眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

祈りにも似たなにか

東京での一人暮らしがようやくしっくりきている今日この頃である。つい最近まで、日々、おっかなびっくりな時間が多く、どうにも落ち着きというものがなかった。実家での安らぎを十分に満喫した後の一人、というものはなかなかに厳しい。昔、恋人と同棲をしていた時期があり、破局からの一人暮らしというものはなかなかに爽快であった。気の休まらぬ同棲からの、何をしても誰からも咎められない一人暮らし。何時に寝てもいいし、何時にどこに行ってもいい。洗濯物を溜めても、汚れた食器を溜めても、誰からも文句を言われることのない環境に一種の安らぎと痛快を感じていた。それが前回の一人暮らし。今回はぬくぬくとした環境からの一人暮らしなので、必然的に寂しさがちらつく。一人でご飯を食べているけれど、今頃実家では、みんなでわいわい鍋でも突いているのではなかろうか、といった考えはただでさえ寂しい私の心により一層の強い風をそそいでいく。一人は寂しい。一人は辛い。そんなことを東京に来てからの2週間と少し、身に染みて痛いほど感じた。しかし、ようやく心身ともに一人という環境に慣れたのだ。やりがいのない仕事を定時で終え、家に帰ってから寝るまでのフリータイムをまるまる、自分の好きなことに使っていいという自由は些か持て余しがちになってしまうが、それでもその自由すぎる環境がどうにも心地よく感じられてきたので、私の一人暮らしはここからぐんと快適さを増していくことだろう。本棚に並べられた本の背表紙をぼんやりと眺めているとき、くだらないバラエティのなかに一瞬だけでも笑いを感じ取れた時、音楽とじっくり向き合っているときの「ミュージシャンが私に歌いかけている」という一種の勘違いを心地よく思えるとき、一人きりでいることがたまらなく愛おしく感じてくる。そろそろ30歳になり、「結婚」という二文字がずしんとのしかかってくるのだろうけれど、私はもう少し一人を満喫しておきたい。たとえ、一人に夢中になりすぎて結婚するタイミングを失ったとしても、一人を満喫し終えずに結婚し、物足りなさと後悔を抱えるくらいなら早計な結婚はしないほうが良い。別に一人でも生きていけるし、十分に満ち足りた生活が送れているし、、、といった余裕の面構えをしていられるのは私がまだ若いからであり、老いて心身ともにしんどくなってきたときに、「結婚しておけばよかった......」と思うことはあるだろう。そんな未来が想像できてもなお、今はまだ結婚する時ではないと考える。今は一人を満喫して、一人をとことん極めておくべき時なのだ。そんな悠長なことを考えているから未だもって恋人が出来ないわけである。一人の孤独を別に好きでもない恋人で中途半端に埋めてしまうくらいなら、その孤独を噛み締めて生きていったほうが自分には似合っていると思えるよ。

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