眠たげな猫の傍で

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眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

演劇部その2

前回

 

bigpopmonster.hatenadiary.jp

 

 

いい思いをしたかったのだ。ただ楽をしたかったのだろう。一年生の頃は先輩についていって、楽しそうなことがあったらそれを眺めて和んで、夜にコンビニに寄ったときはよく食べ物を奢ってもらった。そういうささいな優しさにいつまでも包まれていたかったから、いざ学年が一つ上がるとそのようなことをしなくちゃならんのが嫌だったのだ。ちっぽけな人間だったのだ。二年生になると上からも下からも圧力が、みたいなのがあると思っていたし、ただ先輩に甘えてばかりもいられない、次は自分達が下を引っ張っていかなくてはいけないので、その責任感を背負いたくなかったのだ。そんな本音は言えるはずもないから、先輩から部活を辞めたがっている理由を聞かれたら「練習がきついんです......」と言っていた。あながち嘘ではないが、それを繰り返すことに対して嫌気が差してきた。そしてその年の暮れに辞めると明言して辞めるつもりだったのだが、すごくよくしてもらっていた先輩に一度話してみないかと声をかけられた。僕は辞める決心をしたので、心が揺らぎそうなイベントに参加したくないなと思っていたが、ちゃんと先輩に今までお世話になったお礼を伝えておかなくちゃということで会うことになった。

 

 

三時間ぐらい話していたんじゃないだろうか。何度も自分は辞める決心をしてので何を言われても残るつもりはありませんと答えたが、先輩も意地になって僕を止めようとした。もし僕が部活を辞めたら部活のみんなに会えないんだぜ、馬鹿みたいに遊ぶこともできなくなるんだ、講義とバイトだけの大学生活なんてつまんないよと豪語した。いやまあたしかにそれはそうかもしれないけれど、それを手に入れるための代償がでかいんですよと反論した。でも先輩はまた違う誘惑で僕を翻弄した。車中でのやりとりはいつまでも続くように思われた。最終的には僕が折れる形になって、残ることになって、あまり記憶のない二年生を過ごし、そのあとにとてもとても濃い三年生を過ごすことになるので。今振り返ってみてもあのとき辞めなくて続けてよかったと思える。練習はすんごくだるいし暑いし日に焼けるし夏休みなんてほぼ返上したようなものだったけれど、時間がたっぷりとあるときにしか味わえないような贅沢な日々を過ごすことができた。そしてなによりも、三年間きちんと練習を続けることができたという達成感と、今でも地元に帰ると飲みに誘ってくれるような連れができた。それだけであのときのあの判断は正しかった、三年間頑張ってよかったのだ。あの三年間を思い出して今の自分と比べるとめげそうになるけれど、仕事をなかなか覚えられなくて、マニュアルばっかに頼って、そのくせ先輩に気軽に相談できなくて、周りからの自分に対する評価が低いんだろうなということに傷付く日々だけど、仕事なんか行かなくて家で一日だらだらしてたいけど、あの頃の思い出を振り返ると、やってけると思えるのだ。本当にあの時辞めなくてよかったよ。また機会があったら部活での出来事を書きたいと思っております。以上です。

 

 

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