眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

「お前、お世話係ね」

上司から無造作に解き放たれたその一言が、今日一で私を社会の奥底の、くらーいところへ落とし込んだ。教育係ではない、お世話係。新しきものに何かを教えるのではなく、新しきものがスムーズに研修を進められるよう、道を整備しておく係。

 

「それはあのお世話係に頼んでおけばいい」

 

あの上司は好き嫌いという概念がない代わりに、人が言われて嫌なことに関して深く考えないのであろう。そう、私は今日からお世話係。

 

 

営業に配属されて7カ月半。私の教育係であった人は「なんでそんなこともできないの!想像すれば分かるでしょ」と自分は仕事ができる、だから仕事ができないお前はできそこないだということをその言葉、表情の節々で嫌になるほど私に表現してくる。そうやって人に物事を教えることを放棄して、さぞかしスカッとしたことだろうね。いっそ、そういう憎まれ役の商売をしたらいいのに。

 

もうここにいる意味が分からなくなってきた。そもそも営業なんてしたくもないのに営業職を希望してこの会社に入ったことが間違っていたのだ。営業?人と話して商談をまとめる?接待?ああ?そんなの一つとして満足にできませんよ。そもそも人と話すことがまともにできていないっていうのに、人間界で働こうという考えが甘ったれたものでしたんでしょうね。大人しく、人間界からそっと離れたい。森で細々と暮らしたい。人間との間で生じる摩擦でこれ以上私の大事なぶぶんを壊されたくないんだよ。

 

 

お世話係だってさ。本当にふざけるなよ。