眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

2020年6月16日(火)

「わからずやには 見えない魔法をかけたよ」

 

ものすごく久しぶりに出社した気分だ。以前まで使用していた私の席は元の所有者が使うはずだったが、別の人が座っていた。元の所有者は出社していなかった。辺りを見回して、私が最初に引っ越した席が空いていたので、そこをとりあえずの場所にすることにした。仕事が始まって、在宅勤務している間に溜まった仕事をこなしていたら時間が滑らかに過ぎていった。会社という箱で仕事をしていると、家で一人で鬱々としているよりも精神的に救われるぶぶんがある。成果物がたいしたものではなくても、ちゃんと出社して席に座っていた、という事実だけで救われる命がある。午後からコピーロボットに新しいことを教えてもらった。金曜日にちょこっとだけ脅されていたが、蓋を開けてみるとたいしたことはなかった。そのあとはちょっとした厄介ごとに巻き込まれた。相手が話していることと、コピーロボットが話していることは食い違っていた。その差異を解きほぐすのが面倒に思えた。昨日は隙あれば間食をしてお腹が常に膨らんだ状態で嫌だったが、会社だと堂々とお菓子を食べることは憚られるので、水オンリーで8時間を過ごすことに成功した。お昼もおにぎり2個とカップ麺(シーフード)で済ますことが出来た。でもなかなか痩せないんだよな。身体を十分に動かしたいけれど、家で引きこもる生活が染みついてしまったので、外に出るのが億劫だし怖いしで、運動する気分ではない。そろそろ行われるであろう健康診断の結果が怖くて仕方がない。

 

 

今日は晴れていた。風が馬鹿に強かった。親に久しぶりに連絡をしたら体調が悪くて苦しんでいたが、今はちょっと楽になったとのこと。熱がなかなか引かなくて、病院で診てもらうと思い電話をしたが「熱がある人は診断できません(コロナに罹っている疑いがあるから)」とのこと。コロナの弊害はこんなところまで来ていた。コロナに感染したときに出る症状がある人は、病院に行って医師に診断してもらうことは難しい。身近でそんなことがあるとどうにもやるせない気分になる。東京から名古屋までの、思った以上に遠い距離を恨めしく思った。

 

 

電車は今日だってもう満員で、これを受け入れていかないことには生活がままならないということだろうか。乗りたくないけれど、乗らないと会社には行かれぬ。そう思っている人はたくさんいる筈だ。「満員電車が怖いので、在宅勤務をさせてください。それが難しいようでしたら、自宅待機をさせてください」なんてことを組織に言える人はそんなにいないだろう。自分の命と生活を天秤にかけるほどしんどいことはない。生きていくために電車に乗って会社に行くのに、乗った電車でコロナに罹って死んでしまったらなんともあほらしいではないか。じゃあどうしたらいいのか。一年、三年、十年も家でずっと籠っていられるほどの財力はない。三か月も無収入の状態が続いたら生きられぬ。それなら命張ってでも、この身で這って会社に行くことは本当に正しいのか。お願いだから、在宅勤務が出来る会社は在宅勤務を推進してほしいし、出来ないなら出来ないで通勤時間をずらすとかしてほしい。何百万人の命が懸かっていることなのだから、中途半端な考えで終わらせないでほしい、とぎゅうぎゅう詰めの電車で考えていた。

 

 

家に帰ってシャワーを浴びて、夕飯にサラダを食べて、バラエティをちょこっとだけ観て、朝から楽しみしていた「椿の花咲く頃」7~9話を観る。今まで観てきたドラマだとこのあたりでダレをみせてくるのだけれど、このドラマは話が進んでいき、それがちょうどいい塩梅の速度なので、ノーストレスで観ていられた。演技、うまいな。日本のドラマでこんなにも演者の演技に引き込まれるということがないから、ちょっとだけ悔しくなりながら観ていた。ドンベクの周りの世界は次第に雲行きが怪しくなってきて、観ているこちらも気が気でなかった。ヨンシクは必死になって「ジョーカー」を探すのだけれど、なかなか尻尾を掴むことが出来ない。そんなシリアスな場面の合間を縫って紡がれるドンベクとヨンシクの恋愛が観てて微笑ましい。肯定されることがなかったドンベクに対して全力で好意をアピールするヨンシク。しつこいくらいに彼女に好意を伝えている姿を観ていたら、「こんなにも必死になって自分のことを肯定してくれる人がいたらどれだけ力強いことだろうか」と思った。そんな二人の物語以外にも、浮気をして浮気相手からお金をせびられるどうしようもない男がいたり、元妻と子供が気になって気になって仕方がない野球選手がいたり、主人公二人を取り巻く人間の物語をしっかりと描き切っていること、それが片手落ちではなく存在感のあるものとして成立していることもこのドラマのクオリティの高さに貢献しているのだろう。ドンベクとヨンシクの関係ばかりを描いていたら退屈になっていたことだろう。そこで周辺の人物を動かしてみることで、何時間観ていても飽きがこないように出来ている。良く出来たドラマである。問題はサスペンスの側面であるが、中途半端なことにならないことを願っている。

 

 

ドラマを観終えると23時を過ぎていた。ここで寝てしまっても良かったんだけれど、寝た方が最適解だったんだけれど、ドラマだけ観て一日を終えてしまうのも味気ない気がしたので、阿久津隆「読書の日記」を読む。個人経営の書店を営む著者の何気ない日々を読んでいると、私もたくさんの本を読んでいろんなことを考えたくなるし、個人経営の本屋に行きたくなる。ぼんやりとした頭で小一時間ほど読書をして、24軸を過ぎたら猛烈な眠気に襲われた。まだ起きていたい気分だったので、ちょっとだけ小休止を取ろうと目を瞑ったら寝ていた。