眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

406日目「拝啓、いつかの君へ」

一日中社内に居たのだけれど、あっという間に時間が過ぎ去った。久しぶりに仕事に夢中になった。まああれを世間一般で仕事と呼ぶかどうかは疑問であるけれど、まともなことをしてこなかった私にとってはちゃんとした仕事だった。仕事をするのはこんなにも面白いものなのか、今までの日々はなんてつまらないものなのだろうか、としみじみ思った。社内調整をして、事務仕事を淡々とこなし、出来た資料を先輩に確認してもらい、オーケーが出た時の高揚感たるや。誰かに必要とされるってこんなにも安心するものなのですね。今までの私はすごく冷め切っていて、承認欲求なんてものは一切なかったのだけれど、少しだけでもいいから満たされたい気持ちが出てきてしまった。あまり欲張らないようにしよう。

 


ようやく新居が決まった。不動産屋から送られてくる様々な物件を見て、見過ぎて、どれが良いのかよく分からなくなった。そんなとき、ふと見ていた不動産のサイトで運命的な出会いをした。物件情報と写真を見て、「私が3月から住むのはここだな」と確信した。何から何まで、私の求めていたものが詰め込まれている物件だった。間取りもいいし、日当たりも良好。特に決め手になったのは家賃である。こんなにも素晴らしい物件に巡り合えるとは。すかさず不動産屋の担当者に連絡した。内覧予定は来週であったが、「土日でなくなってしまうかもしれませんよ」という担当者の言葉ははったりでもなんでもなく、ただ事実であった。そこに住んでいた住人が退去されたのがほんの数日前だとのこと。まだ内覧をしていないけれど、もうここでいいでしょう。ということで担当者に電話で連絡し、差し止めしてもらった。来週に内覧に行く予定です。よし、これで厄介事が一つなくなった。あとは引っ越しか。いつになったら引っ越し業者の手配を済ますことが出来るのだろうか......。

 


来週、物件の内覧のために東京へ出張へ行く旨を教育係の先輩に伝えると、「えっ、3月に転勤するの?」と驚かれた。私が経理へ異動になるかもしれない、ということは上司からふわっと聞いていたそうだが、異動が確定したことまでは聞いていなかったとのこと。えっ、そんなものでいいんですか?と上の人たちに疑問を抱きながらも、今までのもやもやを最後まで貫き通してくれたね、と一種のカタルシスを感じた。「そういうことなら、来週あたりにじっくり話でも聞こうかな」と言われたが、今更一体なんの話をするというのだろうか。一度だけ、私が先輩の飲みを断ったことがある。それは遠い客先へ行った帰り、今更会社に帰っても定時を過ぎるし、飲みますかという流れになった。私と先輩の二人きり。しかし、その日は19時からライブの予定が入っていたので、申し訳なさを滲ませつつ飲みの誘いを断った。それから今日まで、一切飲みに誘われることはなかった。あの日断られたことで、先輩は私のことを取っつきにくい後輩であると認定してしまったのだろうか。それは非常に寂しいことではあるけれど、飲みが別に好きではない、寧ろ出来ることなら避けたいと思っているので、それはそれで良かったのかもしれない。残された時間はあと2週間しかないが、果たして私は先輩に飲みに誘われるのであろうか。

 

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