人間関係が向上していく気配もないけれど、相変わらず経理の仕事を続けていくのだろう。営業にいた頃は毎日が地獄みたいなもので、夜寝るときや朝起きるときは胃がキリキリとする思いで踏ん張っていた。私の上に就いた人は癖が強すぎる人が多くて、自分を過信しすぎて他人があまり見えていないような人が多かった。よく分からない仕事の仕組みを教えてくれることはなく、ただただ怒っていた印象だけが残っている。あの日々に比べれば、今はだいぶマシで、就業中もそれ以外の時間も精神的にだいぶ楽になった。今日はそんなことを象徴するかの如く、スムーズに時間は流れていった。適度にやるべき仕事はあったし、それを進めていくうちでストレスが発生することもなく、気付いたら終業時間を迎えていた。時間軸はおかしくなるが、昼飯はまたあの海鮮丼を食べた。こんなにたくさんの上質なネタが載っていてこの値段は嬉しいな、でも毎日食べられるほど安いわけでもないから週一の楽しみである。今日はその楽しみを満喫してしまったので、明日はどこで食べようかしら。暗い社内で、スーパーで買ったパンを食べることも悪くはないのだろうけれど、寧ろ新型コロナに感染しないためにはそうしたほうが良いのかもしれないけれど、外出の機会が減って、平日もほぼずっと社内に居るので、平日の昼くらいは外に出て気持ちをじゃぶじゃぶした方がいいんじゃないか、そうした方が人生はうまく転がっていくのじゃないかな、とか考えていた。

 


だから、だからではないが、家に帰ってから炊飯器でご飯を炊いた。何カ月ぶりだろう。ご飯が炊けるまで、シャワーを浴びたり、本を読み読みなどをした。1時間後にご飯が炊けて、茶碗を取り出したらカビが生えていたので、大きめのコップにご飯をよそってその上にチャンジャを載せた。待ちに待ったチャンジャオンザライスである。賞味期限ぎりぎりのせいなのか、もともとなのか、塩っ気が強くて、毎日これを食べていたらどうしようもないほどに塩が満ち満ちている体になることだろう。食べ終わって、満足したお腹をさすりながら日本のドラマを観て、そのあとに読書日記を50ページほど読んだ。遂に読んだページ数は1,000ページを超えて、終わりが見えてきた。読み始めた頃は「こんな分厚い本を読み通すことが出来るのだろうか」と不安だったが、いざ読み始めてみると私のリズムにガチっとはまり、すいすいと読み進めることが出来た。この本を読み終わったらこの本の続きである本を購入して読もうか、それとも全く異なるジャンルの本を読み進めていこうか、今年のお盆休みは無駄に時間があるので好きなように過ごせるのだ、と自分を鼓舞している。本来だったらたくさんのライブに参加して心が強くなったり、帰省して祖父母の家に行き、親戚一同が集まって楽しくおしゃべりして美味しいものを食べる筈だったが、全ては夢物語になってしまった。今年は家でこじんまりと過ごす。ただ、9日間の休みを本だけに費やすのはちょっともったいないような気がするので、新しいゲームを購入しようかと検討している。戦闘物*1か、野球*2か。

 


読書日記から離れ、まだ時間はあったので、先日図書館で借りた多和田葉子「穴あきエフの初恋祭り」を読み始める。多和田葉子の存在を知ったのは京都旅行に行った際に大きな丸善多和田葉子のフェアが展開されていたからだ。そのときは本の表紙が良い感じだったので買ったが、読んでみるとうまくはまることが出来ずに数年が経った。その間にも彼女は本を出し、文庫本になったそれらをちまちまと買っていた。何度か挑戦してみるのだが、なかなかはまらないことことに苛立ちを感じていた。そんな時の「穴あきエフの初恋祭り」である。読み始めてから一瞬にして彼女の紡ぎ出す世界に惚れて、2編を一気に読んだ。まるでキツネにつままれているような気分になる物語で、読んでいると変な浮遊感が身体中を巡った。へんてこりんな物語を自分のスタイルでがしがしと進めていき、普通だったらしょうもないところに帰結しそうなのを「なんかしらんがとんでもない」ところまで突き進めて行けるのが彼女の強みなんじゃないかな、とぼんやり思った。思って、久しぶりに小説を読んで興奮したので、今年の夏は多和田葉子だ、多和田葉子にどっぷり浸かるのだ、という変な気分になって、急激に眠気に襲われた。まだ23時を少し回ったところだったけれど、読書日記と小説で心が満たされたので、今日はこれでおしまいでもいいだろう、むしろここから余計なことをしてしまったら一日が台無しになる、どんなことをしたら一日が台無しになるのだろう、例えばギャンブルで有り金全部を突っ込んで敗北を喫するとかだろうか。とか余計なことを考え始めそうだったので、ロフトに上がってさっさと寝た。明日も多分、多和田葉子を読み進める。幸せを一つ見つけられて良かった。

 

穴あきエフの初恋祭り

穴あきエフの初恋祭り

 

*1:Ghost of Tsushima

*2:eBASEBALLパワフルプロ野球2020