眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

1111回目

冬休みが始まったという興奮で、眠るのがもったいなくって、だらだらと夜を延ばしている。いつまでもこの時間が続けばいい。フル稼働したエアコンのせいで乾燥しきった室内。からっからの喉に流し込むキンキンに冷えたカルピスソーダは、まるでオアシスで出会う女神のようだ。今まで積んであるだけで、読もうともしていなかった本を夢中になって読んでいた。この本は、以前京都旅行をしたときに立ち読みした小説のような回顧録のようなもので、読んでいるとまるで自分の過去を思い返しているような気分になる。そんな感傷的な過去を送ったはずがないのに。

 

 

眠たい頭に流れ込んでくるTHE 1975。彼らの曲を聴いていると宇宙に放り出されて、もう地球に帰ることが出来なくなってしまった宇宙船で冬を過ごしている気分になる。どこか現実離れした、すっきりとした異国の朝みたいな。そんな幻想を今でも必死に抱き抱えている。

 

 

明日の予定は何も決めていない。空白の三日間でいろいろしたいことはあるけれど、それもまあ別にしなくてもいいかな。生き急ぐような歳ではないし。ただ、ここに立ち止まったままでいいのかな、という不安はあるにはあるけれど、それももういいやっていう気分になれてる。明日もどうせ晴れるから今日は洗濯をしなかった。日常に汚染されることなく、自分の好きなことだけをしていたかったから。

 

 

夢物語をいつまでも続けたいと思う反面、そろそろ現実を見ないとまずいかなと思い始めている。でもそれは単なる現実逃避で、私はまだ変わりたくない。自分が自分である、という事実を受け入れられずにまだまだ日常を積み重ねて行きそうな気がしてる。知らない街に一人で訪れて、知らない人に陽気に話しかけてみるのも悪くない。

 

 

何がどこから間違っていたのか、今更考えたって遅いし、分かったところでやり直すことは出来ない。会社の上の方が「うちの会社は給料がいいのに、転職していってしまうのは残念だ」と言っていたけれど、他の会社の人と話す機会が全くないから、自分が今置かれている状況がいいものなのかどうなのか分からないし、分かりたくもない。親に話すと「あんた恵まれているよ」と言われるけれど、恵まれているかどうかは時代によって、個人によって感じ方が変わるだろうから、本当に自分が恵まれているのかは自分にしか分からないだろう。恵まれているのかどうか、というのは他と比較しないと分からないことだと思うし、他の世界を知っているほど私は社交的な性格ではないから、結局は自分の狭い世界だけで現在を判断することになる。間違っているのか正しいのか分からないし、誰も教えてくれない。別に知りたくもないし、恵まれてなくても別にいいかなとも思う。大切なのは自分が満たされている、という気持ちを持てるかどうかだ。

 

深夜にカルピスソーダを飲むと、無性に寂しくなって叫びだしたくなる。甘酸っぱくてパチパチしたものが口いっぱいに広がって、世界がまるで今から始まる気分に浸れる。それはいい意味でも、悪い意味でも。子供の頃に想像していた大人になれなかったし、別になりたいとも思っていない。今ここに存在している自分が自分であるし、どれだけ自分を嫌ったところで何も変わることはない。今の自分を冷静に受け入れて、そこからどう変わっていきたいか、どういった行動を実際に取るのかどうかが大事だと思う。今は早く眠りたいけど、まだ眠るには開放感の余韻を味わいきれてない。

 

 

先ほどまで読んでいた物語が頭の中で映像化されて、狂ったテープのようにでたらめな順番で再生されているのをただ黙って眺めている。無性に感傷的な気分にさせようとしてくる意気込みがつんのめり過ぎているきらいがあってどうも収まりが悪い気がするけれど、今日みたいに夜を延ばし続けたい子供のような気分の時には最適なのかもしれない、と自分に言い聞かせる。

 

 

明日から、いや既にもう私は自由を手に入れた。新幹線に乗って、九州を観光してみるのもいい。カウントダウンイベントをほったらかして、実家に帰ってごろごろせるのも悪くない。それこそ、会社なんて辞めてしまって、アメリカの栄えた所で虚しさを燻らせるのもいいのかもしれないと今なら思えるよ。そんなことをする体力は今の自分に存在するのかと問われたら「ちょっと足りないかも」と弱々しげに答えるだろうけれど。寝て、一日中家にいました、という過ごし方だけはしたくないから。はやく寝よう。寝てしまおう。明日に備えよう。別にいいじゃないか、明日休みなんだから、明後日休みなんだから、明々後日休みなんだから、夜更かしぐらいしたってバチは当たらないよ。バチが当たることに怯えていたら、大胆な行動は取れない。自分がしたい!と思ったことを思った瞬間にやるっていうのが大切なんだろうな。今まで私はどれほどの好機を逃してきたんだろうな。

 

 

明日、いや今日は必ず外に出ます。