眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

「懐かしい、切ない、そして暖かい気持ちだった。」

そんな風に思えたのはいつの頃までだったのだろうか。気が付いたら相手に対しての思いやりが少しずつ欠けていって、嫌なところばかりが目立つようになった。相手にもっと好かれたい!という気持ちが死滅して、ただ惰性で付き合っている状態になっていた。「貴方はお礼を言うことができないのね」と言い放った彼女はどこか寂しそうな顔をしていた。やって当たり前だと思っていたことは、彼女にとってはお礼を言うに値するもので、お礼を言えない僕はひどくみっともない人間に見えたんだろうな。

 

たくさん話し合ったけど、僕のことを今でも好きって言ってくれたけれど、それではどうにもならないことだってあって。僕は彼女の親ではないし面倒見がいいほうではないしそんなものにはなりたくないので、ぐずぐすしている彼女を見ているとイライラする。イライラがたまって爆発しそうになってそれをこらえて、そのたんびに彼女が嫌になった。近くでのうのうと暮らしているのがとても嫌だった。

 

僕がそれでも彼女と別れられないのは、他に友達というか人間の繋がりがないからだろう。人と関係を構築できない僕は、東京に来てもひとりぼっちで生きていた。周りがやいのやいのと盛り上がっていてもそれに加わって「うぇーい」とかやるのはとてつもなくみっともないことだと思って、そんな奴らを軽蔑していた。ほんとは心を開けない自分を軽蔑していたんだろうにな。問題をすり替えて、さも自分は正当だと思い込ませていたんだ。そうした方が落ち込まなくてすむから。でもそうやって自分を騙しているのは分かっているんだから、実のところそんなことしても意味はないんだよ。余計に自分が惨めになるだけだ。

 

もっとちゃんと、人と向き合うことができたらなあ。