眠たげな猫の傍で

眠たげな猫の傍で

世界の果てで眠っていたいな

創作

仕事

平日は仕事だけで埋め尽くされた私の生活を色で例えるとするならば、それは灰色一色。まるで色彩を失った世界のように空っ風が吹きすさぶ。恋愛をするなんて考えられない。そんな余裕ない。終電ギリギリで毎日帰って、家に帰るとメイクを落とす気力もなくて…

職場の雛鳥たち

暇なのであろうか。先ほどからネットで何処かの誰かとも知らぬ人間の愚痴がまがまがしいトーンで表現されているブログを見ている。そのホームページのちかちかするような、少しでも近づいてしまったら人間の悪意にどっぷりと浸かってしまって、当分は暗い気…

電車

電車ごとんごとん。決められた時間に動く電車。たくさんの思い乗せて走る。特に平日の朝は殺気立った人を乗せることが多くて、丁寧に慎重に走るように心がけている。でもここは大都市東京。頻繁に電車は動けなくなる。するとただでさえ不穏だった車内はもう…

創作

動かしていた手を止める。眼前に広がる途方も無い文章は紛れも無く私が書いたもので、既にそれらは生命を受けて好き勝手動いている。そんな動き方をしていたら読み手に勘違いされるよ、と注意したくなるような文が意外と高評価をものにする。 書いた時点でそ…

美沙

美沙と一緒にいるとき、出来の悪い映画を何回も観させられているような気分になった。不満があるとき、一度愚痴を吐いただけでは気が済まないようで、まるで呪文を唱えるかのように同じことを繰り返し呟き続けた。それに対してうんうんと適切に頷くことが私…

私のラジオ

電池の切れかかったラジオから私の声が聞こえてくる。声の幼い雰囲気から鑑みるに、おそらく5歳前後だろう。どうしてラジオから私の声が流れてくるのか分からない。壊れていたラジオを先週、古ぼけた電器屋で修理してもらったから毎日のように私の声が流れて…

妖怪せきはずし

妖怪せきはずしは始業30秒前に会社に来て、ラジオ体操の時は眠そうな動きをしている。朝の会議が終わるとそそくさとオフィスから出ていく。30分くらい経つと外から戻ってきて、ニュースサイトの巡回を始める。煙草の気配を纏っている。「あのー、この間の〇…

手紙

一枚の手紙に翻弄された一生だった。その手紙には特別なことが書かれているわけでもないのに。誰が書いたか分からないその手紙は、高校生の時、私の机の中に入っていた。同級生の悪戯かな、と思ったそれは淡々と私のこれからのことが書いてあって、衝撃的な…

永遠

今目の前に広がっているこの景色を永遠にしたい。生まれて29年で一番の絶景。悪意が一切ない、純粋な笑顔だけが溢れている。誰もが誰かのことを思いやっていて、幸せが永久機関のように巡り続けている。たぶん、10分もしたらこの景色は崩れる。あと少しでミ…

小説なんてもの

小説を書きたいとずっと思っていた。自分の中にある、 だれかにこっそり教えたくなるような世界を文字に起こして、 世界中の人に読んでもらいたかった。その思いは、 たくさんの小説を飲み込んでいくうちに日増しに強くなっていった 。でも書けなかった。 書…