眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

331日目「台風が徐々に徐々に近づいておる」

午前中、仕上げなければならない書類を丁寧に丁寧に、分析に分析を重ねて作成し、それが出来上がった姿をじっと眺めていてもなお時間は遅々として進まない。ぽつねんと一人、デスクに座って虚無を噛み締めている。営業社員は私以外、皆外に出払ってしまっている。私一人がそこそこ広いスペースを独占している。ふいに襲い掛かる「仕事していない自分は周りの人間にどう思われているか」*1という考えが勝手に回転し始め、知らず知らずのうちに体中がかちこちになっていく。緊張は解けぬ。すっと立ち上がって、外に出て、軽く歩いてみる。ずっと座っていたから気分が滅入ってきていたんだ、そうに違いない。数分歩いてみて、少しだけ気分が晴れたので、自席に戻り、また仕事のないしんどい時間を過ごしていると、自然に心がかちこちになり始める。もうここには私の居場所なんてないんじゃないか。甘えるな、と険しい口調で訴えかけてくる声が頭のなかでこだまして離れることがない。5年という歳月を、私は趣味に走ってしまい、ほとんど勉強してこなかったのだ。仕事をしていて分からないことがあったらどうしてきたか。自分で懸命に調べ、分かったかな、というレベルで探求を終わらせていなかったか。人に訊いて、きちんと物事を把握してこなかっただろう。そのつけがじわりじわりと私を蝕み始めているのだ。徐々に広がっていく同期との差、先輩に追いつくだなんて絵空事だろうか。昨日、突如始まる安易な会議。そこで上司と先輩がああでもないこうでもないと討論している中、私は彼ら(彼女ら)が何を話しているのか、ちょくちょく躓いてしまうぶぶんがあった。まず用語を知らないのである。初めて聴く単語に頭が痺れているときに追い打ちをかけるかの如く始まる、「用語は分かるのに何を話しているのか分からない」会話。用語をただ知っているだけではだめで、それをどのように運用していくのかといった実用的な側面での理解が私には全然足りていない。経験値を積めていなかった。経験値を稼げるような環境に恵まれなかった、と決めつけるのは傲慢であろうか。先輩が一から手取り足取り教えてくれる、なんて環境は私がこの会社に入ってから存在しない理想郷で、あるのはぶっきらぼうに押し付けられる意味の分からぬ仕事仕事仕事。「あと1時間で」と少々きつめの期限を設定される仕事、意味を理解しようとしていたらタイムオーバーになるのは目に見えているので、作業的に進めてしまう。成果物を先輩に渡し、「ほう」とだけ一言。有益なフィードバックなどはなし。あるのはまた頼まれる無為な仕事。仕事を無為にしているのは私なのか、先輩なのか。後輩を育てる、といった気概が彼ら(彼女ら)にはないのであろうか。会社というものは、働くということは、自分から積極的に知識を盗んでいかないと潰されてしまうものなのだろうか。「ここは学校ではない」という錆びついた決まり文句を何度聞かされたことだろう。その言葉の裏側に付着しているのは「教えるのだるい」という圧倒的な怠惰。それを上司が是正するどころか放置している有様に、「この会社はもう長くはないのかも」と諦観的な予測が過る。瞬時、頭が転職を思考し始める。ここではないどこかで、それも魅力的な職場環境で働いている自分を想像して、「隣の芝は青すぎる」という幻想に気づかずに、方角も定まらぬまま進み始めようとするも、怠惰な性格がここで邪魔をする。別に緊急性のあることではないし、今は目の前にある文化を享受することに勤しみたいのだ。そんなことばかりしてきた結果、成長せぬままここまでやってきたのではないか。

 

 

昨日もお昼ご飯をおにぎりで済ませてしまい、午後の途中で猛烈な空腹に襲われた。グミなぞを食べてお腹を誤魔化していた。外にいちいち出るのが厄介だし、お金がかかるし、仲良くもない、むしろ一緒に時間を共にするのが苦痛な人とのご飯はとかくきつい。なので最近はおにぎりを推進していたが、今日は午前中にずっと社内に居て、一人で、頭がおかしくなりそうであったから外に出た。ちゃんぽんを食べた。野菜を大盛りにした。おいしかった。何より、晴れている空のもと、身体を動かしているという現実にうちひしがれるほどの感動を覚えた。35分ほどで会社に戻ると上司がいて、黙々とパソコンを眺めていた。私はさっさとイヤホンを耳に詰め込んで、自分の世界に浸った。今日はバニラズのライブがあるのである。「THE WORLD」を繰り返し繰り返し聴いていた。はああ、もうこんな不安定な気分で午後からも仕事したくないよ。今の一番の関心ごとは台風で、それのせいで日曜日のライブが開催されるかどうかが怪しくなっている。そのため、ライブの開催場所への交通手段の予約、宿の予約を未だしていない。無駄にはさせたくない。でもライブには絶対行きたいんだよな。ああ、どうしよう。そうこう悩んでいると昼休みは終わってぬるっと仕事が始まった。

 

 

「俺は行くんだっけ」とふいに声を掛けてくる上司。「都合が合えば、是非来ていただきたいです」(暇なんだろうな)という思いはおくびにも出さず、機械的な応答を済ませる。突如社内から出ていく上司。どうせあと10数分で私も会社を出るのだから一緒に行けばいいのに。そんなに私の事が嫌いなのであろうか。

 

 

ささっと客先での打ち合わせを4人で済ませ、帰りの電車に乗っているあいだも日曜日の事で頭がいっぱいいっぱいになった。大丈夫かな、大丈夫かな。そんなこんなで会社に着いて、だらっとしていたら定時になった。30分ほど仕事をしているふりをして、ささっと会社を出る。今日はバニラズのライブがあるのである。

 

 

bigpopmonster.hatenadiary.jp

 

 

4人のバニラズが戻って来てほっとしている、のが今の一番の感想である。今後も無理しない程度に活動していってほしい。

 

 

家に帰り、東京03のコントを観たり、ジャルジャルのコントを観たりして時間が過ぎていく。不意にリビングから生々しい声が聴こえて来て、そんな現実と対面したくなくて、むりやりイヤホンを耳に突っ込む。syrup16gを聴く。今までスピーカー越しに聴いていたけれど、イヤホンで聴くと五十嵐の声がすぐ近くで聴こえてきて、はっとする。

 

君に言いたい事はあるか
そしてその根拠とは何だ
涙ながしてりゃ悲しいか
心なんて一生不安さ

syrup16g「生活」より

 

 

「生活」がすごく刺さる。まるで私の心のことを歌っているかのようである。そうだよ、心が安定しているなんてほんの一瞬の時間で、殆どは不安定でぐらぐらで、今にも叫びだしそうなんだよ。こんな世界で正気で生きていられる奴の方が正気じゃないんじゃないかと思っている。そんな不器用でどうしようもないと思ってしまう私をそっと肯定してくれているようなsyrup16gの音楽にずぶずぶにはまっていくような気がしているよ。明日から待ちに待った3連休だから、少しくらい、せめて午前2時くらいまで夜更かししたっていいだろ?

 

 

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*1:したくなくてしていないわけではない。やる仕事がないだけである。というのは言い訳に過ぎないだろうか